ザ・グレート・展開予測ショー

黒い呪いと天使の笛の音(34)


投稿者名:AS
投稿日時:(01/ 5/28)

「うふふふ・・・」
 ズザザザーーー!!!
 凄まじき負の方向の含み笑い。 その場の全員が一斉に引く。
(予想外の災厄に続いて、遂に予想内の・・・しかも獅子身中の災厄が目を覚ましたか・・・主よ、どうか我らに救いを・・・)
 皆が(一名除く)恐れおののき、神父が十字を切る。
 そして。
「はいプレゼントなワケ」
「え?」
 エミが横島に『拡声器』を手渡す。
「エ、エミさん、何すかこれ?」
「うふふ・・・さっき使ったば・か・り。 大事にずぅっと持ってて・・・ね?」
 煩悩に理性が破壊される。 実にあっけなく粉砕される。
「も、もちろんじゃないすかーーーー!!!! 男横島! 例え何があろうとも・・・あれ? エミさ・・・」

『貴様の仕業かーーーー!!! 丁稚の分際でーーーー!!!』

 彼にーーー幸あれ。



ー黒い呪いと天使の笛の音(34)ー



『ギャーーーーーーーーーーッッ!!!』

 ーしばらくお待ち下さいー

「ふーっ! ふーっ! ・・・あれ?」
 目のあたりにしただけで失神ものの仕置きを終え、美神がキョロキョロと辺りを見回す。 それを見てエミが近づいていく。
「どーやらエサ食べて満腹したみたいね」
「ぁ、あんまりや・・・(ガク)」
 彼はボロクズと化して崩れおちた。
「エミ・・・私どうしたの? ・・・横島君の事はいいとして」
「またキレて見境無くしてたワケ! ・・・ったく! ちっとは慎むワケ! ・・・横島の事は別として」
 二人の非道な会話に・・・横島の右手が無意識のまま動いた。
 とりあえず駆け寄っていた教会師弟が見守る中・・・ゆっくりと赤いメッセージが刻まれていく。

『オ・・・ニ・・・!』

 そんな事は気にもせず(記憶にはとどめ)二人の会話は続く。
「さて・・・質問! あれ何だと思う?」
「あれ?」
 エミの突然の問いに首を傾げ、同じ方へと目をやる。
「! な・・・!!?」
 見るとそこには、先程までとは比べものにならない巨大な影が
出現していた。 しかも美神の姿で。
「・・・ったく! やっと遠慮なくぶちのめせる顔になったってのによー!」
「まー! 一文字さんならいざ知らず! お姉様の顔を傷つけるなんて絶対に許さなくてよ!」
「何だとてめー!」
 雪之丞達が調達されて来た結界符で影を抑え込んでいる。とてもとても一致団結してるとは言い難いが、とりあえずは・・・
「おキヌちゃん!!!」
 強ばった表情で、美神は伏している少女に駆け寄る。
「早苗ちゃん! おキヌちゃんは・・・」
 早苗は暗い表情のまま、答えた。
「結界が効いてるから・・・でもこのままじゃ・・・」
 早苗がそっとおキヌの額に手をかざす。
「・・・・・・」
「美神さん! 何とかならねえんか!? わたすの・・・わたす達のおキヌちゃんを助けてけろ!」
 悲痛な早苗の叫び。
「・・・・・・」
 それを聞いて・・・美神がユラリと立ち上がった。
「令子!?」
「何?」
 ホッと息をつくエミ。 そこに美神が声をかける。
「エミ・・・あいつ・・・消滅させても復活する・・・?」
「え? ・・・いいえ・・・」
 エミが首を振ったのを見て、美神は一歩前に進み、影を見据える。 どこまでも澄んだ決意をたたえた瞳で・・・彼女は言い放った。 

『もう・・・終わりにさせてもらうわ・・・』

 怒りよりも、はるかに強い想いを込めて。 美神は愛用の武器をふりかざした。




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