ザ・グレート・展開予測ショー

逆シンデレラ物語中篇 (王子様邂逅編)


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 6/20)

これは偶然の産物という奴であった。喫茶店を後にしたその時、鬼道政樹にばったりと出くわした。
「あれ〜、まーくんじゃなーい」
「おや、冥子ちゃんに美神はん。お久しゅう」
冥子と鬼道の二人、話が弾むのを見て、美神は鬼道さん、冥子の監視お願いしますね、
と二人を焚きつけてる。
「ええんかい?美神はん」
互いを名前で呼び合う二人と一緒に行動出来るほど、美神とてニブくはない。
「さて、帰るか」
誰に言うでもなく独り言を口にし、くると向きを変えようとした時、がくんと体が沈む感覚を感じ、甲高い悲鳴をあげる、
「きゃっ」
ヒールが段差に引っかかり、折れてしまった。
尻餅覚悟で目を閉じたが、即座に落下感覚が途絶える。
「大丈夫ですか?」
誰かが抱きかかえてくれた事を理解し、首を廻してその相手を見定めようとする。
なかなかの紳士振りだ。
「危なかったですね、御怪我は?」
「有難う、助かったわ」
「人助けとは言え美人を抱く事が出来たなんてついてますよ」
「まぁ、口の巧い事を」
再度その紳士に御礼を言ってから、事務所に戻ろうとすると、足首に鈍い痛みを感じる。
「痛っ」
「あぁ、足を挫いてしまったようですね。そうだ。御帰りでしたら私が送っていきましょうか?近くの駅かバス停まで」
「本当に?助かりますわ。私の家はこの近くなんですけど・・」
「ほぉ。では御自宅まで」
「甘えてすいません」
その紳士に寄り添うようにして近くのパーキングエリアまで向かう。
その光景を少し離れたところから見ていたのが、例の二人である。
「なんか、ベタな出会いだけど、結果オーライみたいねぇ」
《そのようですな。タマモ様》
「でも!このまま事務所に戻っても面白くないなぁ、ねぇ人工幽霊壱号」
《しかし、状況から見て、何処かへ向かわれる状態はございませんが》
「まぁ、つけてみようよ」
当然ながら、その紳士はタマモの力により大人化した横島である。
ウォークマンに憑依した人工幽霊壱号とタマモは二人に気付かれない用に後をつける。
「あら、かなり年代物の車ですね」
「プジョーのオールドスタイルですからね。私関西のほうで車関係の仕事をしている品川銀一と申します」
横島が前もって考えていた偽名である。なんて事は無い。道路標識にあった「品川」と
現在の場所、「銀座」から失敬した名前である。本名では元も子も、という奴だ。
「関西の方ですか。そういえば微かですけど、関西なまりがありますね。えっと私は美神、美神令子です。仕事は・・」
と自己紹介も済み、車に乗りこむと、
【GUUU】
食事をろくにとっていなかったので、当然の生理現象ではある。
「ははは。御健康ですね」
「は、はぁ」
顔を真赤にしている。
「じゃあ、御身足にそんな痛みが無ければ、一緒に食事でもどうですか?」
「え?」
普段であれば、パンチ物だな、と理解をする横島であるが、
「本当によろしいのですか?品川さん」
ナンパされている美神も乗り気のようだ」
「令子さんが良ければ。でも私東京の地理には疎くて、どこかいい店御存知ですか?」
「ええ。この近くに行きつけで割合値段も良心的な店を知ってるわ。そこでいいかしら」
「ではナビゲーター、御願いします。後じゃなくて助手席にどうぞ」
再度、横島・・もとい、「品川銀一」の手を借りて助手席に乗り込む。
「直ぐ近くですよ」
嬉々として言う、美神令子で監察するタマモは、
「結果、大オーライね。ここまで巧くいくとは、私も思えなかったなぁ」
《に、してもオーナー少し軽すぎはしませんか?》
「ま、それだけ、横島の事は気に入ってるんでしょ?本心は」
わたしにかかればこんなものよ、といささか得意げのタマモであった。

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