ザ・グレート・展開予測ショー

ゲゲゲの森についたぞ!(4)


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 5/17)

オキヌちゃん、シロ、タマモは一反木綿にまたがる、というよりも腰をかけた、と言う方が表現では正しいか。
「んじゃ!いくけん!」
と気合を入れた直後である。ちょいと、迷惑そうな顔の一反木綿である。もっとも彼に顔が有ったかは定かではないが。
「ちょっと待った、親父さんコレを」
横島が手渡す物はビー玉大程度の品である。
「こ、これは!」
「念の為渡しておくっす。オキヌちゃん達の事御願いするっす」
目玉の親父、その目玉を大きくして横島を食い見ている。
「横島クンが出したのか・・・。いやワシとて文殊を見た事無いではないが、人間が精製できるとは驚きじゃ!」
そこまで驚かなくてもという横島である。美神とて見なれた便利な道具だ。
しかしながら、親父は文殊をじっと見ている。
「うむ、ワシの知り合いに同じような文殊玉を100年に一回精製できるそうじゃが」
「そうなんだ。横島は2週間に1つのペースで精製してるけど?」
「なんと!なかなか見所がある奴と思っておったが其処までじゃったとは!」
驚嘆に浸る親父に早く向かうで御座ると急かしたのはシロが切っ掛けで、
「一反さん、では向かってください。こっちの方角です」
オキヌちゃんの手により鬼見君のナビゲーターになる。おそらくは雪崩れに巻きこまれたであろう死体の有る位置を示す。
「こりゃ鬼門方向ですたい」
一反木綿、すいと上空へ向かう。肉眼で見えなくなってから、美神、横島、そして鬼太郎は車上の人となる。
飛ばすわよと、美神の小声を二人は耳にしている。少ないとは言え車の流れに乗った頃、
「ラジオでもつけるわね」
音楽のFMが車内に響いている。少し古いポップ特集だったらしい。
【♪赤あげて〜白下げない♪ぐるっと廻って『じゃんけんピョん!』♪♪♪】
「・・・関西弁じゃ『いんじゃんぴょい』♪」
出身が関西の横島。この部分だけ口ずさんで少し照れているのか。
音楽を聴いていた鬼太郎が口を開く。
「それにしても。令子ちゃんが免許をとれる年齢になっただなんて、月日の流れは早いなぁ」
その答えに微笑みで返す美神だ。
「なぁ、さっきから思ってたんだけど、おまえ美神さんとどういう事があったの?」
「知り合いは知り合いだけど、ボクが令子ちゃんとあったのはずっと昔、ボクの方が背が高かった頃さ」
横島が、相槌を打った瞬間、車内に流れていたラジオが、
【♪ぱっぱっぱっぱうた・・・おど・・ZAAAAAAA GAAAAA】
トンネルに入ったが如くの異常を見せる。森の入り口が肉眼で見える所でだ。
「美神さん、これって霊的障害による現象っすよね」
美神車を止める。
「そうね。ここからは歩いて行きましょう」
サイドブレーキを引いた直後、3人は示し合わせたが如く、転がるようにして車から脱出する。
目標に向かって最初に攻撃を繰り出したのは鬼太郎だ。
「毛ばり!」
気合音と共に、髪の毛が逆立ち、攻撃をしかける。
「木々の攻撃っすね!っと!」
横島は霊気の剣を右手に持ち、右に左にと増殖する木々の枝を切り払う。
「完全に森が乗っ取られているのね。まだ入り口だと言うのに」
幾千の蛇が襲いかかってくる。そんな攻撃だ。
美神も神通棍を鞭状にして応戦するが、相手の弾は無尽蔵に近い。
「これじゃあ森の中にいるこなきや砂かけは!」
どうなっているのだ、という問いは鬼太郎自身が導き出した。
木々が3人を囲み始めた時、鬼太郎の体に変化が生じた。
「あれ?手が重い?」
左手を見ると。
「わっ!い、石になってる!令子ちゃん、横島君、君達は大丈夫か!」
鬼太郎あらんばかりの大音声を出す。
「あぁ、人間には平気みたいだ。・・にしてもどうするっすか?」
「横島君、文殊を。以前みたいにバリアーを!」
はい、と言うとありったけの魔力を文殊に込める。記入文字「防」だ。
閃光の後、ドーム状にバリアーが展開する。ドームの中は妖怪の石化も防げ、鬼太郎の左腕も元通りである。
だが、
「美神さん、あの目の前、御地蔵さんみたいなのも、妖怪じゃないっすか?」
以外とハイカラな石像は頭に大きなリボン、そしてスカート姿であった。
「猫娘!」
鬼太郎が走り寄ろうとすると、
「鬼太ちゃんはドームの中にいて。横島クン、あの子の石化を解いて来て」
