ザ・グレート・展開予測ショー

サイコダイバー(その2)


投稿者名:ボヘミアン
投稿日時:(98/ 5/18)

ど〜も〜、ボヘミアンです。出張中はまじめに仕事をせずに「サイコダイバー」のプロットを考えて一人ニヤニヤしていたため、周囲からかなり不気味がられています。おかげで、会社において長年にわたって築き上げてきた僕のイメージは・・・ 全然変わっていません(^^;;; ちなみにこの話(その2)、本編とはあまり関係なく、既に展開予想とはいえません。その1よりネタバレは少ないかな。それと、今回は前回よりもさらにギャグが滑りまっくているような気がします。すっげー不安だ・・・ とりあえず読んでください。

カオスはルシオラに横島と同じようなヘルメットを被せた。ヘルメットからはリード線が延び、マシンを通じて横島のものとつながっている。
「ルシオラ、時間が勝負だ。短時間ならこちら側からシンクロ率を制御できる。もし、小僧の感情が直接おぬしの思考に流れ込むようになったら、それがタイムリミットだ。引き上げろ。」
「わかったわ。」
カオスがヘルメットについているスイッチを押すと、音がしてエアクッションが作動、ヘルメットをルシオラの頭に固定する。
「よし、ヘルメット固定、第一次接続開始。」
カオスが宣言すると、モニターの前に座るおキヌちゃんとマリアが淡々と状況を報告しはじめた。
「イエス・ドクターカオス・主電源接続・全回路動力伝達」
「第二次コンタクトに入ります。」
「A10神経接続・異常なし・思考形態は・日本語を・基礎原則として・シンクロ」
「初期コンタクト全て異常無し。双方向回線開きます。シンクロ率41.3%」
「ハーモニクス全て正常値、暴走、ありません。」
令子がカオスに尋ねる。
「かまわないわね?」
「もちろんだ。」
「エ○ァンゲリオンはっし・・・」

スパコーン!

派手な音がして令子は前へつんのめると鼻をマリアの背中にぶつけた。
「いい音。」
おキヌちゃんがつぶやく。
「いった〜い。」
令子は鼻と後頭を手で押さえながら振り、自分の後ろに立つ人物に怒鳴った。
「なにすんのよ! エミ!!!」
そこにはハリセン片手にエミが仁王立ちしていた。一体いつ現れたんだ?
「エ○ァのまねなんかやってる暇があったらさっさと話をすすめるわけ。おたくがそんなことやってると、ただでさえ脱線して進まない話がさらに進まなくなるじゃん。この話は私の出る機会はないからとっとと終わりにしてほしいわけ。わかった?」
「しょうがないでしょ、このくらい入れないと。マグマダイバーのパクリでもあるんだから。」
「とにかく、話を進めるわけ。じゃあ、あたし帰るから。」
「待ちなさいよ。だったら手伝っていきなさいよ。あんたでもいないよりはましでしょ!」
エミはチッチッと令子の顔の前で指を左右に振る。
「わかってないわねおたく。へっぽこな作者の力量じゃ、人物を書き分けられるのはせいぜい三人なわけ。四人以上になれば誰が誰だかわかんないじゃん。既に登場人物が7人に達しているし、ここは次の話で活躍を狙うのが吉なわけ。」
「それもそうね。」

シクシクシクシク・・・・・・

「あああっ、作者さん落ち込んじゃってます。」
「本当のことだから仕方ないじゃん。」
「持って回ったいいかたが多いのがその証拠ね。そのままじゃ誰の台詞かわからないもの。」

イジイジイジイジ・・・・・・

「なんかいじけてますよ、こういうの書くの初めてなんですから、もっといたわってあげなきゃ。」
「目を合わせちゃダメよ! ほっときなさい。」
「まっ、そーゆーことだから、とっととこの話終わらせてほしいわけ。じゃ、あたし帰るわね。」
そういい残すとエミは悠々と帰っていった。

き、気を取り直して続きだ・・・ おキヌちゃんフォローありがとね(はぁと)

