ザ・グレート・展開予測ショー

囚われの小竜姫(3)


投稿者名:NT【C】
投稿日時:(01/ 7/11)

「霧がすげーな・・・・・・」
門を潜った霧生の視界一杯に濃い霧が立ちこめていた。
そして30メートル程先には、武闘場らしきものが微かにぼやけて見えた。
「・・・・・・声の主か」
その武闘場の上から伝わってくる強力な霊圧を体中に感じながら、霧生は引き締まった表情で歩を進めていった。
姿こそ見えないが、自分と互角にやりあえる相手であることが霧生には分かるのだ。
そして、武闘場の側まで来ると、舞台の中心からこちらをじっと見据える少女に気づき、ゆっくりと歩を止めた。

「翼?・・・・・やっぱり、人間じゃない・・・・・・・」
舞台から見下ろす少女――小竜姫の手に汗が滲んだ。
「・・・なんだ。外がアレだから小竜姫ってのはどんなごっつい奴かと思ったら・・・お前が小竜姫か?霊気で分かるぞ」
「私の名は小竜姫。あなたの言う通り、ここ妙神山の管理人です」
「俺っちは霧生。南の地からやってきた」
自己紹介しながら、霧生がゆっくりと舞台へ上がる。
「・・・穏やかな話ではありませんね」
「竜王の子供を攫いにきた。・・・・ガキは殺さねーから安心しな。でもな・・・・」
チャキ・・・
霧生は殺気を孕んだ眼を向けながら、背中に取り付けられた鞘から2本の黒金の長剣を取り出し、静かに身構えた。
「邪魔するヤツは・・・・・・斬るぞ」
「殿下を攫ってどうしようというの?」
「・・・・・・お前には関係ねーことだ!」
一瞬の間があって返答する霧生の口調はどこか苛立たしげであった。
「・・・・・・・・そうですか。これ以上話しても無駄のようですね」
バシュゥッ!!
軽い溜息の直後、小竜姫の体から凄まじい霊圧が発せられる。
「勝負です!」
「おう、思った通りだ!」
だが、霧生は全く動ぜずむしろ余裕を含んだ笑みを小竜姫に向けてこう言った。
「いい勝負ができそうだ。・・・・・・・ま、俺っちの方がちょい強いけどなっ!」
キッ!!
「黙りなさいッ!!!!」
ドゥゥッッ!!!
カッとした小竜姫は右腕から創り出した凄まじい霊波の光球を霧生に向かって放った。
立ちこめていた霧が吹き飛び、辺り一帯が一瞬にして眩い閃光に包まれる。
だが――
「うおおぉぉッ!!」
ズバァァッ!!
気合と共に霧生は瞬時に目の前にクロスさせた黒剣で猛然と迫り来る巨大な霊球を真っ二つに切り裂いた。
ドドーン!!ガラガラガラ・・・
行き場を失った霊波が小竜姫の頬を掠め、武闘場の壁にぶち当たり屋根の瓦が次々と地面に降り注いだ。
「そんなっ・・・・!!」
次々と巻き起こる爆風が、呆然と立ち尽くす小竜姫の後ろ髪を勢いよく跳ね上がらせる。
「いちち・・・・すげーパワーだな!」
霧生は感心した様子で痺れた両腕をブラブラさせながら呟いた。
「へへ、どうだ?」
「・・・・・クッ!!」
厳しい顔つきで霧生を睨み返す小竜姫。
ぽた・・・ぽた・・・
その頬を幾筋もの鮮血が伝い、足元に何度も滴り落ちた。


「・・・・・どうやら始まったみたいだな、左の」
「そうじゃな・・・・・・・」
足を止めて爆音が轟いた方角を見つめながら心配そうに呟く鬼門。
「・・・・・・・急いだ方が良さそうじゃ!」
「殿下がまだ風呂におればよいのじゃが・・・!」

浴場更衣室―――――
「いや〜、いい湯じゃった♪」
バスタオルで頭を揉みくちゃにしながら童子は側にあった竹の椅子にちょこんと飛び乗った。
「よし、決めたぞ!余は、グレート・ウォール・マウンテンに乗るぞっ!!あれが確か一番人気と言っておったからな!!」
明日への期待に胸を躍らせる童子。
だが、その瞳の輝きが絶望の色に染まるのに、そう時間は掛からなかった―――。


武闘場―――
「参ったな・・・・・・・やっぱり五分以上だわ」
予想通りの敵の強さに苦笑しながら天を仰ぐ小竜姫の表情はどこか寂しそうに見えた。
(何とか相打ちにできないかな・・・・・・・・・・・・だめだめ、なに弱気になってるの!)
小竜姫はパンパンと頬を叩くと、視線を霧生に戻しながら腰の鞘にすっと手を当てた。
「殿下は私が必ず護る!」
血の滲んだ頬を肩に擦りつけると、小竜姫は凛とした表情で腰の鞘から抜き取った神剣を強く握り締めた。
(ごめんなさい。殿下、明日の約束守れそうに無いです。・・・・・・・・・・私の事、許してくださいね)
小竜姫の表情が一瞬だけ――――和らいだ。

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