「了解っす!でも文殊も残り少なくなって」
「そう。でも彼女も戦力になるわ、つべこべ言わずに治療してこい!」
横島は猫娘の治療へと向かう。幸い、手を伸ばせばすぐに猫娘のいる場所であった。
美神は手を顎に当てて考え事をしている。
「令子ちゃんも僕と同じ考えかな?いくら幽霊でも石化なんて高度な術を使えないだろうし」
「でも、それに私達人間が平気って事は幽霊の出す波動を利用している事は確かだわ」
横島も問題無く猫娘をドーム内に引き入れる事が出来た。
「さてと、石化を解くんだから「浄」で大丈夫だな」
文字を記入して文殊を当てる。邪気が猫娘から取り除かれる。
「あ・・あんたは・・?」
大分弱っていたので勿体無いがと、もう一つ文殊を与える。「回」、まわるでなく回復の意味合いでだ。
「助かったわ。でも貴方は一体?」
美神さんの弟子だと言うと。
「やっぱり来てるんだ」
何か不服そうである。
「えっと、あそこに鬼太郎と美神さんがいるから、合流しよう」
指を指すが何処に令子ちゃんがいるのと聞きかえす。
あの背の高い女の人だよと言うと、大きくなったのねと猫娘も驚いた。
「な〜んだ、心配して損した。あそこまで大きくなればね」
「?何がなんだ?」
「ま。早く合流しましょ」
猫娘は駆け足で鬼太郎のいる結界の中心部へと向かった。
「猫娘!大丈夫か、それに何があったんだ!」
「うん、大丈夫よ。今まではこの森に雪が降り続けていただけなんだけど、親父さんが出ていった後その雪に触れただけで石化していったんだ」
「そうか。でも無事でよかったよ。猫娘、そう彼女が美神さんだよ」
「さっき横島クンから聞いたよ。大きくなって!」
「うふ。人間ですから。安心した?」
なんなんだと、横島は感じるが、今は今後の行動を決める方が先決である。
オキヌ達の方は、
ある程度の高度まで達すると雪が降っていた。
「親父どん、おいドンは水が苦手ですたい。これ以上は飛ばせんとですよ」
「もう一寸頑張って欲しいのじゃ」
というが、風が出て来るともう前に進むのも難しいと言い出した。
「歩きましょう、一反さん近くの岩場に降りてください。
「ガッテン!」
と、近くの適度な岩場に下りる。
「すません。どうも調子がわるぅてそれにおいどんは南の妖怪じゃけんに」
「どうじゃったな。御苦労。一反木綿。もう歩いていくしかないのぉ」
「そうで御座るな親父殿。拙者に捕まって下され」
風が更に勢いを増す。髪がかなり靡き、歩くのも困難に思えたが、
「おっと、目玉の親父さん。文殊を使う事はないわ」
タマモが言うと、狐火を応用して風に抵抗する防御壁を作る。
「む!やるのぉ。タマモの」
「ありがと!タマモちゃん。もう少しよ。はやく御払いしてあげましょ!」
うん、と、その場にいる全員が鬼見君の指す先を目指す。
風の勢いは未だに収まらない。
誰も目に捕らえられなかったが、近くの岩場に真赤な顔のでかい妖怪が近くにいたのだ。
「だれじゃ?ありゃ。・・ぬらりひょん様に連絡すべきか」
朱の盆、という妖怪は皆も存じていよう。
散々迷った挙句、連絡はいいやと諦めてしまったようだ。
「ま。例の場所にも守り手はいるからな」
雪を踏み分け、3人と目玉一つは更に岩壁に近い雪山を登っていった。
横島が作った結界の発光が少し弱まった頃、
「美神さん。そろそろ移動しないと、一旦外に出ますか?」
「そうね。出来る事なら鬼太ちゃんの家まで向かいたいわ、そうだ注連縄(しめなわ)の結界で向かうわ」
「そうだね。僕の所は霊的に保護されている所だからね」
と言う事で4人は美神を先頭に腰の位置まで注連縄を持ってくる。
「文句は無いっすけど、情けない格好っすよね」
「・・それ以上言わなくていいわ」
殿(しんがり)は当然横島だ。幾つかの攻撃を受けるが、二人の息は乱れる事は決してなかった。
「こなきのおじじは大丈夫だろうけど、砂かけのおばばさん、大丈夫かしら?」
猫娘を逃そうとして体を張ったそうである。
そして、
誰もいないはずの鬼太郎の妖怪ハウスには、大店の旦那みたいな妖怪が廻りは雪だと言うのに左団扇をしている。
「くわっくわっくわっ、鬼太郎め。今度こそワシの勝ちじゃ!」
「そうで御座いますなぁ。ぬらりひょん様、まさか幽霊を御使いになるとは」
「頭の違いよゴーゴン!」
ギリシャ神話に出て来る蛇の頭を持つ女、ゴーゴンである。

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