ザ・グレート・展開予測ショー

ワショクヤの日々(五)後編


投稿者名:AS
投稿日時:(01/ 6/29)

「はあ・・・っ」
 自然と、ため息がこぼれた。
 今私の目の前では、おキヌちゃんとそのもどき・・・加えて言うなら私的関わりあいになりたくない度が冥子に並んだ大疫病神・・・そんなのとおキヌちゃんが、揃ってほうきを片手にあちこち駆けまわっている。店内を見回すと何故かヒビの入った食卓がひっくり返ったまま放置されてる・・・そしてそこら中に箸やら何やらちらばっていて、ひどく散らかっていた。当然外にはもはや恒例の札がかかってるのだろう。
 とりあえずおキヌちゃんにこの状況に陥った理由を・・・

 ・・・き、聞かなきゃよかった・・・

 あの食卓も私がブン投げたらしい。またも暴走したらしいが、今回は横島君が事前にあの二人に『護』の文珠を手渡してあったらしく、店は散らかったが、怪我人は無く、誰かが失神するのも回避出来たそうだ。その機転に免じて時給カットは勘弁する事にした。

「さて・・・ともかく従業員が帰ってきたコトだし・・・」

 私はこの世界から脱出すべく、皆を集め会議を開く事にした。



ーワショクヤの日々(窮日)悪企み編ー



「・・・と、いうわけで、意見があったらどーぞ」
 真っ先に丁稚が手を挙げた。
「どういうわけなんすか?」
 ドガシ!
「さて・・・じゃあ順番に行くわね・・・まずは半分こっち側の世界に染まっちゃってたりするタマモからね」
「何か・・・びみょーに引っかかるんだけど・・・私の意見としては反対。だってまだ旦那さん戻って来てないし、この仕事の続けてればその間ずっと美味しいキツネうどんが・・・」
 タマモの意見は廃棄処分する事にした。
「貴重な意見ありがとね参考になったわさて次は・・・」
 ぶすっとしてるタマモの横にいるのは・・・

「・・・(キラキラ)・・・(パタパタ)」
「・・・・・・」

 ・・・いるのはおあずけにして、やはりここは彼女に意見を聞く事にした。
「時計まわりで次はおキヌちゃんね、何か意見とか無い?」
「わ、私ですか!? ・・・えぇと・・・」
 突然話をふられても、それをちゃんと受け止める。私は今さらながら感心した。
「せんせぇーーー!!! 拙者は! 拙者は・・・っ!」
「わ、解る! お前の気持ちは俺には良く解るから落ち着け! そんなに揺するとまた・・・血・がーーーーーー!!!!!」
 あちらでも師弟が独自のやりとりをしている。それを横目にしてる内に彼女がおずおずと、言葉を紡ぎだした。
「あ、えと・・・正直言って何やってるんだろ・・・って思います。手伝いに来たのに初日から騒動起こしてその度にお店壊して小百合さんが失神して・・・」
 声がだんだんと小さくなってくる。言葉を探すかの様におキヌちゃんは一旦、口を閉ざした。しばらくしてふっきった眼差しで、再び口を開く。
「あの・・・今まで失敗ばかりしたから美神さんがそう言うのも・・・でも私、途中で投げ出すのは・・・」
 意外にも・・・いや、らしいか・・・彼女は反対派に加わり、二対一となった。
「・・・・・・」
 おし黙ったこちらを、おキヌちゃんが不安げに見つめる。私はその頭をポンと叩いた。

『ま、確かにこのまましっぽまくのも・・・ね。こうなりゃ徹底的にGSの本気出して、この店繁盛させるわよ!』
「はいっ!」
「異議無し」
 そうして話がまとまった中、意見を求められなかった獣師弟が片や涙を片や血を流していたが、それは捨ておいた。
 一言だけ付け加えて。

『自分が流したモノ・・・ちゃんと拭いときなさいよ』

(・・・・・・オニ!)
(この人はオニでござるっ!)


 そしてー・・・場が変わり山中。


『こ、これは・・・!』
 一人の男が歓喜に震える。
『出来る! これらを身に纏った今なら! きっと出来る気がする・・・!』

 彼にとっての神が見つめる中、残してきた者への想い。そして越えるべきものへの情熱を込めて、彼は吠えた。
 
『待ってろよ! 今俺が行くぞーーーーー!!!!』

『う・・・!?』
「どうしたんですか?」
『いや・・・何だか今、すっごくタチの悪い悪寒が・・・』
「お話終わりました!? 今私すっごく良い事が起きそうな予感がしたんですよっ!」
『・・・選択ミス・・・したかも・・・』

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa