ザ・グレート・展開予測ショー

ワショクヤの日々(六)中編


投稿者名:AS
投稿日時:(01/ 7/ 6)

 朝の時間帯で10時過ぎ・・・会社員や学生の姿は見なくなったとはいえ、都会の駅前は大勢の人が行き交っていた。
 その中で、やたらと目立つ一組の男女が何やらこそこそと人目につかない場所へと移動する。やがてビルとビルの合間に入り込むと、男の方が耳打ちをする。
(・・・この辺でどーだ・・・?)
(・・・ばっちりでござる・・・)
 その返事を受け、彼はすーっ、と息を吸い込んだ。

『和食屋入嫁狐で、二千円の特別メニュー! それを食いきった者には何と! 絶世の美女の熱い口づけプラス十万円が手に入るというビッグチャンスーーー!!!』

 その言葉は彼の口から発せられた。しかし次の瞬間。

『えー、ですから私共は国民の・・・和食屋入嫁狐で、二千円の特別メニュー!?』
『な、何ですか今の!? あれもスローガンなんですか!?』

 考え尽くされた街頭演説は、とある和食屋の宣伝活動となった。そしてたまたま出歩いて、偶然出会った男女は・・・

『ほら、今やってるのってね・・・絶世の美女の熱い口づけプラ・・・!?』
 バシン!
『私帰ります! さよなら!』
『ああっ! 魔鈴君!』

 周囲は大混乱に陥った。

「せ・・・せんせぇ・・・あれ?」
 辺りが騒然となった事に不安を抱いた少女が、信頼している師へとふり返る。しかしそこに師の姿は無かった。
「先生ー? どこ行ったで・・・」
『ザワザワ・・・こっちからだ・・・』
「ーーー!!』

 弟子は一目散に、その場から離れた。
 混乱を残して。



ーワショクヤの日々(終日)特定の者まさに終日ー



 その頃・・・男はただひたすらに、駆けていた。
『はっ、はっ・・・! だ、誰がやるのか解らんが! 誰であろうと熱い口づけは俺だけのもんじゃーーー!!!』
 ドギュンーーー!!!
 その速さは遂に音速へと達したー

 その頃、渦中の女性達は・・・
「美神さん・・・ほんとにやるんですか?」
 おキヌが不安げに問う。
「あったりまえでしょ、今さらやめようっての?」
「でも・・・これじゃ・・・・・・があんまり・・・」
 うつむいて、そう呟いたまさにその時。

 ガラガラ!
『と、特別メニュー三つっ!』
『俺も!』
『ワシも!』
 雪崩のごとく入って来た者は、皆一様に同じモノを注文した。
 ・・・皆一様に目をギラつかせて・・・

「効果てきめんねー」
「ああああ・・・」

 ドン!
 当然男ばかりの客の前に置かれたのはこれでもかという程巨大な・・・まんじゅうだった。
「何すか・・・これ?」
 運んできた板前風の男が答える。
「当店自慢の一品・・・ギヤマンです」
 別の客が一緒に出された別の皿を指す。
「こ、これは・・・? 何かそーめんに皿が乗ってるけど・・・?」
「それも当店自慢の料理ー・・・その名も河童の川流しそーめんです」
 ガタガタガタ!
 3分の1、脱落。無論料金は前払いである。

「意外と残るわねー・・・誰かさんといい、その執念には恐れ入るわ・・・」
 その時、その『誰かさん』が帰ってきて・・・しまった。
『おかえりー(ニッコリ)』
 いつもの彼ならその爽やかな笑顔に含まれた、凶悪な何かを感じとったろうー・・・だが今の彼はそれに気づかぬ程、焦っていた。
「も、もうこんなに! 落ち着け横島忠男! まずは服を着替えて客として・・・!」
 その時美神が服を手渡した。
「はい服」
「サンキュっす!」
 彼は更衣室へと駆け去った。そして五分後。
「み、美神さん! これ女もの・・・」

『ハッ!』

 途端に彼の目が、キラキラと輝き出した。
「さ、さっさと着せて! 今は心霊催眠が効いてるから!」
 みるみる内に、男・横島の面影は無くなっていく。
 そして、かってユニコーンをも騙した女神(偽)が降臨した。

「あああ・・・! よ、横島さーん・・・・・・」
「さ、解ってるわね!?」
 『彼女』はニッコリ笑って頷いた。
『はい! じゃあ行ってまいります!』
 その様子を満足げに見、一言。

『大活躍ね・・・後で教えたら泣いて喜ぶわよきっと』
『確かに泣くと思いますけど・・・それはやめた方が・・・』

 周囲の思惑など露知らず、『彼女』は大歓声に迎えられた。

『はーい皆さん! 頑張って下さいねっ!』

 眩しく輝く・・・笑顔・・・だった。
 幸あれ。


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