ザ・グレート・展開予測ショー

未来掲示・別編(ラプラスの語り16)


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 7/ 2)

そこは一筋の陽光も蛍光灯もない薄ぐらい部屋である。ある特殊な牢屋だ。
貴方はどうしてもこの鬱蒼とした部屋の奥へ行かねばならなかった。
=あっ、来たか、まぁ下らん話だがな=
悪魔ラプラス、確実に未来を映し出す能力を持つ。

待ちなって、未来ってのは無限の可能性がある。その数と同等の俺がいる訳だがな。
それでも聞きたいのなら、俺の知っている歴史を語ろうじゃないか。そう忠告を一つ。
ちゃんと聞けよ。

さて、世の男女にとって、最高の日の一つは結婚式だろう。
誰だ?人生の墓場なぞ、言った男は。そんな奴には確実の未来を教えて絶望に追いやりたいね。
「おめでとぉ、なワケ!令子」
「ふん!横島君、精々令子君を幸せにしたまえ」
「美神殿、綺麗でござるなぁ〜拙者も着てみたいで御座る」
「あんたにゃ似合あわないよ、シロ」
結婚式の主人公は美神令子と横島忠夫だ。
えっ?違う話じゃないか、だと?まぁ最後まで聞け。
ハネムーンはさる外国だった。とても甘い1日だった。
「ホンと!あんたと結婚するとは思わなかったわ?」
「嫌かい?令子」
「年下にれいこなんて言われるのはなんだけど、と〜っても気持ちいいわ」
この幸せは途切れた。
「令子!危ない!!!!」
その日、街を散歩していたら、横島と美神を敵とみなす悪魔。さる悪魔が二人を裂いた。
身を呈して、妻を守った。自分の命を引き換えにな。
「横島ぁぁぁぁぁぁぁぁっぁ!」
美神は、どうやって日本に戻ってきたのか、自分でも覚えていないらしい。

さて、本来なら死神により、魂は上か下にいく手筈だが、
「頼む!死神、一目、一目令子に合わせてくれ!」
その死神は駄目だ!といってな。
「ならば、逃げるまでよ!」
流石は世界に誇るGS、死神も慌てただろう。
東京は横島探索チーム死神でごったがえしだ。目的は一つ、横島を見つける事。
「こっち!横島さん」
逃げまとう横島に救いの手をあてたのは・・。

「やぁ、横島君。なんて挨拶すればいいのかな?」
「うーん、なんだろ?まぁサンキュー愛子ちゃん、助かったよ」
学校霊の代表格、机の愛子の中にいる。
「私の中は異次元、先ずみつかりっこ無いわ」
その言葉に落ちついた横島だが、
「そっか、おれ死んじまったのか。令子すまねぇ」
魂の気落ちってか?
「ねぇ、横島君。元気だして」
「元気・・か。でもこれからどうしよう、本物の霊になろうかな?」
「横島君がオキヌちゃんクラスの幽霊になるのは少なくとも100年は必要よ」
そうか、せめて・・令子に一言と、呟いた。
「焼けるわね。美神さん・・私だって・・惚れていた、相手よ」
「へっ?」
「ほら、横島君の身にバレンタイン疑惑あったでしょ?」
それは自分の仕業だと告白した。
「そっか、そんな事もあったな。全ては生きていた頃さ」
「机の中でならちょっとだけ、生活できるわ。私じゃ不満?」
「・・俺が本当に惚れたのは令子だ。それでもよければ」
「うん、私は長い間独りだったの、ちょっとだけでも新婚生活が出来るなら」

当初はギクシャクした夫婦ではあったが、時間が全てを解決した。
「今日の晩飯はなんだい?愛子」
「そおうねぇ、てんぷらなんてどぉ?」
「いいね」
机の中で行なわれる飯事(ままごと)は横島にも安堵を与えた。
だが、だ。あの世へ行けるリミットがある。愛子も知っていた。
「どうする?横島君。本当の幽霊になる?」
「・・美神さんに会いに行こう、そしてさ。もし死神が許してくれるなら二人で天国行こうぜ」
「うん!」
愛子は賛成した。実はこの時が横島からの御願いだったのさ。
「惚れた男の頼みだもの、文句はないわ」
これも良い女の条件だ。
今日も部屋の中で泣き撫せている美神令子だ。
「ううっ、あなた、あなた!」

その夜、二人は美神の夢に入った。その様子を見ていた死神がいたが、行動はなかった。
【会いにいくが、いい】
『やぁ、令子。ようやく会いにこれたよ』
「あなた!」
『すまん、本当はもう少し早く会いに来れたのが、寄り道があってな』
「寄り道してたの?ふん、愛子ちゃんの結界に」
『はい、東京に横島さんの魂を取ろうと多くいたので匿っていました』
「ありがと、愛子ちゃん。でもどうして今日来てくれたの?」
『じつは、令子。俺は幽霊にはなりたくない。成仏する事を決めたんだ』
「そう。そうね」
と、言うと、美神の前世の記憶が蘇った。
【やぁ、高島の未来。私さ、メフィストだよ。今回はお前の女になれてよかった】
『そうだな。こんどの来世こそ、二人で幸せな生活築こうぜ!』
そして、最後に、
「愛子ちゃん、うちの亭主と一緒にあの世に行くの?お願いね。ちゃんと監視してね」
「えぇ、喜んで」
それから死神がやってきた。
「-手を煩わせてが、最後は自首か。そこの学校幽霊も導こう-」

美神はもう泣かなかった。
「また来世でね、横島」
「元気になったね。令子ちゃん、どうだい?体は」
何かにつけて心配した西条が成り行きとは言え美神の心を穏やかにした。
「ねぇ、西条さん、本当に私と結婚してくれるの?」
「あぁ!令子ちゃんが許してくれるなら?」
「・・私の体に・・赤ちゃんがいるのよ」
たった1日の情事だったのやも知らぬ。だが確実に横島との夫婦の日があった証だ。
「構わないさ。俺の子供としてそだてるよ。そうだ。今日医者にいったら三つ子だって」
「あらぁ?初出産なのにきつくなりそうね」
その赤ん坊は女の子二人、男の子一人だった。
最後に名前を言っておこう。
女の子は愛子に蛍、男の子は忠夫、男の子の赤ちゃんが横島忠夫の生まれ変わりかは俺にも解らない。

-くくくく、忠告したはずだぞ、ちゃんと聞けと-
貴方は不覚にもあくびをしてしまった。
それはこの場所に来る為に夜通しであった事に起因する。
最も今回はどうも、という感覚があった。
貴方の態度はラプラスの機嫌を損ねた。
=飽きたか、まぁ下らん話だからな=

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