ザ・グレート・展開予測ショー

GSキラー:track08[オリハルコンとAYASI]


投稿者名:ダテ・ザ・キラー
投稿日時:(01/ 7/ 2)

六道冥子はクピラで1階から2階へと順に霊視していた。その脇で、Drカオスは偶然から、
地下室を発見し、昂ぶる好奇心に素直に従っていた。一方、魔鈴めぐみも屋根裏まで
調査の手を伸ばしていたが、エミが失踪したと断定する事さえかなわなかった。
「これは…一旦引き上げて、唐巣神父に指示を仰いだ方がよさそうですね。」
魔鈴は言い終えてからはっ、とした。またDrカオスに因縁つけられる。と、思ったからだ。
しかし、Drカオスと彼の最高傑作の姿は何処にも見当たらなかった。
「……?…変ね、……カオスさーん?………外かしら?」
魔鈴は玄関へ向かった。


美神令子はポーチから神通棍を引き抜くやいなや一気に霊力を込めた。それに応え、
神通棍はあたかも光の柱が如きその戦闘体制をあらわにする。だが、美神の力には
『更に上』があった。加速していく美神の霊圧が神通棍のキャパシティを超える。
「アンタの名前も聞いちゃいないけど、これで終わりにさせてもらうわ!」
美神は、形を失った光の柱を眼前のゴーレムに叩きつけた。いや、叩きつけようとした。
「……アレ?…は、…外れちゃった?」
「外れたというよりキミ、外したんじゃないの〜?狙いが思いっきり変だぞ。」
美神の驚嘆に二億円が…いや、依頼人が(確か、間田とか言っただろうか?)反応する。
「う…うっさいわね!こっちだって驚いてんのよ!!」
言いながら美神は2撃目、3撃目、と敵めがけて鞭状の神通棍を振り回す。が、その全てが
目的を果たす事なく手元に返ってくる。
「おいキミ!本当になんとか出来るんだろうな?」
焦れた依頼人が怒鳴るが、地べたに這いつくばってる奴など相手にしてる場合ではない。
「…なら、札はどう?」
美神は服の袖から壱千萬の破魔札を2枚取り出し、敵に投げつけた。その流れるような
動作は、歴戦をくぐり抜けた彼女ならではのものだった。
が、2枚の破魔札は敵に近づくとひとりでに燃え尽きた。
「…!…こんな事って…」
美神は絶句しかけたが、そうさせてはもらえなかった。
「あああ、もーお終いだー!」
「考えてるんだから静かにしてよ!」
美神は一喝して依頼人を黙らせる。本音を言えば、殴ってしまえば手っ取り早かったが…
「……精霊石を使えばハッキリするけど…必要経費で落ちるかしら?」
「もーなんでも良いからどーにかしてー!」
コレを言わせずに昏倒させるわけにはいかなかったのだ。
「まいどあり。」
いくらかけても自分の懐が痛まない時の彼女は無敵である。早速、手持ちの精霊石を
ありったけ投げつける。が、森羅万象に本来の在り方を示す閃光が周囲を満たすことも無く
精霊石は無に帰した。しかし、今回に限っては収穫がある。美神は呟いた。
「…やっぱり……、アンチ・アストラル・メタル『オリハルコン』ね…。」


美神除霊事務所に来客があった。その客の声が朗々と響く。
「スンマセーン。一文字ですけどー。おキヌちゃんにちょっといいスかー。」
「へ?おキヌちゃんはまだ帰ってない…んだよな?」
玄関に出て応待した横島は後ろに振り返って無人の空間に訊ねた。
「?…はい。朝、制服でお出かけになったきり、私はお会いしておりません。」
この人工幽霊一号の返答に驚いたのは無論、一文字である。
「んなバカな!今日、おキヌちゃん学校来てねぇぞ!!」
「な………!まさか、おキヌちゃん…グレちまったのかぁぁぁ?」
「アホか!どんだけアノ娘と付き合ってんだよ!!そんな奴に見えんのか?」
このやり取りを聞きつけて、唐巣神父とピートが2階から下りて来た。
「まさか…、奴じゃあ…。」
この、ピートの迂闊な発言を聞いて横島の目つきが変り、外へと駆け出しながら叫ぶ。
「あの……野郎ォォォォォ!」
「待ちたまえ!どうするつもりだ横島君。」
神父は答えの解りきった問いを横島の背中に投げる。
「捜しだして、半殺しにしておキヌちゃんの事を聞き出す!」
「どうやって?」
ピートの質問には、二つの意味が込められていた。すなわち、〈どうやって捜しだすのか〉
そして、こちらがより難問だが、〈どうやって勝つのか〉横島に答える術は無い。
「捜し物なら力になれるよ?」
突如として、天空から声が響いた。


「………幻術……フン、足掻きよるわ。子狐が…。」
白銀の彫刻と見紛う存在が、老獪な男性のような声でそう呟いた。だが、話題に上った
子狐の姿は無い。もっとも、まだ漠然と気配が残っている。逃げられはしない。
「悪いけど、どっかの駄犬じゃあるまいし、得体の知れない鉄屑とガチンコで闘う気ぃ
無いんでね。隠れさせてもらったわ。まぁ、仮に闘ったとしても負けないでしょうけど、
シロを倒せるほどの相手と接近戦、なんてのはあんまり賢くないでしょ?」
タマモが何処からとも無くそこまで言うと、先程の声で笑い声が響いた。
「随分高くかってるんだな、あのバカ犬の事を。そんなに手だれなのか?精霊石が有ると。」
「………言ってる事が読めないわ。」
敢えて偽った。相手もまたその嘘に敢えて引っ掛かった。
「闘っていたのはワシの相棒でな、後ろから掠め取ってやった。後は手も足もでない…」
バチィッ
弾ける音とともに、タマモの視界が真っ赤に染まった。彼女の思いは一つだった。
(殺してやる。)

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