ザ・グレート・展開予測ショー

GSキラー:track10[ディバイン・ハザード]


投稿者名:ダテ・ザ・キラー
投稿日時:(01/ 7/ 5)

ズギューーーン
紅い蟠りはマリアをも透過して眼下の3人に迫っていた。Drカオスはソレが何か気付く。
「アルケミック・トラップじゃと?オイ、ホウキ女。奴に向かって霊波を放て。」
「ホウキ?…はい。……ホウキって………」
いまいち釈然としない気持ちを抑えて言う通りにする魔鈴。すると、紅い影は霊波と
押し合い、拮抗する。相手の動きが止まったので、二人の女性はカオスの説明を催促する
視線を送った。この老錬金術師も説明すべきと考えていたのか、すぐさま口を開く。
「今を遡る事、800年前、ワシが開発した出来損ないの警備システム。それこそが、
ワシが機械を好んで使う転機となった。なにしろアレは人間以外には互いに干渉し合えん。
機械人形が相手ではあのトラップは何の役にも立たん。じゃが、決して破壊出来ん為、
ワシはバミューダ海域の底に超時空転移バリアを張って封印した。」
二人は「今、なんか聞き捨てなら無い台詞を吐かなかったか?」とも思ったがあえて忘れた
「アレは施したワシにも近づけん絶対防御。それに解かれればワシにコール・サインが
届くようになっとるからオリジナルが持ち出されたわけは無い筈じゃが、同じ技術で
別の錬金術師が組んだにしても攻撃デバイスまで瓜二つにはならん筈。恐らくは何者かが
どうやってか、ワシも忘れたワシのオリジナル・プログラム・コードを知ったに違いない。」
「じゃあ、カオスさんにはあれの弱点が解るんですね?」
魔鈴の問いにカオスは憤慨して怒鳴る。
「戯け!天才たるワシの作品に弱点など無いわ!!ただ、特性が不利に働くことがあるのみ。
例えば、奴は攻撃対象の血液を吸収し、己の身体に上乗せして成長する画期的なトラップ。
じゃが、その反面、攻撃対象者数×4リットルの血液を補充すると活動を停止する。」
4リットルとは無論、成人の平均的総血量であるが、半分の2リットルを失うと失血死する。
もっと言えば、さらにその半分だけでも戦闘不能には十分である。まして、病院でもない、
戦闘中の現状で計って採血するなど不可能であろう。と、唐突にカオスがトラップを掴む。
「なにをしてるんです!」
魔鈴が叫ぶとカオスは早口に語りだす。
「知れた事!こやつはただ血を吸うのみ。身体が無傷なら不死身のワシは行動不能で済む。
ワシがやるしかあるまい。貴様らはトラップのマスターを叩け。解除するには…
それしかない。…マリア!二人を連れ、速やかに離脱!その後、眼鏡の若造に従え。」
「イエス、Drカオス。グッドラック。」
マリアは被命令パターンNo3<別行動>の対応で忠実に応えると二人を抱え、
飛行ユニットを作動させる。
ヒィィィィィィィィィィィィィィン
「あの〜〜、私〜〜、遠慮しておくわ〜〜。シンダラちゃんが〜〜、ある……」
ズッギャーーーーーアアアァァァウウウウウウゥゥゥゥッ
『っきゃあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー………ぁぁ』


「しかし、オリハルコン・ゴーレムとは…いや、ピートの話を総合すると他に無かったが…」
そう言うと唐巣神父はいつになく沈痛な面持ちを見せた。横島は少し興味を引かれ、訊く。
「オリハルコンって、ゲームとかじゃメチャレアなアイテムのアレっスか?」
「えぇ、硬度10を誇り、あらゆる化学反応を示さない、金属ン中じゃ、最も不滅。伝説の
『王者の剣・エクスカリバー』も、これでできてるそうよ。でも、コイツが錬金術師の間で
伝説化されてる最大の要因は、周囲の霊波という霊波を片っ端から打ち消す。ってトコよ」
美神は普段の世間話と変らぬ口調で答えた。横島は考えた。それは安心して良いのだろうか
それとも、かなり追い込まれてるのを誤魔化しているのだろうか?今度はピートが尋ねる。
「でも、どうやって触れてもいない霊波まで消せるんです?まして、なんでもかんでもって
そんな物が在るなんておかしいですよ。霊波の拡張によって人間以上の能力を持つ、妖怪、
神や魔族さえ、それがあれば普通の人に倒されてしまうじゃないですか。僕達が必死に
戦って、……そして大きな犠牲を払ったアシュタロス事件は何だったんです?」
「………!…美、美神さん?」
「…だから先生も言いづらいんじゃない…。でも事実、あったのよ、そういう『伝説』が」
美神も流石に目を伏せて言う。その視線の先には過去の悲劇が甦っているのだろうか……。
「伝説?」
「そうよ。実在が確認されて無いだけじゃなく、物理学、霊能学、両方の側面で在り得ない。
そういう結論が出てた筈なんだけど……。…腑に落ちないのはそれだけじゃないわ。
そんな物でゴーレムが造れる筈も無いし、アンタも言ったように、あんなモンが在れば、
神魔族と人間の関係は逆転するわ。黒幕はそこら辺まで頭回ってんのかしら?…いいえ、
それよりアレがあんだけ騒いでるってのにオカルトGメンが動かないのはどうゆうこと?」
ピートも美神も、そこで言葉をとぎることしかできなかった。だが、もう一人。
「解んない事なんか後回しにすりゃいいんスよ。
とっととおキヌちゃんを助けに行きましょうよ、美神さん。」
「…そうね。じゃ、横島君、「カオス・フライヤー2号」出して。鈴女、出番よ。先生もね。
今回は先生に武器持ってもらうからね。」
「え?そんじゃ俺は?」
「あ…あたしも行きたい!」
立ち上がる美神に横島と一文字が言うが、美神はさらっ、と言い放つ。
「今回の戦いは霊能力が役に立たないわ。頼れるのは、場数を踏んで培った知恵と精神力。
早い話が柔軟な応用力と冷静な判断力。アンタ達、ルーキーには無理よ。お呼びじゃないわ」
「し…しかし!相手に直に使わなければ、文珠でアシストぐらいは……」
「『アシストぐらい』の為にヒヨッ子のお守はしてらんないわ。因みにピートは留守番」
横島は美神の表情を観察したが、別に怒ってなどいない。彼女は本気のようだ。
「そんじゃ、アンタ達もう帰んなさい。横島なんてまだ学ランじゃないの。ピートは冥子達に
この事伝えたら好きにしていいわ。シロとタマモの方はほっといていいから。」
「な…!ピートは俺と同期スよ?」
ピートを仲間につけて反論してもらおうと考えていた横島はこの扱いに異を唱えた。
「下積み期間が全然違うじゃない。」
あっさり撃沈した横島はこうしてアパートに引き上げた。


unkownパート(SOUND ONLY)
「忙しいところ付き合ってもらっちゃってすいませんですねー。」
「いやいや、ワシらの力では元々無理な職務でしたから。なぁ?」
「いや全く。武官に我々程度の護衛は無用でしょう。」
「ん?お前らは…」
「あー!アナタはー!!…ほーぅ…美神さんに用があってきたんですかぁ。」
「そうさ。だが貴様はどうなんだ?どうせ考えてることは一緒だろ。」
「そ…そんな事、無いですよ。私は、…横島さん…横島さんを頼って来たんですねーっだ!」
『ひ…姫?そんな事を仰って…』
「さ、さぁ!横島さんのアパートに行くですねー!!」
つづく

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa