ザ・グレート・展開予測ショー

極楽大作戦 de 時代劇 第弐幕  巻之七


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 7/ 4)

美神藩城内は以前成敗した次席家老の風炉努留(プロフェッサーヌル)の隠玉で危機に貧している。
蝋燭問屋茂留田に古美術鑑定士と名乗った須狩が隠玉と言ってよかろう。。
事を家老職の毒田薫栖(ドクターカオス)伝えたのは腰元のおしろにおたま(シロ・タマモ)であった。
「なんじゃと?矢張りあの二人は首謀者一味であったか。で暴れているのは?」
「はい、武芸指南方恐山頼経(おそれざん・らいきょう)殿は邪剣シメサバ丸であばれているで御座る」
「小姓、真友康則様は悪鬼のとりついた剃刀により操られています」
「更に、茂留田、須狩の用意した悪鬼が一匹、蛾硫羽唾(ガルーダ)がいるで御座る」
しめて三人。
「・・わかった。カラクリ人形の毬亜(マリア)、それに目付の持郁傳李徒(ジーク・フリート)をこれへ!」
その他、武道方を呼びつけて、
「城内一大事じゃ、気をひきしめて!誰も死ぬでないぞ」
「はっ」
「それとな、この次第を氷室屋御夫妻に小竜道場に知らせよ、あとな決して町奉行西条にはさとられるな!」
町奉行、西条も大変な事態が起きているからだ。
「街は御主にまかせる。頼むぞ!」
斬れ者と知られる家老、毒田薫栖に、美神藩の陶山金四郎と奉られている西条輝彦守だ。

城内の喧騒は全く城下街には聞こえていなかった。
特に美神藩南方に位置する家老宅普請(家老宅の建築現場)には何も聞こえない。
現場には机組副棟梁寅吉が実権を持っているが、今は女ながら棟梁である愛子(机の愛子)が来ている。
「寅吉、今度何時御家老様は普請を覧ずると言ってたか?」
「四日後には来たいいうてましたのぉ〜、愛子棟梁」
「そうか、あと普通にやって一週間か、なんとかあと三日でならないか?」
「建物はナンとかなりますけんど、庭手入れがおいつかんかとぉ」
「そうか」
と言った時、愛子棟梁と寅吉の目に異様な一団が映った。
「あれ?・・あそこでへばっているの令子姫様じゃないか?まさか」
「いや、ホンマ物、です、ほれ他の連中も!」
この連中は関所の近くで起きた怪事件の解決に向かった面子であった。
唐巣寺の和宏和尚(唐巣神父)、旅篭魔鈴の亭主めぐみのみが意識を保ち、
老同心蛮平信(ヴァン・ヘルシング)、令子姫はおのおのの背に乗っている。
しかし、その四人の後に続いた、同心武等都比延蕩(ブラトー・ピエトロ)は大怪我で、
「あり?このお子さんは・・!祈祷師のエミ様!!」
そういえば、大人を子供化してしまう悪鬼の馬醫羽(バイパー)退治に出たとは聞いていた寅吉であったが、
「失敗でしたんかノ?」
「・・えぇ、寅吉君。それよりも、水を・・」
この水で蛮平信は息を吹き返した。継いで令子姫も。
そして事に気づいたのは寅吉の女房であるおまり(魔理)である。
「あの、同心の関俊介様は?」
「そ、それについては、秘密じゃ、奉行所へ行くぞ、武等都」
「・・はい」
先の失敗は若い武等都が暴走したが故の失敗とも言えなくない。
「それで、我々を守るため、関様は御自分の力を振り絞って・・・」
唐巣寺の和宏和尚が悔し紛れに言う。
「とりあえず、子供化したエミを安全な場所・・六道屋へ連れていきましょうか、和尚」
令子姫が提案すると」
「そうですね、そうしましょう。寺では何も出来ませんし」
よろよろしている二人に、
「おら、若いの手をかしてあげないか!」
愛子棟梁の気質は江戸のそれにちかい。関東八州小京都とよばれる美神藩も江戸にちかい
事を物語っているかもしらぬ。

奉行所へ向かった二人、蛮平信と武等都比延蕩である。
「も、申し訳御座いません、御奉行様」
奉行西条を見てそうそう平謝りの武等都だ。
「何故じゃ?おぬし等には関所の手前で働く様に通達したハズだが?」
平信が答える。
「は、はい。実は一通りの作業が終わりました後、わたしが武等都に向うを手伝えてと」
言い終わらぬうちに、
「武等都、御主はそれで向かって、この様なのか?」
「はっ、も、申し訳なく・・」
息を吸ってから、
「馬鹿者!よいか事は机上の話ではないのだ、報告を聞けば関が石になっているだと?あやつらしいわ、よいか今日は謹慎じゃ!」
「はっ、はー」
ひれ伏す武等都には声をかけずに、
「蛮平信、本当におぬしが焚きつけたのか?」
「何をおっしゃいます」
「解った」
奉行と平信の付き合いは長い。互いの腹は理解しきっている。
「武等都をかばうか。あやつらしい。奴の身柄は平信に任せるか」
これも曲者という奴である。

さて、六道屋では江戸で六道屋の卸売りをしている鬼道屋政彦、それに家老の養女である小笠原流祈祷師エミ。
この二人は邪法により子供にされている、保護者は六道屋の一人娘おめい(冥子)だ。
「はーい。次は折り紙であそびましょーねー、こらまーくんもエミちゃんも仲良くね」
「・・おめいと子供、精神年齢があってるって奴ね・・・そんな奴の友達なの?」
「そんなー、ひどいー、令子姫様ぁーー」
「あー、なかないでね。私も疲れているから、ちょっと休ませてね」
令子姫、気絶していたとは言え、疲労が最も溜まったのは、先の戦闘で殿(しんがり)を勤めていたからであろう。
唐巣寺高僧、和宏和尚はすでに寺院へ帰っていた。旅篭魔鈴のめぐみも同様であった。
馬醫羽征伐は失敗であったが、敵の足止めにはなったようだ。

その日の昼過ぎ、ある親子が道を通った。名を母が『みい』 息子が『けい』。
「ねぇ、母上。あそこに変なお地蔵さんがあるよ」
「ほんとだ、何かしらね」
この親子実は猫の物の怪であるが、さる事情より人間の世界に入っている。つまり魔力を少なからずもっているのだ。
「母上、何か聞こえない?」
「誰もいないけど、まさかこの石仏が?」
おそるおそる見据えると、
【そうだ、私だ】
『にゃー!』
と、恐れている二人だが、
【恐れる事は無いぞ。私は関、同心なのだが、こうなってな。おぬし等に頼みたい事がある】
「あれ?なんだろぉ?」
関が落した物は金色の針であった。
【これを、御奉行様に届けて欲しい】
それっきり声は聞こえなくなった。

その前後の時間帯で、城内の物は氷室屋夫妻と小竜道場の接触に成功していた。
「氷室オキヌ様、忠夫様城内が一大事で御座います」
「何かようですかぇ?」
事の起こりを説明すると。
「それは大変ですぇ、貴方用意してや、御殿はん助けにいこうどすえ」
しかし、亭主の氷室屋忠夫、
「お前なぁ、もぉち〜と手加減してくれやっしゃろか?」
何を手加減するかは想像にお任せする。
さて、念のために。氷室屋オキヌと忠夫は夫妻である。夫婦である。
でも本当は氷室屋という店の者では無く、氷室の姓は皇室に連なる物の名である。
「うちら夫婦で化け物退治にでとるんです」
という事で現在は美神藩に仮宿を取っている。
継いで美神藩随一の規模を誇る無外流派小竜道場からも、道場主、妙神おりゅう(小竜姫)も、
「城内が荒されるとは武士の恥!行くぞ雪之丞!」
おりゅうと伊達雪之丞、この二人も城内へ向かう事になった。
「やれやれ、ワシは稽古をつけておけという事じゃな、しかし事が収集しないと江戸へは帰りずらいのぉ」
江戸から来ている無外流の最強剣士秋山小兵衛のぼやきである。

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これは、
「箱根にゃあいた、伊豆にも慣れた、次に向かうは美神里(みかみさと)」
関東八州小京都と呼ばれる美神藩の妖魔騒動記です。
現在、二部では、
関所にはバイパー(馬醫羽)が睨みを聞かし、
城内では須狩と茂留田が暴れています。
まぁ、前の作品を御参照下さい。        

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