ザ・グレート・展開予測ショー

ワショクヤの日々(三)


投稿者名:AS
投稿日時:(01/ 6/ 6)

 人間生きていればいくつかの選択を迫られる事はある。
 それがたわいもないものだったり、その後の人生を左右するものだったり・・・最悪な事態を招く事だったり・・・それがそうと分かるのは大抵の場合は選択した後になる。
 だから運だけに頼らず常にベストの選択を想定し、それを選ぶのは賢く生きる為の必須条件・・・それなのに・・・

『それでは明日・・・お待ちしております・・・』
『オッケー! ・・・報酬の件よろしくねー』

 ー明らかな選択ミスー

 あの時・・・アシュタロスに結晶を奪われるはめになった時。
 あるいは初めて冥子に注意して、なつかれる様になった時。
 その直前の選択は今でも悔いている。

「・・・六日前の選択はそれらに勝るとも劣らぬ悔恨、そして精神的外傷をもたらした事をここに記す・・・と・・・」
 
 一息つき、雲一つ無い青空を見上げ、彼女は椅子にもたれかかった。
 
「いい天気ねー・・・あの辛い日々が嘘みたい・・・」



ーワショクヤの日々(処日)ー



「確かー・・・ここだったわね?」
 先頭を行く女性が立ち止まって発した一言に、後ろの三人の少女達が頷く。
 その反応を見、次いで目の前の建物を見やる。
 そこはまさに純和風な造りだった。 いくつかの置物が店先に飾られ、入り口にはのれんがかかっている。 棟の端には鬼瓦。
「よし、じゃ入りましょうか」
 外装をしばし観察しー・・・中へと踏み込む。

「ま、待ってくださあああぁぁぁぁ・・・!」
『5メートル以内に接近! 撃墜の必要あり!』

 見るからに大仰な荷物を背にした『彼』が、一行に駆け寄った瞬間。

『精霊砲発射ーーーーーーーーーッッ!!!』
「どしえぇぇぇーーーーーーーーーっ!!?」

 彼は、青空にー・・・一際輝く星となった。

「さ、行きましょうか、シロ荷物お願いねー」
「横島さん・・・」
「先生ぇ・・・」
「・・・・・・」

 ガラララ・・・
 戸を開けるとそこには、『彼女』がいた。
「いらっしゃいま・・・皆さん!」
 こちらに気づくと、掃除をしていたのかホウキを片手にし、パタパタ駆けてくる。
「来てくれたんですね! ・・・ぅぅ・・・感激です!」
「ち、ちょっと・・・!」
 いきなり涙ぐむ彼女・・・小百合に慌てる美神。
 ややあって、落ち着いてきた彼女を見つめると、一昨日とは違い割烹着姿で、髪を結わえていた。
(ふーん・・・こうして見ると小百合さんて、何年後かのおキヌちゃんみたいねー・・・小百合?)
 ふと、美神は以前、まだおキヌが幽霊だった頃に、死神から救った・・・もとい、手をひいてもらった少女を思い出した。
(小百合・・・ユリ・・・まさかね・・・)
 そうしていると、タマモが口を開いた。
「で・・・一体何をすればいーの?」
 そう言われて小百合は考え込む。
「そうですね・・・ではタマモさんには・・・」

『か、かかか・・・! 割烹着ーーーーーーーーー!!!!!』
「え・・・?」

 蒼い、どこまでも澄みきった空から一人の男・・・否! 一匹の獣が帰還した。 一行が顔を強ばらせる中、小百合だけが何も分からずに困惑する。

『お、おおお・・・! 奥さーーーーーーーーーん!!!!!』
「え!? ・・・きゃああぁーーーーーー!!?」

 本能のまま小百合に飛びかかろうとした獣の前に、美神が立ちはだかった。 拳が固く握られる。

『血迷うなこのアホーーーーーーーーーーーーーー!!!!!』

 美神の渾身の一撃は獣に見事にヒットした。 凄まじい勢いで獣は吹っ飛び、奥の座敷に・・・

 ドンガラグワシャ! バキバキィ!

「・・・あ、あああーーーー! お、お店・・・が・・・」

 滅茶苦茶になった座敷を、呆然とただ見つめる小百合。

「小百合さんっ! 大丈夫ですか!?」
 おキヌが駆け寄って声をかけるが、小百合は動かない。
「さ、小百合さん・・・?」
 助っ人がいきなり店を破壊したのがよほどショックだったのか・・・彼女は目を開いたまま気を失っていた。 ぐらりと身体が揺れ、そのまま崩れおちる。

「きゃああぁ! さ、小百合さーーーーーーん!!?」

 結局その日ー・・・小百合の意識は戻らず、美神達の初日は看病と片付けで終わった。

「よ・こ・し・まーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
「わ、悪気は無かったんすよーーーーーーーー!!!!!」

 
 一方、亭主は・・・
「えーキツネうどんが食べたい方! ぜひ一度ご来店を!」
 ・・・修行そっちのけで、宣伝をしていた。

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