ザ・グレート・展開予測ショー

横島クンは神になれるのか?〜その8〜


投稿者名:sauer
投稿日時:(01/ 6/30)

………空調が、それでいて、静寂が、やかましい。
………のどが、渇く。口腔内の壁は、潤いを無くし始めたようだ。
………そして、当たってほしくないときに限って当たる、俺のカンが、騒ぎ出す………
………………………嫌な予感がする、と…………

「…あるところに、一人の霊能者の男がおった。その男は、実戦経験こそ少ないが、
 強力な霊能力者に『化ける』可能性があった。本人に自覚は無かったがな…」
「……………」
俺は無言で老師の話を聞く。小竜姫様も、セロンも、黙って聞いている。
「…その男は、やがて多くのかけがえの無い『仲間』たちと出会う。
 …仕事の上司、同僚…上司の師匠、ライバルや、天敵…ただの知り合い…
 さらにその弟子たち………はじめての、本格的な師匠、その親友たち…そして、敵…
 男にとっての、はじめてのライバル…その恋人…さらにその友人…
 そして、はじめての、弟子…その相棒……あげていけば、きりが無いがの…」
「……………」
………くそっ、何をこんなに動揺しているんだ!?俺は!!
…心臓の鼓動がうるさい…!そして、たまに訪れる静寂も、だ…!
「そしてやがて、男は女に出会う。」
「……………!」
………予想、的中…か…?口の中にアスピリンを噛み砕いたような感覚が広がる…
「はじまりは、敵どうしだった。世界の存続をかけるような、大きな戦のな…
 しかし、やがてふたりは、互いに惹かれ合うようになった…お互いを信じてな…」
「……………」
………やめてくれ……それ以上は………
「………そして…女は……男のために……自分の霊基を…」
「や…めて………ください…それ以上は………」
もはや…俺の意志とは裏腹に、言葉が口をついて出た。そして………
……………俺の視界は、歪んでいった……………

「…そこからは、私が説明します…横島さん………」
………一分ほどの間を空けてくれ、老師と入れ替わりに小竜姫様が話し始めた。
「横島さん…最近、体の調子がヘンだとか、そういうのってありますか?」
「!…なぜ、そのことを…?」
まだ、嫌な予感は消えていない。今度は舌まで乾いてきた…
「…この際、時間があまり無いので、はっきり言います。…横島さん……
 …神族に…加わる気は、ありませんか………?」
「…………へっ?」
…嫌な予感は、確かにしていた。確かにしていたが、これは予想外だったので…
………今の俺の声は、きっと、かなり間抜けだっただろう。

「今のままでは、横島さんは・・・死にます。」
「なっ!?…お、俺が…死ぬ………!?」
…俺は、まだ状況がつかめていなかった。セロンは今まで黙っていたが、
このセリフには、さすがに少し、動揺していた。…老師は、黙ったままだ。
「横島さんは、前にも言ったとおり、素質は充分ですが、それは霊力的に見た場合の
 潜在能力だけの話でした。しかし、それが還ってあだになったようですね…」
「ど…どういうことですか?」
「…ただでさえ、霊的にも成長期であるあなたが、魔族の霊基構造を…
 取り入れたのですから、何らかの変化が起こっても不思議は無かったのですが…」
「………」
…そんな…そんなことが…起こりうるとは……
「それも、ただの魔族ならまだしも…『彼女』の霊基は、あなたとたいへん強く
 シンクロしていますからね。…今の横島さんは、霊的にかなりのイレギュラーですね」
「そう…なんですか?」
…言われてみれば……霊波刀の威力が強すぎたり、霊力をかなり強く感じられたり、
……文殊もかなり効果が強かった。………そして……『幻影』を出せたのも…
「そんなあなたが、普通の人間の体で…人間の『霊的中枢』のままでいれば、
 まちがいなく、近日中に死んでしまいます…しかし、霊基構造から成る、
 私達神族のような体になれば、横島さんの霊力を充分に受け入れることが
 できますし、むしろ今のあなたには、そちらのほうが良いとさえ思っていましたから」
「……………」
……近日中に、死ぬ、か…以前の俺なら、『死ぬのは嫌やぁぁあああ!!』なんて
言ってる事だろうな。けど…今の俺は………

「……一週間…時間をください、小竜姫様…」
やっとのことで、それだけ言うと、俺は大きく息を吐いた…
それは、いまの俺にとっての『YES』でもあった………


―――やば、今回時間がないので、コメントの方でいろいろ言います、では!―――

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa