GSキラー:track13[ロケット・ダイヴ「始闘編<熱き血の紳士の章>」]
投稿者名:ダテ・ザ・キラー
投稿日時:(01/ 7/10)
鈴女と「カオスフライヤー2号」は警視庁の庁舎を見下ろしていた。陽は傾きかけている。
「なるほどね。黒幕は警察のお偉いさんか。しかも、ICPOに圧力かけられる位の、ね。」
「確かにそう考えると合点が行くが、決め付けてかかってはいけないよ、美神君。」
神父が美神の言葉をたしなめる。が、当の美神はぺろり、と舌を出してあらぬ方を向く。と、
「コッチに来るあれ、災害救助用のヘリ?大概はあーゆーのから黒幕が名乗るもんよね。」
「だから決め付けは良くないって言ってるだろう。全く、君と言う人は…。」
二人がやり取りしている内に、ヘリは真上で滞空し、おもむろになにか、白い物を落とした。
それが近づくにつれて際限なく大きく見えてくる。美神にとって、見覚えある姿だった。
「アイツ!あのゴーレムーーーーーーーーーー?」
ビュゴウンッ
正に紙一重で「カオスフライヤー2号」に緊急回避させる美神。怒鳴らずに入られない。
「いきなり特攻かけるなーーー!ものには順序って…え?」
グシャリッ
見ると、巨大でごてごての刃物(に見える)が「カオスフライヤー2号」を寸断していた。
「ものには順序ってモンがある。でかくて目立つ囮の影からワシが斬る。」
『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?』
3つの人影とカオスフライヤーの残骸が、摩天楼の底に落ちていった。
「美神さん?死なないでー!マイステディー!!」
「やめんか、バカタレェェェェェェェェェ!」
すっかり薄暗くなった警視庁の表玄関で、横島は立ち尽くしていた。彼は迷っていたのだ。
(いかん、ついついノリで此処まで来てしまったが、あんな奴と戦ったら死んでしまう。)
「逃げたら抱きついてきた事言いふらしますねー。他にも本音全部バラすとか色々…」
「命より大事な秘密なんざないわい!」
ズズゥゥゥゥゥン
ヒャクメと言い合っていた横島の背後で凄まじくヤな音が鳴り響いた。振り向かずに訊く。
「ヒャクメ…何がいる?」
しかし返事は返ってこない。そのまま硬直する4人。イヤ、植物の生長ほどのスピードで、
横島を除く3人が、彼から離れていく。それだけで横島は己の運命を悟った。振り向いて、
「…やっぱり、てめぇかぁ。しかし!今回は切り札を持ってきたぜ。」
言うなり、懐に忍ばせていた美神所有のリボルバーを引き抜いて全弾撃ち込む。
キュンカンキンチュンコンジュン
ゴーレムはその全てを受けたが、傷一つ付く事もなく、ズシリと一歩踏み出してくる。
「うああ?いきなり切り札が破られた!」
『今のドコが切り札だ!』
うろたえる横島。つっこむヒャクメと鬼門。迫るゴーレム。今、横島は苦境に立たされていた
「そんじゃ、禁断の奥の手!『カタストロフ-A』(ゴクン)(ボン)ギャー!!う…うぅ、
またしてもかぁ、恐ろしい相手だ…。」
『究極バカか、己は』
うろたえ…中略…立たされていた。「カタストロフ-A」も以前の残りである10錠を
全て使ってみるが、結果は散々な物だった。「禁断」の意味も頷けよう。横島は続ける。
「くそ…マトモに戦わなくてはならんのか…。」
その呟きが本気だと気付いてしまう、己の眼を呪うヒャクメ。
ブゥオンッ
振り下ろされた、巨大な鉄拳を、後ろに飛んで避ける横島。が、しかし。
ビギビビギ、ズガンッ
「地…地面が割れたーーー?」
(こんな化物相手にするなんて、シャレになってないーーー!)
「…もっと早く気付いて欲しかったですねー…。」
地の底に落ちゆく横島とゴーレムを眺めながら、ヒャクメと鬼門は佇むしかなかった。
「私が何とかするわ!」
ビュワン、ビシィッ
美神は腰から神通棍を引き抜き、鞭状に撓らせて高層ビルの壁面の取っ掛かりに巻きつけ、
唐巣神父が背負うリュックを掴む。思わず安堵の溜息が漏れる美神。そして神父が言う。
「本当に…武器の扱いに関しては舌を巻くしかないな。荷物は君に渡しておくよ。」
「?…先生?」
「君の言う『冷静な判断力』が告げているよ。『こちらも覚悟を決めねばならん。』」
美神が訊き返すのを答えずにそれだけ言うと、神父は肩紐の支えから抜け出して落下する。
「ちょ……!」
かつて、彼の弟子がそうしたように、神父はビルの壁面を蹴って加速していった。
こうなってしまっては美神が言いかけた言葉に意味はなかった。
神父は刃物のゴーレムに組み付いた。ゴーレムは驚愕して叫ぶ。
「な?貴様ァ!ワシと心中するつもりか?」
好対照に、神父は落ち着き払って答える。
「イヤ、単に経験者なんだ。高空からの自由落下中の戦闘。…それよりどうするのかね?
