ザ・グレート・展開予測ショー

ゲゲゲの森に春が来た♪


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 5/23)

鬼太郎は自分の家に戻ろうと提案し、賛成した美神一行であったが、一つの誤算があった。
「雪が思った以上に積もってますね」
「あぁ、僕が森を離れた時間を考えてもこれは異常だよ!」
鬼太郎、音をあげるという訳ではないが、戻ろうかという思考が生まれ始めた時、
「みんな頑張って!オキヌちゃんたちが向うを処理すれば、雪は消えるハズよ」
「え?、どういうことさ、令ちゃん」
と、猫娘。丁度、空き地に出たので美神は、横島に再度結界を張る指示を出し、雪を指でつまむと、
「やっぱり。ほら横島クン、触ってみて?」
横島、矢張り余計なトコを触るから、美神の拳骨が飛ぶ。
「ヘンなトコ触るんじゃない!」
「し、し〜ましぇ〜ん・・」
今度は恐る恐る雪を触ると、
「あれ?そんなに冷たくない?」
「そう、これは雪に似せた霊糸を加工した物ね」
流石は美神さんだと、皆が納得する。
「どんな奴かはしらないけどこの幽霊自身がこの森を攻撃したとは考えにくいわ」
そうか!と鬼太郎。
「つまり、遭難した霊魂を媒体にして、この森を乗っ取る。となるとこんな事をするのは!」
「あいつしかいない!」
その時、鬼太郎の妖怪レーダーが大きく反応し始めた。
「くかかか!既に石化したと思っていたが、人間の助っ人とはなぁ」
「ぬらりひょん!お前の仕業か!」
何処からとも無く現れることの出来る妖怪だ。
ぬらりひょん、何も口に出さなかったが手に持ったし込みで鬼太郎に迫ってくる。
「僕が相手だ!」
鬼太郎が飛び出そうとする瞬間、
「待った!妖怪の貴方達が横島クンの結界から出ると一発で石化よ!」
「じゃあなんで、ぬらりひょんは平気なんだ?」
「誰か助っ人でもいるんじゃないのか?、それに今は妖怪だけが石化の対象だけどよ」
横島が口を出すと、
「ほぉ、なかなか賢い餓鬼じゃないか。そう。この雪は幽霊の波動を使い妖怪に影響が出ているが」
又突如現れたゴーゴンがその怪しいまでの睨みを迸しさせる。
「ごっ、ゴーゴン!あれは協会でBランクの料金がついてるは!」
無論、協会とはゴーストスイーパーを指す。
人間に油断があった。自分たちは石化しないであろうと。それをいち早く察知したのが、
「令ちゃん、ヨコシマ君。危ない」
「猫娘!」
二人に体当たりを食らわせる、猫娘は石化の波動をモロに浴びる事になる。
横島が慌てて猫娘に近寄ると、
「待って、今は鬼太郎に加勢して、今は貴方達人間の力が必要なの!」
言い終わると、再度石となる。
「これで、二対三だな!鬼太郎覚悟!」
業物を縦横無尽に振り回すぬらりひょんに対して、鬼太郎は横島の結界の中のみの戦闘を強いられる。
「けばり」
と、結界を越えた攻撃はぬらりひょんの衣で意図も簡単に振り払う。
「さてと、横島くん。私達はゴーゴンよ!」
「オーライっと」
横島がサイキックソーサーを投げ飛ばし、その隙を付いて美神が神通棍を打つという戦闘態勢だが、決定打の瞬間に睨みで反撃してくる。
「横島!あんた文殊は?」
「もう切れちまいましたよ」
「まったく!肝心な時に、オキヌちゃんたち、あんたたちにかかっているわ!」
そのオキヌ達は、
「大丈夫か?タマモの」
「だ、大丈夫っていいたいけど、大分気分が悪いわ。車の中でじゃんけんしているみたいにね」
どういう例えかは解り難いが。
「そうで御座ろう。拙者も少々、気分が悪いで御座る」
シロ、タマモがオキヌちゃんを守る形で鬼見君の示す方向へ向かっているのだが、
「そうじゃろう。霊的な波動が強くなっとる。これはワシもきつい」
目玉の親父まで弱音を吐き始めた頃。
「ここよ!」
ようやく、雪崩れに巻きこまれたであろう場所に辿りつく。
「さぁ、もう少しよ、あとは浄化を行っ・・・きゃあ」
悲鳴を挙げるのも無理は無い。只でさえ足場の悪い雪の岩場に地震ににも似た現象が生じる。
そのすぐあと、
『キキキキキ、キキキッ!』
新手が地面から現れた。こんな表現がぴったりくるだろうか。
「こ、こりゃ!アラル・ウネ!こんな物騒なもんを」
更に、こやつが現れると、タマモはよっぱらいに近い状態となる。
「だ、大丈夫で御座るか?タマモ!」
「こ、こやつはなぁ、人間の死体を養分とする妖怪じゃ。つまりは、ゲホゲホ」
目玉の親父の体調も大分悪くなってきたようだ。
「解ります。幽霊と妖怪の合いの子みたいな存在なんですね!」
「そ、そうなんじゃぁ。道理で合点が行くわ。、こ、こんなやつが近くの山にいるのであればなぁ」
「あの、対策は?」
「よ、養分である死体の霊を弔う・・事じゃが・・このような時にどうやって?」
