ザ・グレート・展開予測ショー

GSキラー:11’Sブースター・トラック[鉄神(後編:鉄の掟)]


投稿者名:ダテ・ザ・キラー
投稿日時:(01/ 7/ 7)

「ピートさん、お客様がお見えです。魔族のジークフリードさんです。」
人工幽霊一号はオーナーが指名した留守番に声をかけた。実を言えば、彼の他にもう一人、
一文字マリが「無事なおキヌちゃんを見るまで帰らん。」そうで、執務室を陣取っていた。
「ジークフリード?…あぁ、雪之丞や美神さんの友達か。判った、すぐ出るよ。」
直接話した事は無かったが、アシュタロス事件の事後処理の時に見かけていたし、なにより
雪之丞が相当気に入っていたらしく、なんども話を聞かされていた。だが扉を開けるなり、
「見ない顔だな、新兵(ルーキー)か…まぁ、いい。美神令子に用がある。取り次げ。」
賢明な読者諸氏はお気づきかもしれないが、ベレー着用モードであった。いくら話に
聞いてても、初対面でコレでは直情的で内に高いプライドを秘めるピートの事、カッとなる
「美神さんは留守だ。出直してくれ。それとも、僕が用件を聞こうか?」
「問題外だな。ミッションは時間との勝負だ。まして、使えるかどうかも判らん奴に、
作戦内容を語るなどと…。…見たところ吸血鬼とのハイブリッドらしいが…甘ちゃんか。」
「………なんだと?」
無感情的なジークとほぼアドレナリン全開状態のピートの視線が暫し、合う。と、
「坊やに期待は出来んと言ってるんだ。」
「貴様ァ!」
激昂したピートが動く。…事も出来なかった。ジークはピートの叫びも待たずに拳を伸ばす
ズガッ
「が…」
ピートのうめきに応えるように彼の頭を掴んで壁に叩きつけるジーク。これに驚くのは、
「なんだなんだ、何事だぁ?」
「やめていただきましょう。私の修復にはオーナーの霊波が必要です。」
第三者達であった。少なくとも、最早ピートにとっては驚嘆などといった事態ではなかった。
「これ以上やると…そっちもただじゃ済まないぞ!」
「おもしろい。お前の言う事が本当なら、こちらもお前の言う『用件』を言おう。」
勿論、その時は否応なしに指揮下に入れるつもりだ。今回の任務は非情に徹しねばならない
「‘主よ、…’」
ガコンッ
またも壁に叩きつけられ、既にピートの意識は飛びかけている。これが半妖の限界なのか?
素人目にもピートに勝ちは見えない。この状況を見かねて、一文字が殴りかかる。
「おぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「無策に突っかかってくるか、素人が。」
ジークは、掴みっぱなしのピートを武器代わりに目前まで迫った一文字を薙ぎ払う。
「ちっきしょう!無茶苦茶しやがって。」
(ぐ…なんてデタラメな腕力なんだ。なんとかしないと…クソ、計算高い奴だ。)
ジークがピートを放さないのは霧化を封じる為である。ジークにはそうする事がベストと
思えたし、ピートも結果として攻・防・離脱全て抑え込まれていた。ふとジークが口を開く。
「確認しておくが、美神令子はオリハルコンに関っているか?」
「え…?」
「知っているのか?」
各々問い返すが、ピートの反応を聞けば充分である。ジークはピートを床に叩きつける。
「あぐ…、」
「ならばもういい。」
ピートは力無く床に伏せ、ジークが立ち去る正にその時、朗々と声がこだました。
「ちっともよくないわね。ところでアンタの銃って魔族に効くんでしょうね?」
「なに?」
「…タマモ…」
この日のジークにとって初めての驚嘆の声と薄れゆく意識の中のピートの声は同時だった
「あーぁ、格好良く名乗らせてよね。自力じゃ敵わないんなら搦め手使わなきゃ。」
事実上、ピートと挟み込む形でジークと対峙したのは精霊石銃を携えた幼い妖狐だった
「金毛白面九尾の狐?全く、美神令子と横島の傍なら人外のものに事欠かんな。…俺も
そのクチか。チッ、気配の消し合い探り合いは野生動物の独壇場。さらに、自らの容姿の上に
幻術で保護色を重ねて接近し、声で陽動して掏り取ったのか。大した手並みだな。」
「全部見破ったアンタこそ。それにまだ『切り札を持ってる。』って顔してるわよ。」
ジークとタマモは暫し睨み合っていたが、この拮抗が長くは続かない事は自明の理だ。
かたや職業軍人、かたや転生してまだ数ヶ月、ましてタマモは天性の才を誇りとしている
修練などとは無縁である。鍛えられていない集中力は持続しない、決して。だが異変が起きた
ブシュウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーー
「霧?雑種の方か!…煙幕の代わり?」
「今だ、タマモ!」
――視界を閉ざせばタマモが勝つ。そう踏んでピートは自らの意識を振り絞ったのだ。
「了解。ヤルじゃん。」
ガン、ガン、ガン…………。ゴヒュゥゥゥゥゥゥゥゥアアアアァァァァァァァーーーーー
精霊石弾その全てと狐火を叩き込んだ。コレを凌がれれば後がない。そして、間違いなく、
(凌がれたわね、コレは。『切り札』で…。)
実を言うと、タマモは最初から相手の『切り札』を確認することを最優先と考えていた。
(予測不可能の不安材料なんて抱えて戦えっこないもの。喧嘩は裏のかきあいよ。)
「コイツを使わせるとは…評価しよう。貴様らのチームワークを、な。」
「…!……それは、ニーベルンゲンの盾か?」
炎の中から姿を現したジークが携えていた、禍々しいオーラを迸らせる盾は、ピートには
またも人づてに聞いた心当りがあった。タマモは聞き返そうと思ったが、ジークが語る。
「貴様は対アシュタロス戦に備えて調整されたオリジナルの事を言ってるんだろう?
コイツは量産型だ、スペックもオリジナルの9.2%程度しかない。今回の俺の任務は、
コイツと『ロンギヌスの槍』を巧く使ってオリハルコンを回収する事だ。」
「な……?」
「盛り上がってるトコ悪いんだけどさ、それどころじゃないんだよね。こっちは制限時間が
あるんだから、るーべにんげんやなんたらコンなんか後にしてくんない?」
驚愕するピート、状況判ってないタマモ、そして神族とは目的の異なる魔軍士官ジーク。
果たして彼らは各々の目的を果たすために、戦いの渦中へと飛び込むのだろうか?
「あのさぁ、チョッチ話についてけてねぇんだけどぉ?」
一文字のことは忘れて、  つづく

「私は怒っていますよ。よりによって玄関ホールを滅茶苦茶にすることも無いでしょうよ」

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