作者を含めた面々が漫才をやっている頃、ルシオラは横島の精神へダイブしていた。彼女には異空間から枝(人によってはアンビリカルケーブルともいう)がつき、敵探索システムと功性防壁を動作させている。カオスのいっていたバックアップだ。現在彼女の体(?)はゆっくりと深層意識へ降下している。やがて下方から探索システムに多数の記憶セルが引っ掛かり始めた。どうやら記憶層に入ったようだ。記憶層にはたくさんのセルが漂っていた。セルは探索システムにより視覚変換され、セルに格納された記憶の一部は接触しなくても認識可能だ。
「天才・・・ね。」
ルシオラは一人つぶやく。人間は脆弱であり、魔族と比較すれば取るに足らない生きものと思っていた。だが、人間は時として想像をはるかに越える成長をする。まさに化けるのだ。ヨコシマがいい例だろう。そして今は、化けた人間の一人であるカオスに支えられている。彼の技術力は驚異的だった。彼のバックアップがなければ、私程度ではヨコシマの深層意識まで到達する事さえ困難だろう・・・
「少しズレてるけど。」
ルシオラは苦笑した。
幾つものセルがルシオラの脇をかすめて上へ流れてゆく。セルには横島の子供時代、令子との思い出など、ルシオラにとって興味惹かれる、いや、横島と過ごした時間の少ない彼女には、ノドから手が出るほど欲しい彼と共有したい思い出が数多くあった。接触すればセル全体を知覚できるが、それでは一旦セルに取り込まれ足止めを食らう。時間のない今はあきらめるしかなかった。ルシオラは慎重にセルを避けながら下へ下へと潜っていった。
その時、探索システムが異常を感知した。
「敵?」
ルシオラが振り返ると、そこにはなまずのような物体が迫っていた。仮に「サンダルフォン」と呼称しよう(八番目のやつだ)。サンダルフォンは口を開けると同時に何本もの触手を伸ばす。功性防壁が動作を始め、複数のサイキックソーサーが放出される。バリバリと音をたてルシオラの両手から身長の数倍に達する光の柱が出現した。こいつも仮に「ルシオラソード」と名づけよう(イデオ〜ン♪)。戦闘準備完了だ。
「さあ、かかってきなさい。」
サンダルフォンがいっきに突っ込んできた。サンダルフォンから伸ばされた触手がルシオラに迫るが、彼女の目前でサイキックソーサーにより阻まれる。サンダルフォンは大きく開口し、ルシオラを飲み込もうとそのまま突進した。サンダルフォン本体を受け止めるにはサイキックソーサーでは力不足だ。ルシオラはサンダルフォンと接触する直前、光の剣を上段から叩きつける。しかし、サンダルフォンも防壁を展開、ルシオラの光の剣も敵には届かない。力が拮抗しつばぜり合いの状態となった。
「くっ。」
ルシオラは左にかわすと、すれ違いざまに敵の腹に蹴りを叩き込んだ。サンダルフォンがバランスを崩す。次はルシオラの番だ。サンダルフォンとの距離が急速に縮まる。
「えいっ!」
気合とともに左手から伸びる光の剣を背中に突き入れる。それと同時に右手を敵の腹から上へすくい上げた。二点同時の攻撃に防壁が抵抗を見せるが、それも一瞬のことであった。腹からの攻撃が防壁を破り、本体に達する。仕留める事は出来なかったものの手応えはあった。ルシオラはそれ以上深追いをしなかったが、サンダルフォンは苦しそうに向きを変えると距離を取ってルシオラと対峙する。
「まだやるつもり? まいるわね、時間ないのに。」
ルシオラは少し躊躇したが両手を合わせると光の剣を一本にする。横島を気遣って高出力の攻撃は控えてきたが、そうもいっていられない。光の剣の出力が増す。サンダルフォンが再び突進を始めた。イノシシの様にひたすらルシオラに向かって突進する。大きく開けた口がルシオラの肢体を捕らえたかと思えた刹那、上段から振り下ろした剣が、サンダルフォンの防壁を紙切れのように切り裂き、本体ごとまっぷたつに叩き切った。
「しまったぁぁぁぁぁぁ! ギャグがなーい!!!」
サンダルフォンの断末魔の咆哮が響いた。おいおい・・・

