ザ・グレート・展開予測ショー

黒い呪いと天使の笛の音(27)


投稿者名:AS
投稿日時:(01/ 5/ 8)

「先生っ!」
「わーってる・・・ていっ!」
 共に落下しているシロの声に返事をし、横島は手に握られた文珠に念を込めた。
 ブゥン!
 ぐんぐん近くなる床に向かってー・・・文珠が発動する。
 
 ・・・ドスンッ!

 文珠が発動した次の瞬間、横島とシロは柔らかい床に抱きとめられた。
「ふー・・・セーフ!」
 横島は上半身だけ起こし、額から流れる汗を拭う。
 そのままシロと共に一息ついて、上を見上げた。
「さて・・・と、頼むぜ・・・」
 ここにはいない誰かに一言呟き、横島は後に続くシロと共に、その場を後にした。



ー黒い呪いと天使の笛の音(27)ー



 しばらくの間、落ちた『間抜け共』を嘲笑し、少年は身を翻した。
「もう同じ手はくわない・・・ここから『気』を消して・・・と・・・」
 服越しに胸もとのペンダントに触れる・・・すると少年の姿がまるで、霞みがかったようになる。
(さらに使用時間が短くなるけど・・・仕方無い・・・)
 ペンダントによって、霊波ばかりか、生身の人間が発する全ての気を抑えて、右横の隠し通路のある部屋へと向かう。
(じゃあね・・・獲物を逃がしたお間抜け達・・・)
 部屋の前にたどりつき、扉を開けようと手を伸ばす。
 ギィィー・・・
 開かれていく扉の向こうに、カモフラージュの為設置された机が見えた。
 無論、このビルの雰囲気に合わせ、薄汚れた風を装っている。
(ふふ・・・さぁて、と・・・)
 少年が机をどかそうとした時。
「おいガキ」
 机をどかそうとした少年に、声がかかる。
(・・・・・・幻聴か?)
 『ソレ』は少年にとって忌々しい声。 だがその声を持つ男は先刻、堕ちていったばかりなのだ。
(やれやれ・・・つくづく邪魔な・・・)
「おいガキ!」
 幻聴と決めつけ、机にかけた手に力を込める少年に、再び声がかかる。
(幻聴じゃ無い!?)
 ハッと振り向く少年。
「ーーー!!?」
 そこには全く無傷の姿の、あの男が立っていた・・・

 一方・・・会場では・・・
「エミ・・・手はあるのね?」
 『影』が完全に復元したのを見て、美神は隣で腕を組む女性に声をかけた。
「・・・・・・」
 その女性、エミが無言で頷く。
「・・・・・・オッケー・・・!」
 それだけのやりとりで合意に達した二人。
 美神は再び駆け出し、影に向かって拳を繰り出す。
 ドガァッ!
 吹き飛ぶ影。 それを見た美神の顔に戸惑いの色が浮かぶ。
(く・・・! 違うっ! おキヌちゃんを殴ってるわけじゃ無いっ!」
 キレている時と違い、おキヌの姿をした影に攻撃を加えるのをためらう美神。
 そこにエミの声が飛ぶ。
「躊躇しないっ! 影が近づいた分だけこの娘の霊体は圧迫されてくワケ!」
 その声にちらりと、エミ、そしてその後ろの少女に目をやる。
「うぅ・・・美・・・神さ・・・」
「・・・・・・」
(迷ってられない! 今は時間を稼ぐ!)
 先のやりとりでー・・・美神はここにいない『連中』がエミの『手』だと看破していた。 美神の顔から迷いが消える。
(横島・・・ドジ踏むんじゃ無いわよ・・・!)
 美神の拳に霊力の光が宿った。

「ば、ばかな・・・!」
 ありえない! あの男がどんな『力』を持っててもこんな短時間で・・・!
「・・・・・・」
 驚愕し、戸惑う少年を見て、男がため息をつく。
(・・・・・・?)
 この男らしからぬ行為に、少年は眉をひそめた。
 すると。
 ポン!
「!?」
 男の姿が突如、共にいた女の姿へ変わった。
「な・・・お前・・・!? 発火能力者じゃ・・・!?」
 またも戸惑う少年に、こちらもまた・・・ため息をついた。
「ねぇ・・・」
 女が口を開く。
「!?」

「横島と一体・・・何があったの? 」

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