ザ・グレート・展開予測ショー

横島クンは神になれるのか?〜その9〜


投稿者名:sauer
投稿日時:(01/ 7/ 2)

…?……陽射しが眩しい……もう、朝か………?
 俺はお世辞にも調子の良いとは言えない状況で、よく見慣れた部屋で…目を開いた。
…あいかわらず、俺の五体は、霊力に満ち溢れている反面、
かなりの倦怠感を伴い、俺をかなり消耗させていた。が、そんなことはどうでもいい。
…俺は、軽く頭を振った後、昨日の小竜姫様の言葉を思い出すことに、気を集中した…


「一週間…ですか………わかりました、それくらいならあなたの体ももつでしょうから。
 しかし…本当に、神族になってもいいのですか?…神族になる、ということは…」
「…俺は、正直言って馬鹿ですけどね?小竜姫様…。それがどういうことかくらいは、
 ある程度の予想くらいはつきます…けど、俺、まだやり残したことも…たくさん…
 たくさんありますからね…死ねませんよ…まだまだね。それに……」
ここまで言うと、彼はふっ、と笑みを漏らし、
「小竜姫様や老師となら…うまくやっていけそうな気がして…」
「横…島……さん…」
突然、小竜姫は、わけのわからない感覚…――悲しみや、怒り…そして、横島への、
 強い罪の意識…それらが一気に彼女に降りかかったような――…に襲われ、
常に強い意志の光を宿しているはずのその瞳には、もっと別の………誰もが持っている、
もうひとつの輝き…『涙』が、あらわれていた。
「ご…めんなさい…よ…こし…ま…さん…私達の…力が…及ばないばっかりに…」
「えっ!?しょ、小竜姫様!?」
もちろん彼は、今まで小竜姫の泣く姿など見たことがなかった。そのため、
ひどく動揺していた。(これに限らず、男の人は女の人が泣くと、たいていこんな反応)
「私たちが…もっと…もっとしっかりとした対応をとれていれば…貴方を…
 こんな目に……あわせずに…すんだのに………」
「…それは、ちがいますよ、小竜姫様…俺が始めて妙神山に行ったときからの…
 …運命…みたいなもんですよ…これは…俺が自ら進んできた道…
 否定はしませんよ。例えどんな失敗があろうとも…大切なのは、『未来』を…
 変えようとすることじゃなくて…『過去』を…否定しないものにすること…
 ……あっ!?す、すいません!カッコつけちゃって………」
思わず口をついた言葉を呪いながら、彼は照れ隠しに、ただひたすら笑うしかなかった。
――…『あの件』以来、横島の読む本の中に、「あっち系の本」や「雑誌」以外に、
「人生論」などを語ったものが混じりだしていることを、誰も知らなかった…――
「横島さん…」
こつんと、小竜姫が無意識に横島の胸に額をもたれ掛ける。…とてもあたたかい…
「!!ッ…しょっ、小竜姫様っ!?」
もちろん、横島は動揺する。そんな彼の様子に、ふっと、笑みを漏らし、
「ありがとう…横島さん…」
と、小さく言った。…普段はあんなにスケベそうな人なのに…こんなときの彼は、
とてもかわいい……『誰にも渡したくない』………!!
 突然、いま自分のしたことに気づいたような顔で、小竜姫が淡く桃色に染まった頬を
隠しつつ、横島から離れた。
「…あ…ご、ごめんなさい、横島さん……そうですよね…否定することのない『過去』…
 …それこそ、いまの神族に求められているものなのかもしれません。」
「…そ、そんな、俺はただ…」
あくまで、自分の『理想』として言っただけで…実際は…現実は、ちがう…
「ふ…よくもまぁ、それだけの事を言えるものじゃの…」
老師は、なぜかうれしそうにそうつぶやくと、その姿に、霧がかかったかのように
虚空に浮いて行った。
「ワシとセロンは、ひとまず横島の手続きをして来ようかの…小竜姫!!」
「えっ!?はっ…はいっ!!」
「横島に、一週間、ついていてやれ。…ただ、周りの連中には…気づかれんようにな。
 とくに、事務所の連中には………そのほうがよかろう?横島。」
「…えっ?…あ、あぁ、そうっすね。けど俺のとこはせまいから、美神さんのとこに
 寝泊りしてもらうことに…それと、事務所のみんなには、俺が自分からちゃんと
 言いますんで………余計なことは言わないで…OKですね?」
そんじゃ、ちょっくら顔出しに行きますか…!と、ベッドの上からすべりでた横島……
「横島クン、体、無茶だけはしないようにね…?」
…に、心配そうにセロンが言った。
「あぁ、わかってるよっ!一週間したら、また会えるからな!!」
そう言って、なぜか名残惜しそうなセロンと、やたらとうれしそうな老師と別れ、
小竜姫とともに帰路についた…そして…
…そのあと、うすれゆく意識の中で…
 …セロン、早速約束破っちまったよ、もぉボロボロだ…
  …と、思いつつ、セロンに謝罪したのを…………


……かすかに覚えている。そうか…俺、あのまま寝ちまったのか……
早速、貴重な一日をつかっちまったな………
「せんせ〜っ!さんぽっ!さんぽっ!さっんっぽっ!!さんぽでござるぅ〜〜〜っ!!」
…ふ…勘弁してくれよ、シロ…俺は今すっごく疲れてて…散歩どころじゃ…あれ?
「?…なぁ、シロ…」
「?なんでござるか?」
「そこに今…タマモがいなかったか?」
「…いるけど?なんか用?横島」
……めずらしい…タマモが起きてるなんて…天変地異の前触れか?…………ッ!!
「これだっ!!」
思わず俺は叫んでしまったので、シロタマはかなり不信顔だ。
「せ…せんせぇ?…ど〜したでござるか?」
「…ま…まさかとは思うけど、昨日殴りすぎたからじゃ…」
「なっ!!おまえのせいでござるかぁあああ!!!」
「ち、ちょっ!?待ちなさいよ!?美神も殴ってたでしょうが!?」
「…あの人は………対象外でござる…」
「………なぁぜ?」
このままほっといて、この二人の会話が、あの美神さんに聞かれたら…やばっ!!
このままじゃ、俺のせっかく(今)立てた計画が、それこそおじゃんだ!!
「な、なぁ、タマモ…お前も、散歩に行かないか?」
「「…えっ?」」

―――あ〜〜〜〜、寝不足の上、アルコール入ってて最高に何考えてんのかわかんない!
 今回は、『アレ』の導入編みたいなやつです。
(「『ア』のシロちゃんとタマモちゃんの日常的ながらも『レ』アな会話」の略)
 次は、また軽いお話になります。ではではっ!!

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