ザ・グレート・展開予測ショー

黒い呪いと天使の笛の音(終)


投稿者名:AS
投稿日時:(01/ 5/30)

 ビュオ!
 闇色の脚に一筋の光が絡みつく。
『ウォォッーーー!?』
 巨体故に、雷光の如き速さで右脚へと迫る鞭を、影はただ見ている事しか出来なかった。 瞬時に巻き付いた鞭は霊力の光によって影の右脚を焦がす。 鞭をひきちぎろうにも両の掌はただ弾かれるのみ。 そして・・・鞭が巻き付いていた箇所から、更に上へと駆けあがる。
「精霊石!」
 美神が左手に宿した精霊石の光を、そのまま神通鞭を携える右手へと送る。 その光によって鞭は更に強く輝き長さが増していく。
「す、凄い・・・」
 背後からそんな呟きが耳に入った。 
『ォ・・・オオーーーー!!!』
「!」
 影が焼かれるのも構わずに、鞭を剥そうとする。
「往生際が悪いとこは・・・そっくりね・・・」
 影のその様に・・・僅かながらも共有するものを見いだし、一つ息をつく。
「でもね・・・」
『グ・・・!?』
 お互いの鞭を握る手に『力』がこもる。 
「・・・あんたは決してやっちゃいけない事をやったの・・・」
『グ・・・ァァ!!?』
 光が爆発的なスピードで影を覆いつくしてゆく。

『グアアァ・・・ァ・・・』

「さよなら」

 その言葉と共にーーー光が爆ぜた。



ー黒い呪いと天使の笛の音(終)ー



『・・・・・・』
 眼前で行われたその衝撃に、場の誰一人、声も出せずに固まっている。
「・・・・・・ふぅ」
 先程まで影の自分と相対していた『彼女』が一息ついたところで、ようやく動き出す者達がいた。 まっしぐらに『憧れの人』へと駆け寄って行く。
「きゃーーー!!! お姉様ーーーーー!!!」
「美神さん! 凄ぇ!! 最高だよ!!」
 飛びついてくる二人に苦笑いを浮かべる美神。
「やったっすねーーー!!! 美神さは・・・ブッ!!?」
「ほんと・・・どこまでも約束事を怠らないわね!! このっこのっ!!!」
「ギャーーーーーーーーッッ!!!」

 早速恒例のやりとりを始める二人。

「やれやれ・・・何とかなった様だね、ピート君」
「ええ・・・流石美神さんですね・・・!」
「(ピク!)あらー? あの女の活躍はあ・た・し・がー・・・苦労して霊薬を手にしたからなのよー・・・?」
「エ、エミさんっ、ちちちょっと待・・・!」

 こちらでもいつものやりとりが始まる。

「ん? タイガー・・・おめー何泣いてんだ?」
「エミさん・・・ウォォーーーン!!!」
「ま、まあまあタイガー殿・・・」

 各々が『らしく』ふるまっている、その時。

『お、おキヌちゃん! 気がついただか!?』
『ーーー!!!』
 場の全員が一斉に、同じ場所へと視線を注ぐ。
「う・・・」
 ゴク・・・!
 固唾をのんで、皆が見守る。 その視線を受けて・・・

「・・・う・・・ふわぁぁー・・・あれ?」

 眠り姫はあくびをしながら、ゆっくりと・・・
『・・・・・・・・・・・・』
「(キョロキョロ)皆さん、どうしたんです?」
 ゆっくりと・・・起き上がった姫様が発した第一声に・・・
 ドドォッ!!!
 場の全員ー・・・床に向かって喜びのダイブを敢行した。

 そして。

「・・・・・・やぁ」

 全てを清算すべく・・・少年が姿を現した。


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