「シロ、私の体ちゃんと見ててね!」
というや、えいと軽い気合を入れると、
「オキヌちゃんは霊体離脱が安易に出来るのかぁ」
はいと軽く返事をすると、急いで雪の中に入りこむ。
「さてと、あらう・みねとやら、拙者がオキヌ殿のぼでーを守るでござる!」
「アラル・ウネじゃ」
「細かい事は気にしないでござる!」
抜刀して、植物で言うツタの部分での攻撃を刃でなぎ払う。
幾度か、剣を交えると、地中から根っこに当たる部分がオキヌの体をねらおうとする。
「し、しまった!」
瞬時、
「しっかり、しろ馬鹿犬」
体を張ってタマモが狐火で応戦した。
「す、すまんで御座る!この御礼は油揚げでいいでござるな!」
で。
オキヌは何も闇雲に雪に入ったのではない。アラル・ウネの根っこを伝っていく。
すると、直ぐに人間の死体が見つかった。
「あった・・・って私、今幽霊だけど、死体なんて見て良い物じゃないわ」
と一人ごちた後、アラル・ウネの根幹に手を当てる。
「うーん!」
植物の根はオキヌ渾身の力であったが十分に反応した。
ベキと、音がなった後、死体と根が離れた。
地上ではアラル・ウネの断末魔に似た悲鳴が滞る。と、同時にタマモの不快感が吹き飛んだ。
「やったんじゃな!幽霊の波動が消えたぞ」
そして、オキヌ最後の仕事は憐れなる霊を導く事と、その死体の一部を埋葬用にと持って帰る事であった。髪の毛であった。
そうなると、シロやタマモは元気100倍でアラル・ウネと対峙する事が出来る。
「ふぅ。たーすかったわ。一日中車に入れられてから解放された気分ね!」
「拙者も元気になったで御座る。覚悟せよ!あらう・みね」
「だから、アラル・ウネだってば」
元気になった二人に勝てる程の化け物ではない。
と、なると。
「何!け、幽霊の波動がぁ!」
ぬらりひょん、慌てるも無理は無い。
「やったわ!オキヌちゃんたちがやったのよ!」
そうなると、ぬらりひょんの優位性は全く無い。加えて地理感は鬼太郎の方が断然上だ。
「正直危なかったよ。さぁ覚悟しろ!ぬらりひょん」
「なにを、小癪な」
そして、この戦闘、こころなしか、ゲゲゲの森自体が鬼太郎に加勢しているように見うけられた。
「さてと、俺達も思う存分、攻撃が出来るッすね」
横島にもおそらくは森の恩恵を授かっているのであろう。
「なにを!人間如きに負けるこのゴーゴンではないわ」
めいっぱい、石化のにらみを効かせようとした時、不意に何者かがゴーゴンにのしかかる。
「ぐわっ」
しかも石の塊が、だ。
「遅れながら、加勢にきたぞい!おぎゃ」
「おじじ!」
こなき爺その妖怪だ。
プレスされ、自由の利かなくなったゴーゴンに美神も容赦は無い。
「ゴーゴン、美神玲子の名において極楽へお行き!」
ばんと棍を食らわすと、精々がB級止まりの妖怪、あっけなく伸びてしまった。
「さぁ、横島クン、鬼太ちゃんの加勢よ!」
振りかえるとどうみても優勢の鬼太郎がある。更に、
「美神さ〜ん、横島さ〜ん、大丈夫ですかー」
一旦木綿に乗ってオキヌ一行が帰ってくる。
「ありがと!オキヌちゃん、今回は本当に助かったわ!」
「えへ。私もお役にたてて光栄です」
と、総勢は鬼太郎、親父、美神、横島、オキヌ、シロ、タマモ、こなき爺、一旦木綿と連なる。
更に、逃げるぬらりひょんの目の前が急に影となる。
『ぬりかべぇ〜』
「し、しもぉた!」
進退極まったぬらりひょんであったが、
「ばぁ!!!!!!!!!!!!」
皆が驚いたのは、朱の盆が驚かす攻撃に出たからであった。
「ぬらりひょん様、今です・・って今更私に驚かなくても」
ぬらりひょん、かなきり声で、
「お前のツラは何時見てもおどろくのじゃ。くそぉ、鬼太郎、この次こそおぼえてろぉ」
みなの呼吸がおさまった頃、死んだと思われていたゴーゴンが最後の力で石化睨みを試みたが、
「あまいんだよねー」
横島が文殊に「鏡」と記入して対処した。音も無く、蛇頭の石像が出来た、と言う事だ。
「横島、あんた文殊」
「ま、敵を欺くにはといいますか、猟師は絶対に最後の弾は使わないといいますか。
とりすました、言いまわしに怒る美神である。
それから、おそまきながら、ゲゲゲの森に春が訪れた。
冬眠から覚めた蛙が大合唱を始めた。
『ゲッ・ゲッ・ゲゲゲのゲー』
お礼の酒宴だということでまぬかれた5人も陽気に歌っている。そんななか。
「横島さん、そういえば、鬼太郎さんと美神さんてどんな関わりがあったんでしょうかねぇ」
「うーん、美神さん本人に、・・あとで聞こうよ」
「そうですね。美神さん今、とっても楽しそうだし」
その本人は、無邪気に杯を重ねていた、と言う事であった、とさ。

-FIN-

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