一方、令子は退屈していた。モニターを続けるだけで派手なアクションもなく、ひたすら待ちの体勢だ。こういう状況は苦手だった。座って寝ている横島の傍らに立つと、横島は寝息を立てて安らかに寝ている。カオスは厳しい顔をしたままモニターをにらんでいるが、実際平和そのものだ。
「たいくつねー。おキヌちゃん、お茶いれてくれる?」
「はい。マリアさん、後お願いします。」
「イエス・ミス・おキヌ」
おキヌちゃんが台所へ向かおうとすると、カオスはモニターをにらんだまま、その背に声をかけた。
「おキヌちゃんや、お茶請けに厚く切ったカステラも添えてくれるかの〜。」
相変わらずである。
令子は眉間に指を当て頭を振り振りしていた。おキヌちゃんはそれを見ると
「カステラを厚く切ってもオッケーてことね。今度は紅茶にしよう。」
と判断して部屋を出た。廊下に出ると疲れきった顔をした西条と目が合った。どうやら庭での一人寝に飽きて中に入ってきたらしい。
「やあ、おキヌちゃん。」
「あ、西条さん。どうしたんですか? 顔色悪いですよ。帰って寝た方が良いんじゃないですか?」
「いや、だ、大丈夫さ。はっはっはっ」
西条の顔がひきつる。
「それより、令子ちゃんいるかな?」
「いますよ、美神さ〜ん。」
おキヌちゃんの呼びかけに、令子は部屋のドアを開け顔をつき出した。
「あら、西条さんどうしたの?」
西条はがっくりとうな垂れた。
「西条さん、とっても具合悪そうなんですよ。」
「ほんと顔色悪いわ、帰った方が良いわよ。ちょっと今立て込んでるから送ってけないけど。」
「あっ、あたし、タクシー呼びます。」
おキヌちゃんがパタパタと廊下を駆けていく。西条は既にまっ白になっていた。

「燃えたよ・・・ まっ白に・・・ 燃えつきた・・・ まっ白な灰に・・・・・・」
おキヌちゃんは、ブツブツと分けのわからない事をつぶやく西条をタクシーへ押し込しこんだ。
「じゃあ、運転手さん、よろしくお願いします。」
もう春だというのに黒いテンガロンハットを目深にかぶり、赤いセーターを着た運転手はやたらと白い歯を見せる。
「ええ、わかりました。お嬢さん。」
運転手は悪魔のような微笑みをみせるとタクシーを発進させた。
おキヌちゃんはタクシーを見送ると、キリリッと表情を引き締めた。
「ヨシッ! お茶いれるぞ。」

探索システムがサンダルフォンを探知したとき、同時に枝の先のモニターにも警告が発せられた。
「ドクターカオス・敵性物体が・ミス・ルシオラに・接近中」
室内に緊張が走る。
「功性防壁に霊力を送り込め、ルシオラを援護しろ。」
「イエス・ドクターカオス」
「だいじょぶなの?」
「わしが作った功性防壁を信用しろ。な〜に、どうという事はないわい。」
令子は、「あんたが作ったもんじゃなきゃね〜。」と考えたが、取り合えず今のところはうまく行っているので、口には出さなかった。
確かに勝負はあっけなくついた。ルシオラがその圧倒的パワーで敵を粉砕したのだ。端からみていると功性防壁と勝敗にあまりかかわりはないように見える。
「終わったみたいね。」
令子がため息をつき、表情が安堵に変わる。そこへおキヌちゃんが紅茶にカステラを添えて戻ってきた。
「お茶いれてきました。」
「ありがとう。」
令子が体ごと向き直る。そのとき、横島の縛られた手にわずかに彼女のお尻が触れる。すると横島はすやすやと寝息を立てているというのに、彼の手は条件反射的に令子のお尻を撫で回していた。

ゴリッ

次の瞬間、令子の肘鉄が横島の側頭部へめり込んでいた。
「あああっ、しまったぁ! 思いっきり行き過ぎた。」
令子が叫ぶ。

ビィー! ビィー!

アラームが鳴り響き、モニターが赤く染まり非常事態を知らせる。
「頭部損傷・損害不明」
「生命維持に問題発生! 霊体シナプスが次々と断線してゆきます。」
「ミス・ルシオラを・ロスト!」
「生存を確認できません!」
「ヨコシマ・脳波・乱れています」
「ルシオラの霊体確保を最優先じゃ。」
「ヨコシマ・心音微弱」
「横島さん!」
「しかたがない。切り札を使おう。」
カオスは、おもむろに懐から女物のパンツを取り出すと横島の頭に被せた。比較的シンプルなやつだ。こいつは劇的な効果を見せた。
「心音回復・血圧上昇・脳波・興奮状態です」
「ミス・ルシオラ・キャッチしました・無事です」
「ふー、とりあえず危機は脱したようじゃの。」
だが、カオスには別の危機が迫っていた。
「ふーん、で、それはどっから手に入れたの?」
「さっき、そこの脱衣所でな。最近はブルセラとかいって女物のパンツが高く売れるようなのでな。ちょっと失敬し… ハッ」
カオスが我に返ると、ゴゴゴッと音を立てておキヌちゃんと令子が迫っていた。バックに紅蓮の炎が見える。鬼気迫るとはこのことだ。
「「カオス(さん)ー!」」
「しっ、しまったぁぁぁ!」

カオスの悲鳴が響き渡った。


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