ザ・グレート・展開予測ショー

月にない夜(終)


投稿者名:G-A-JUN
投稿日時:(01/ 7/ 1)

二人は戦闘態勢に入った。
西条は霊剣ジャスティスを構え精神を集中し霊力を高めた。
横島も『ハンズ・オブ・グローリー』を霊波刀の形状にして煩悩を集中して霊力を高めた。
西条は横島に攻撃を仕掛けようとしていたが、横島は妄想に集中しすぎていて彼の意識はここには無く別の世界に行っていた。
「横島クン!!君はやる気があるのかー!」
「あっ!!わりぃわりぃ。つい集中しすぎちゃって。」
西条の一言でようやく元の世界に帰ってきた横島。
「じゃっ行く・・・」
「悪いけど先手は僕がもらうよ。」
横島が西条に飛びかかろうとした瞬間すでに西条が横島に向かって飛び込んで斬りかかっていた。
「なっ!」
横島は西条の鋭い斬撃を防いで反撃を狙っていたが、西条はまるで横島に攻撃させないかのように連続で攻撃を繰り出してきた。
その時横島は、西条の戦い方に違和感を感じていた。
(なんかいつもの西条らしくない戦い方だ。まるで、シロや雪之丞みたいに後先考えずに最初から全力できているようだ。)
しかし、西条のこの戦術は西条自身が冷静に考えた結果、浮かんだ戦い方だった。
(おそらく今の僕と横島クンとでは大きな差があるだろう。)
現に今こうして、西条が横島に攻撃させないように攻めているのは彼にとって横島の一撃は、そう何度も耐えられるはずがないと予測しているためであった。
(彼は気づいていないかもしれないが彼は僕に大きなハンデを与えている。まず第一に彼に文珠の使用を禁止してしまっている。そして、剣術に関しては僕の方が優れている。これだけハンデをもらっているのだから勝たなくてはいけない。)
しかし、西条にはほとんど勝機がなかった。
体力面や素早さでは、いつもシロに散歩に連れて行かされている分横島の方が上であるため長期戦はできない。それに先ほど言ったように、横島の一撃に西条は、そう何度も耐えられない西条は一気に勝負をつける短期決戦型で挑んでいたのであった。そのため、横島には違和感が感じられたのであろう。
また、西条には一つの決心があった。
(勝てる可能性は低いが、勝てたらとりあえずは令子ちゃんとの関係は現状を維持しよう。負けたらもう僕には彼女を口説く資格はない、できる事といったら、令子ちゃんを幸せにできる可能性をもった彼に令子ちゃんを託すことだ。)
西条はすでに横島の事は認めていたのだった。今回の闘いでは、自分が彼女を幸せにできるかを確かめるためだったのだ。
西条は何度も攻撃している内に徐々に体力が失われていく感じを実感していた。そこで、彼は一気に最後の勝負を仕掛けようといったん横島から離れて距離をとった。
横島はこれを西条が見せたスキだと思い一気に突っ込んでいった。が、それこそ、西条が望んでいることだった。
西条は横島の攻撃をまともに受けながら攻撃をした。いわゆるカウンターである。
「ぐっ!」
「うわっ!」
互いの攻撃が相手に炸裂した瞬間、二人ははじかれた。
二人が天に召されそうになる瞬間あらかじめ持っていた横島の文珠が作動してそれは回避された。
「引き分けか。」
西条は少し悩んだ状態になった。
(どうしよう。流石にこんな場合は考えてなかったし。とりあえずは勝ったときの考えでいいか。)
「でっどうなんだ。お前から見て俺は美神さんを俺の物にする権利はあるのか?」
「ふっ。」
西条は少し笑って答えた。
「とりあえずは、前と同じように一時期は令子ちゃんは君に預けておこう。」
「前と同じじゃないか。それだったら闘った意味がないじゃねーかよ。」
「ハッハッハ。別にいいじゃないか横島クン」
西条は自分の真意を横島に教えずいつも通りの振る舞いをした。
「ちなみにこれからは、ちゃんとこの言葉を覚えておいてくれよ。」
「月のない夜は気をつけたまえ。今度はいつになるかはわからないけどね。」
「お前、本当に国際警察か?」
「じゃっまた会おう横島クン。」
「いつも会ってるじゃねーかよ。」
横島のつっこみを聞かずに西条は帰っていった。
「ふあぁー寝みー。」
それもそのはず、すでに時刻は朝の五時を回っていた。
「とりあえずここからじゃ事務所の方が近いから事務所で仕事の時間まで寝るか。」
事務所に着きそのドアを開けると玄関に向かって一つの足音が近づいてきた。
「まっまさか。」
横島の予感は的中した。シロがこっちに向かってきたのであった。
「横島せんせー。こんなにいつもより早く来てくれるなんて拙者うれしいでござるー。」
シロはさっそく横島に飛びつき顔を舐め始めた。
「やめんかー。」
シロを離して自分はこれから寝るのだと言おうとしたが、シロはまったく横島の声が耳に入っていない様子で、すぐに彼を散歩につき合わせた。
「わーいわーい。先生と散歩でござるー。」
「先生は優しいでござるな。昨日は拙者とはこれ以上長く散歩をする気はないと言っておいていつもより早く来てくれて拙者うれしいでござるよ。」
シロの言葉は横島の耳にはほとんど入ってはいなかった。ただひたすら自分に呼びかけていた。
(今寝たら死んでしまう。耐えろ耐えるんだ。もう少し待てば安心して眠れるんだ。)
しかし、散歩が終わっても彼はすぐには眠ることができなかった。なぜなら、美神が昨日西条と何があったのかをどうしても気になって横島から聞き出そうと彼を拷問にかけていたのであった。
「さあ。吐くのよ。昨日西条さんと何をしていたの。」
だれも美神を止める事ができなった。それほどまでに彼女はマジであったのだ。
横島は最後の力を振り絞って昨日のことを話した。
すると、美神が顔を赤らめているのが見えた。
その瞬間、横島は心の底から西条に文珠を渡したこと後悔していた。
が、しかし今の状態では何もできずただ眠りにつくしかなった。
横島は深い深い眠りについた。
その後、彼が目覚めたか定かではない。

fin


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