ザ・グレート・展開予測ショー

GSキラー:track02[プレッピースクールボーイズ]


投稿者名:ダテ・ザ・キラー
投稿日時:(01/ 6/23)

track02.1[横島盛衰]
PM4:00
聞き返してみた。
「は?タイガーが来なかった?」
横島にしてみれば文字通り寝耳に水であった。そもそもいつの話をしていると言うのだ?
彼は返答を待つ間に、
今しがたなけなしの身銭と引き換えに手にした「スニッカーズ」の包みを慎重に…、
ことさら慎重に脱がしにかかる。実際、
どんなに丁寧にしても表面のチョコが包みに攫われてしまう。
「何を今更…毎時間、先生が確認してたじゃない」
「無理もないよ愛子ちゃん。今日はとうとう昼にも起きずに7時間連続で熟睡してたから」
口々に言う級友達を尻目に横島は、今現在、
地球上の何者にも代えられない程に愛しいソレから視線を離す事無く…
「何だ、学校か…。お前等じゃあるまいし、タイガーだって一応、まがりなりにも、限りなく
人間離れしたケダモノとはいえ、たまにゃめんどくせー時やかったりぃ時もあンだろ」
推論を述べて、一気に目前のソレにパクつく。その言葉が満足のいくものだったのか、
ピートと愛子はそれっきり会話をとざした。
(横島さんにケダモノ呼ばわりされるとは…タイガーも気の毒に。)
ピートの顔を覗き込んだ愛子は彼の思いを概ね理解していた。と、
ふと男子二人の歩みが止まる。
「?どしたの」
唐突に、驚愕の表情さえ浮かべて横島が電柱に張り付いた。
「おおぉーーー!?『三千円ポッキリ!!ボディコン倶楽部』?」
思いっきり前につんのめる愛子。
「もぅ!女の子の前で何してんのよ!!ピート君までこんなの好きだったなんて…」
この言葉に過敏な反応を見せたのは誰あろう横島である。
「じゃかしい!この場に医学的ないし社会的に女性と認められる人物がいるかっ!!?」
「………っ!!!」
走り去る愛子を眺めながらピートがポツリと呟く。
「……可哀想な事をしましたね…。後で謝らなくちゃ、ねぇ横し…何をしてるんです!」
「え?」
その時、横島は「ボディコン倶楽部」の張り紙をそっとはがしていた。
事件の幕開けとして情けない事この上ないが…、いつもと変わらぬあたり彼は大物だった。

track02.2[ピート盛衰]
またも聞き返した。とはいえ、今回は別に理解出来ないわけではなかった。しかし、俄には
信じ難い。
「誰かに尾けられてる?」
ピートは瞬間、相手の意図せんとする事を考えた。
「…………。」
次の瞬間には我が耳を疑った。
「……ひょっとすると…まさか、気付かなかったんですか?」
かなり勇気のいる質問であった。そして、横島は残酷にも首を縦に振った。
「まさか、ってのがどっからきてるのか知らんが…全然気付かんかった。」
「………シクシクシク………」
「そ、そんなしょげんなよ。しょーがねーだろ?気付かんかったモンは…。
そん代わりってわけでもねぇけど、俺に任せろよ。」
ピートはかなり自信ありげな横島を見て落ち着きを取り戻した。もっとも、
本当に任せっきリになどできないし、なにも横島をアテにしている、というのでもない。
ただ、普段落ち着きのない横島に逆に諭された違和感から思い出したに過ぎない。
彼の注意力が散漫なのは今に始まったことではない事、彼の真価は別に在る事を…。

track02.3[撃破不可?横×ピー絶体絶命!]
横島は人気の無い通りを歩いていた。いわゆる誘いと呼ばれるヤツである。本音を言えば、
公衆電話でも使って助けを呼びたかったが財布の中身は先程カロリーに換えてしまった。
自分達で身を守るしかあるまい。そうなったからには即時決戦が妥当であろう。
やがて、横島の背後に白銀の巨体が音も無く迫った。
そして、学校の柱と取り替えても大差ないその腕を高々と振り上げた。同時に、
「ヴァンパイア・ミスト!」
フシュウウウゥゥゥーーーーー
「!?」
「引っ掛かりやがったな!」
瞬間、巨漢の背後のマンホールから濃密な霧が噴出し、そのまま人の形を成してゆく。
無論、人がこのような真似をできよう筈も無い。学生服、天然の金髪、碧眼、
前節まで横島の隣を歩いていたピエトロ・ド・ブラドーその人であった。
巨漢、いや巨人はこれほどの事態を目の当たりにしながらも振り上げた右腕を旋回させ、
ブオゥン
背後のピートを薙ぎ払った。はずであった。しかしピートの姿は無い。
ビュウウーーーゥン
文珠‘影’
後に残っていたのはそれだけだった。
「ダンピールフラッシュ!!」
ズシャァァアーーー
巨人の頭上より目も焼かんばかりの閃光が疾る!
「駄目押しを喰らわしてくれる!!」
文珠‘爆’
ズド………ゥゥゥゥゥゥウウウン
巨人の姿は粉塵の中に掻き消えていた。
「だから『引っ掛かった』っつったろ。テメーが背後の気配に気付いた時に、」
「横島さん気を付けて。まだ気配が消えてません。」
言いながら、ピートは空から再び横島の隣に降り立った。
「な…!?確かに頑丈そうにゃあ見えたが……あんだけぶち込んだんだぞ…。」
信じられない。神魔クラスを除けば、文珠の攻撃を凌いだ敵は未だ嘗て存在しえなかった。
さらにそこにピートの渾身の霊波攻撃「ダンピールフラッシュ」をプラスしたとゆうのに?
考えられない。だが、敵の存在を看破したピートの感覚が自分より優れているのは確かだ。
「何もんなんだ?コイツは…」
砂埃が晴れ、一片の曇りすらない白銀の四肢が美しく陽光を跳ね返した。

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