ザ・グレート・展開予測ショー

GSキラー:track09[月がこぼれそう<カップリング・ウィズ「GRIDER」>]


投稿者名:ダテ・ザ・キラー
投稿日時:(01/ 7/ 3)

とある考察――
タマモが狐火と称しているのは念火能力と同義。と、考えて間違いではあるまい。ならば、
制御が困難で、術者の精神状態にダイレクトにリアクションする。と、言える筈である。
タマモは今、(自称)天敵に対して憎悪の念を掻き立てていた。血に渇くほどに……――。
天敵を名乗った存在はこっそりとほくそ笑んだ。今、ハッキリと、
火の手が上がるのが見てとれた。居場所を捕捉した。自分の任務は9分通り終了だ。
「死ね……。友情だとか…、そういったくだらない自己満足の意識とともに。」
ズパァァァァッ
彼はブロック塀ごとターゲットを寸断するつもりだったが、
獲物は一瞬早く飛び出していた。7匹ほど。彼は激昂した。
「またも一つ憶えの幻術かぁ!?くだらぬ延命策がぁぁぁーーー!!」
言って彼は、瞬く間に「7体の幻」を薙ぎ払った。初撃の死角から幻を増やしたのだろう。
「えぇ、トリッキーな一発技よ。2度も引っ掛かるなんて、程度が低いわね。
妖怪(ヒト)の事、子狐だの野獣だの言う割にはたかが知れてるわ。」
(殺してやる。)
タマモは語る事で内なる自分の声を遮ろうとしたが、大した役には立たなかった。
「大体、あたしをあのバカ犬と同程度と考える事自体、アンタが三下だ。って証拠よ。」
(殺してやりたい。)
続ける、意味を為さない事を。
「今、あたしがすべき事は、美神さんに事態を教える事よ。僅かとは言え、無用のリスク
を背負ってアンタを倒す事じゃない。」
(殺してやりたいけど、……敵わない。)
視界が歪む。…いや、にじむ。熱が目からこぼれそうだ。やがて、白銀の化物が口を開く。
「なるほど、な。ならば時を改めよう。貴様の都合で来るがよい。だが、夕刻には必ず来い。
人狼の命惜しくばな。…貴様は必ず生きたまま全身を70分割以上切り離してやる。」
身の毛もよだつ台詞を吐いて、怪物は立ち去った。一方、タマモは注意深く穴から這い出た。
カラクリはこうだ――。先ず、渾身の狐火を初弾で撃ち放ちアスファルトを砕く。次に、
冷静さを失って狐火が暴発した振りをして巣穴を掘る。奴が刻んだブロック塀の天蓋付き
幻術で逃げる自分を見せれば、まさか足元にいるとは思うまい。
「『これですよ、これ、これこそがこの九尾の狐・玉藻のイメージ!』
…とは言い難いわね。ま、イメージはともかく、狐火で穴を掘ったのは正解ね。アイツ、
口で言う割りに注意が完全に幻術にいってたし、野獣呼ばわりしといて気付かないし」
タマモは一人ごちてその場にへたり込んだ。


とある考察――。
Drカオスは美神の時間移動に触発されるように750年前の記憶を思い出した。もしや彼は
ふとしたきっかけさえあれば過去の全記憶を(ひいてはヨーロッパの魔王の本分を)
取り戻すことが出来るのかもしれない。冒険に餓えるほどに……――。
魔鈴めぐみは玄関の錠を外し、ドアノブを回して扉を押し開けた。目的はDrカオスである。
だが、突如、予想だにしない出来事が起こった。敷居から紅い何かが飛び出したのだ。
「な………?」
その続きを言う余裕は与えてもらえなかった。紅い影は魔鈴に真っ直ぐ向って行った。
ヅグヂュッ
「くあ!?」
魔鈴は抵抗を試みる寸前で不定形の紅い塊に捕えられた。だが、廊下の奥にもう一つ影…
「シンダラちゃんお願いね〜〜。」
ウュン
影の正体=六道冥子の式神も魔鈴を救出すべく彼女に向かって飛翔する。しかし、紅い塊は、
ひょい、と、軸をずらしてやり過ごす。しかし、一瞬の後、塊はシンダラに引き剥がされた。
亜音速で飛行しながらとんぼ返りがうてるシンダラだからこその芸当である。1回、外へと
飛び出したシンダラが急反転し、2回目のトライ。見事、魔鈴を伴って、主の元に、
帰還を果たしていた。が、しかし、
「アレ、何なのかしら〜〜。困ったわ〜〜。廊下じゃ〜〜、狭くて〜〜、闘いづらいわ〜〜」
彼女の式神には身の丈が人のそれをひとまわり大きくした程の者もいる。この場所では、
ビカラ、バサラ、インダラにはちと狭すぎる。まぁ、こんな場所でインダラの能力に頼る
事もあるまいが、彼女に言わせれば有用性など二の次だそうな。
「…ケホケホッ。対侵入者用のトラップと見て間違いありません。……まさか?」
魔鈴は思った。自分にも正体が掴めない程高度な呪的トラップ。侵入者に対すべき館の主。
「……違うわ〜〜。こんなダメージの高い呪いは〜〜、「捨てた」って〜〜、
エミちゃん〜〜、言ったもの〜〜。」
先刻はもどかしいほど意志が伝わらなかったが、今度はドキリ、とする程核心を突いてくる
六道冥子、得体の知れない精神構造をお持ちのお方である。そう言われてしまっては、
魔鈴には引き下がるより術は無い。この間にも敵は迫る。冥子も応戦の指示を式神に下す。
「アンチラちゃん、サンチラちゃんがんばれ〜〜。」
ドギューーーン
ありえないとしか言い様が無い不自然な音と共に紅い塊は式神を透過して突き進んでくる。
それこそありえない話だが、実際に目の前で展開されては疑うべくも無い。
「なんで〜〜〜〜?」
「っっきゃーー!」
ベシベシベシッベリィィィィッ
突然、床が流砂が如く一点から下に飲み込まれ、冥子と魔鈴も巻き込まれる。
ドシャアァッ
「なんでなんでなんで〜〜〜〜〜〜?」
「そんな事言われてもさっぱりですよ。…って、あ!マリア!助けてくれたの?」
「イグザクトリー、ミス・魔鈴。」
マリアはほぼ質問の解答のみ答えた。引っこ抜いた床板を抱いたままで。そして、
「本当に久々に言うが…『遊ぶならワシもまぜてもらおう!』」
「Drカオス!」
Drカオスの高らかな宣戦布告と、魔鈴の驚嘆の叫びが地下室を支配した。
つづく

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