ザ・グレート・展開予測ショー

古い思い出(完結編)


投稿者名:メカ音痴
投稿日時:(98/ 4/27)

いつもコメントありがとうございます。このシリーズも今回で終わりです。なんかエラい感動巨編風のラストですが設定が唐巣の教会破門の原因と言う事になっているのでギャグが
入れにくかったんですよ・・・言い訳はこの辺にしてお話をどうぞ。

あれから三人はローマ法王庁に来ていた。大広間には法王をはじめ数人の枢機卿が三人から報告を受ける為に待っていた。最初は唐巣が報告しようとしたが何か考えのあるらしい美智恵が
唐巣を制して代わりに要点だけをかいつまんで報告した。(重要な部分ははぐらかした上で)
美「・・・と言う訳で、黒十字軍の組織は壊滅させましたが首領は逃げました。少年は救出しましたのでそちらで保護願います。」報告を受けて法王が答えた。
法「ご苦労様でした。敵のボスを逃がしたのは残念ですが組織そのものが壊滅したのではその者も大したことはできないでしょう。魔界の反乱軍もこれで目的を見失い、討伐されるのも時間の問題
  でしょう。少年の保護については唐巣大司教に一任しましょう。大司教、お任せしてもよろしいですね?」唐巣が喜んで引き受けようとした時、一人の枢機卿が異議をはさんだ。
枢「恐れながら、法王様に申し上げます。唐巣大司教は優れたGSなれどまだ歳若く未熟。姦計に長けた魔物どもを相手にするには力不足かと・・・ここはやはり経験豊かな者に任せるが上策かと
  存じますが。」発言の主はキーン枢機卿であった。彼は法王庁のGSの長であったのだが、この所メキメキと力をつけてきた唐巣にその地位を奪われる事を恐れ、事あるたびに唐巣を目の敵に
してきたのだ。唐巣とのいきさつは兎も角キーンの言う事には一応筋は通っていたので法王も納得して言った。
法「確かに唐巣大司教は敬虔なる神の僕なれど少し人が良すぎますね。ではキーン枢機卿、GSの長たるあなたにこの少年の保護を命じます。」法王の言葉をキーンがうけて唐巣に言った。
キ「お聞きの通りじゃ、大司教よ、少年をこちらへ・・・それから法王様よりお預かりした『ロンギヌスの槍』と『ソロモンの指輪』も私が責任を持って預かろう。残念じゃろうがべレスやバルバトス等に
  てこずるようでは仕方あるまい?」キーンが勝ち誇ったように言う。唐巣もむっときたが言っている事はもっともであるのでキーンの言葉に従おうとした。その時不意に美智恵が叫んだ。
美「言う通りにしちゃ駄目よ唐巣君!!そいつが敵のボスよ!!」余りに突拍子も無い事をいう美智恵に全員が驚いた。名指しで犯人呼ばわりされたキーンが食って掛かる。
キ「美しいご婦人よ、何を根拠にその様なこと言われる?曲がりなりにもこのキーン、枢機卿まで賜った神の僕!それを悪魔どもの手先呼ばわりするとは、無礼にも程があろう!!」
キーンの剣幕に周りの者達も圧倒される。唐巣も余り仲が良くないと言えども一応上司であるキーンにそのような事を言った美智恵を驚いて見、何とか穏便に済まそうと2人をなだめる。
美「私は正気よ、唐巣君。こいつこそが黒十字軍のボスよ!!良く考えて見て!!私は手強い魔物がいたとは言ったけど、その名前までは言ってないわ。あそこにいた内で無事に脱出できたのは
  私たちを除けば敵のボスしかいない筈よ!!六道さん、奴を霊視して!!」美智恵の指摘に気付いた冥子母はうろたえるキーンをクビラで霊視した。するとそこには一匹の惨忍で狡猾そうな悪魔
姿が浮かび上がった。
唐「あれは『悪魔エリゴル』自らの手は汚さず人々を操り戦争を引き起こす最悪の魔物!!何故奴がキーン枢機卿に!?」
美「こいつは人間を操る時、その人の最も弱い所へ付け込むのよ!おそらくキーンって人はあなたの実力を恐れる内にこいつに取り付かれたのよ。この最低のクソ野郎!!とっとと地獄へ行きなさい!!」
そういうが早いか美智恵は手にしたロンギヌスの槍でエリゴルを突き殺した。
(1時間後)余りの事に驚いた法王は唐巣達一行を除いて人払いをしたのちに四人と話し合った。
法「あのキーン枢機卿が悪魔に取り付かれていたとは・・・もしあの悪魔に『ロンギヌスの槍』や『ソロモンの指輪』まで渡っていたら全ての世界が滅びる所でした・・・有り難う三人の勇者たちよ。さてその少年
  の処分についてですが・・・彼に罪はないのですがベールの血脈を今断たねばまたいつあのような連中が現れるでしょう。可哀相ですがその少年は始末せねばなりません・・・大司教、やりなさい!!」
法王の命令を受けて唐巣が少年に向き合った。少年は涙を溜めた澄んだ目で覚悟を決めたように笑顔で言った。
少「ボクの血は汚れてるの?でも死んだら天国に行けるよね?だってボク毎日神様にお祈りしてきたんだもん。丸眼鏡の神父様、ボクが死んだらお葬式は神父様がしてね。」人の良い唐巣に出来る筈も無かった。
唐「法王様!!私には出来ません!!この少年は確かに悪魔の血を引くといえども、その魂は汚れておりません。」法王も少年の言葉に心を打たれなんとかベールの血だけを消せないかと悩んだ。
美「一つだけ方法があるわ。『ソロモンの指輪』の破邪の力を使うのよ。まあいくらベールの血でも五年もかければ消えるでしょう。」美智恵が言った。
法「『ソロモンの指輪』は人類の秘宝、五年も貸し出すわけにはいきません。(ふと後ろを向いて)でも私が後ろを向いてるあいだに誰かが持っていってもそれは私の関知せざることです。ただ
  ・・・指輪を預けた大司教には責任をとって貰って破門せざるをえませんが・・・」法王の言葉に唐巣は黙って頭を深々と下げ皆を連れて部屋を後にした。そうして立ち去る唐巣を窓からみた法王が呟いた。
法「あなたを私の後継者にと思っていましたが・・・信じた道をお行きなさい。神の御加護がありますように・・・」法王が祈りをささげている頃、唐巣達一行は色々思い出話をしながら歩いていた。
母「唐巣さん〜私とってもかんどうしたわ〜。」母が顔をクシャクシャにしてそう言った。
美「ほんとにあなたって底抜けのおひとよしねー。」美智恵がわざと皮肉を言った。少年が不安そうに尋ねた。
少「神父様、ボクのせいで破門されちゃったの?」唐巣は振り返ると少年の頭に手を乗せてニッコリと笑って言った。
唐「君のせいじゃないよ。私は権力争いが苦手でね。これは主が私にプレゼントしてくれたのさ。『身を軽くして神様と共に歩みなさい』っつてね!!」




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