ザ・グレート・展開予測ショー

ワショクヤの日々(五)前編


投稿者名:AS
投稿日時:(01/ 6/13)

 ゆっくりと・・・陽が沈む。
 現在の時刻は午後四時を過ぎていた。記録書を作成しはじめてから、小休止を除いて、彼女は既に三、四時間を費やしている。
「ん〜〜〜〜!」
 流石に疲れも出てきた。座りながら両手を上げて伸びをする。
 面倒で仕方無い・・・といった顔をしているが、彼女は記録書を閉じはしなかった。
「今日中に終わらせて、明日のためにさっさとリセットしたいのよね・・・」
 厄払いしたいという気持ちも手伝って、彼女・・・美神令子はペンを動かす。
『・・・彼女が店の主で、あの整った顔をしてはいるが、眉が太くいかにも頑固者といった感じを漂わす親父が婿養子・・・それもミステリーだとは思うが、それより更に・・・』
 ブルブルとペンが震える。
『おキヌちゃんによく似た・・・あくまで外見だけだが・・・その彼女の名前が、あろうことか・・・』
 一旦刻んだ『その名』を、修正液で白く染める。
『・・・だった。その過酷な事実は、その時点で既にあふれそうだった私のストレスを加速度的に増大させ、爆発させた・・・私は無意識にそのストレスを発散させざるを得なかった。またも店を壊した助っ人に、ショックをうけ倒れた彼女の後を追い、私も電池切れのオモチャの様にパタリと倒れた・・・らしい・・・』
 そこまで書き終え・・・その『店』に関わった数日間に、何度こぼしたかも知れないため息をつく。

  『・・・当然その日も・・・臨時休業に陥った・・・』

 そこでー・・・ペンは折れた。



 ーワショクヤの日々(窮日)悪夢編ー



 暗い・・・黒い闇に一人、私は漂っていた。
『何ここ? 私どうしたんだっけ?』
 とりあえず状況を確認する。子供の私なら震えて泣いてたかもしれない一色闇の中。自分の姿も確認出来ない。
『ん・・・?』
 向こうの方・・・多分右と思える方角に、ぼんやりと光が明るく闇を照らしていた。
『・・・・・・』
 ゆっくりと慎重にそちらへ近づいていく。するとそこには見知った顔の少女がいた。
『おキヌちゃん!』
 そう私が叫ぶと、それを合図にした様に、彼女は身を翻した。
 そのまま逃げるように遠ざかって行く。
『待って! おキヌちゃんっ!』
 しばらく追いかけると、ふいに彼女が立ち止まった。
『・・・もう! おキヌちゃんどうしたのよ!? いきなり逃げるなんて・・・』
 そこで私は口を閉ざした。正しく言えば絶句した。

『ぷっ・・・くすくす、やだ美神さんたら・・・』

 そこにいたのは・・・いたのは・・・

『あ、言ってませんでしたっけ・・・じゃあ・・・』

 そこで私は思い出した。凍てつくかの様な寒さを味あわせた、あの言葉。 その一言一句を。 全て。

『ち、ちちちち! ちょ・・・』

『!?』

 今のは私じゃない!?
 見ると反対側、彼女の左手を取っている私と同じ様に、右手をもう一人の私が押さえていた。鏡あわせの様に。その光景に固まっている間に彼女の口が・・・ゆっくりと・・・開いて・・・

     『改めまして・・・坤鳴院小百合・・・』

『権兵衛ってんだ! 悪いってのか! てやんでえバーロー!』



        「わああぁぁぁぁ!!!!!」



 ガバァッ!
「ハァ・・・ハァ・・・」
 気づくと私はがいたのは、布団の上だった。
「・・・ゆ、夢・・・?」
 ゆっくりと、額から流れる汗を拭う。
「へーきっすか?」
「!?」
 いつからいたのか・・・側には・・・
「凄いうなされてましたよ・・・今おキヌちゃんが・・・」

「いつからいた貴様ーーーーーーーー!!!!!?」

 ドンガラガッシャン!!

「あ、美神さん気づいたみたいですよ」
「ほんとですか!? ご・・・権兵衛さん!」
「あ、小百合で良いですよ、皆さんは一族では無いですし」

 その会話に、私は膝をついた。

「夢・・・であって欲しかった・・・全て・・・」
「こ・・・こっちの台詞じゃ・・・・・・ガクッ」

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