いかにオリハルコンのボディといえど、稼動する部分は脆かろう。首を失う事になるぞ。」
「ぐぅ…『リーーーーング』!」
刃物のゴーレムの叫びに呼応して、もう一体の巨体のゴーレムが、叫んだ僚友を蹴りつける。
ガシィッ
真下への落下エネルギーと真横への衝撃エネルギーが合成され神父達はビルの一室へ、
グワシャンッ
窓ガラスを突き破って転がり込むと、神父と剣のゴーレム、両者は間合いを取る。
「同じ材質同士で、あの巨体の蹴りを敢えて受けるとは…相当のダメージだろうに。」
「ぬかせ。貴様こそ、最初からワシがどうにかして墜落を免れると踏んでおったな。
とぼけた顔をして…くえぬ奴よ。」
互いに言葉を交わしながら、じりじりとその間合いは狭まって行く。さらに神父は語る。
「私の弟子が、君の友人を祓うまでの間、私に付き合ってもらえるかい?」
「その為だけにあんな大それた真似をしたと言うのか?見上げた師弟愛だな。だが、笑止。
あんな小娘に『円卓の騎士(ナイツオブリング)』が遅れをとるものか。
そして、この『王者の剣(エクスカリバー)』も貴様などに手間はかけられん。」
『王者の剣』のこの言葉を境に殺気と静寂の世界が広がっていった。
ドズンッ
「でぇぇぇぇぇい!ふーっ、間一髪…。しかし、動き自体はさほど速くはねェか…。」
横島は巨大なゴーレムの追撃をかわしながら地下通路を進んでいた。戦ってる場合じゃない
ヒャクメはコイツを消滅させろ。と言ったが、その目処も立たない今、戦ってもしょうがない
(だったら、一旦振り切っておキヌちゃんを捜すのが先だ。…っても、どーすっか…。)
ゴーレムの動きは決して見切れないものではないが、自分が軽視できるほど遅くもない。
(例えば、背中見せて逃げようとすれば反転する隙を突かれる位にゃ速い。このまま、
イタチごっこやってたら10分でバテそうな程度にゃ速い。文珠は…温存しなきゃならん)
1発しかない正真正銘最後の手段とゆうものはその威力よりも存在そのものに意味がある。
人間は後ろ盾が無いと精神的に脆くなってしまう。この1発は使わない方が良いだろう。
(クソ、また俺はこんな事に首突っ込んじまった。もう勝ち目のない勝負なんてこりごり
だってのに、きっと俺が負けて、また他の誰かも傷つくんだ!バカか俺は?)
<彼女>の姿がちらついて、集中力が低下してくると余計に不利になっていく。判ってる、
目の前の敵に集中すべき事ぐらい。判ってて感情に流されているのだ。全く判ってる。
(判っててもやるトコがなおさらバカだな。美神さんならそう言うぜ。…<アイツ>は…
どんな顔するかな?美神さんと同じかな。イヤ、笑うかもな。…そんな事も…判んないんだ)
ボッゴォッ
ふいに敵の攻撃で崩れたコンクリートがまるで散弾銃のように強襲して来る。
「ぐあぁ?ぐ…コイツ、のろいからなんとなくバカっぽいと思ってたら…とんでもねぇ。」
想像以上の強敵だ。この結論が、このダメージから得られた事の殆どすべてであった。
つづく
今までの
コメント:
- 「な?貴様ァ!ワシと心中するつもりか?」→「こ…こいつ?死んでる…。」第1部完
つっこまれる前に自発ツッコミしてみました(主に「ツェペリさん化したあの方」対策)
いかがだったでしょうか?神父メインの話でしたが裏方で横島君も頑張っております。
に、しても彼、チョイ格差が激しくて(ギャグとマジの)別人みたいですね。気をつけよう
リミッター外すと全編横島になりかねない。(お話のバランスがー!)次回も始闘編です。
通常通りなら美神さんになるのかな?横島にもなりそうだけど。或いはピートかジーク、
このなかならみなさんの希望を反映できますけどどちらになさいます? (ダテ・ザ・キラー)
- 「美神さん?死なないでー!マイステディー!!」>
おそらく鈴女ちゃんが発したと思われるこの言葉。・・・なんか、すごくいい。
次回は、わたしは別に美神さんでもピート君でも、ジーク君でも・・・
けどやっぱり、できれば横島クン・・・(だって、続きが気になるじゃないですか) (「sauerの友達」改め・sig)
- ボクも、できれば横島クン。続きが気になってしまう………
それと、唐巣神父。本音を言えば、美神さんより よっぽど気になります。
あぁ、横島クンと、唐巣神父………どっちもマジに行ってほしいなぁ……… (sauer)
- ツッコミを入れさせて頂きます。
警視庁はあくまで東京都を所轄とする公安組織ですので、ここは日本における ICPO の中央窓口機関である警察庁(国家公安委員会の実行組織)を持ってきた方が現実的だと思います。
それといわゆる円卓の騎士は (Knights of) the Round Table が普通ですね。
うーん、こちらの唐巣も随分とダンディなので、横島の格好良さにあまり気が付きませんでした(笑)。 (Iholi)
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