ザ・グレート・展開予測ショー

西条キヌ


投稿者名:ギャグレキスト後藤
投稿日時:(01/ 5/ 7)

がちゃり
ドアが開いたの。
あたしの旦那さん、輝彦のお帰りの様なの。

「ただいま、キヌ。」

それは、やさしく香りを包むような声。
あたしも思わず

「おかえりなさぁい」

と、返事をしたの。
気持ちよく。
輝彦さん、今日もICPOで除霊をしてきた帰りで疲れているの。
だから、輝彦さんの大好きな麻婆豆腐を作って、食べないで待っていたの。
一緒に食べたかったから。
でも・・・・・・

「おキヌ、お風呂沸いてるかな。」

って、先に湯船に浸かってまずは疲れを癒したいように言うの。
でも、今は浴槽を洗ってお湯を入れてる途中だったから、もう少し待ってと言うはずだったのに、あたしは思わないことを発してしまったの。

「ねえ、先にご飯を食べない?
 西条・・・・いや、輝彦さんの大好きな麻婆豆腐を作ったのよ。」

って。
そしたら旦那さんも

「おーそうか、ごめんごめん。」

と言いながらも、急いで部屋に戻ると、着替えて食卓についてくれたの。
やっぱ、手作りは早く食べたほうが美味しいと思ったのかしら。
そう考えると、嬉しくて、もっと食べてほしいとは思いながら一緒に食べていたけど、
お風呂のお湯が溢れそうだと感じたあたしは、ちょっと椅子を立とうとしたの。
でも、

「どうしたんだい、食べてる途中に。」

と、話し掛けてくる。
そういえば、お風呂にお湯を張っているとは言ってなかったのに気が付いたの。
だから、

「たべれば、お風呂に丁度入れるころになるかな」

って、言いながらお風呂場に行ったの。
サァー・・・・と、緩やかにお湯の入る音が聞こえるんだけど、あたしが近づくにつれて音がホンの僅かづつ、大きくなっていくの。
そして浴槽室のしまったドアを開けるの。
覗いてみたら、浴槽の6分目ぐらいにお湯が入っていたので、ガス点灯式の風呂釜についた水道の蛇口をひねったの。

今は、2016年10/23日。
あたし、西条さんと結婚をしたの。
で、今は美神除霊事務所から少し離れた新居で二人で暮らしてるの。

時々、横島さん・・・・いや、六道家に婿入りをした忠夫さんや、雪之丞さんと取り敢えずは籍を入れた美神さん
から手紙がくるの。
それを読んでるだけで、あたしは嬉しくなるの。
二人とも、相変わらずの生活をしているのかとは、もう空想してない。
書いてあるままに思い浮かべるだけで、二人独自の、綺麗な情景が浮かび上がるの。

まず、六道忠夫さんの住んでいるイギリス・リヴァプウルにある豪邸。
そこは、元は すとろべりぃふぃるず っていう場所だったらしいの。
もう12歳になる盟菜(めいな)っていう娘がいて、それは、忠夫の逞しい顔と冥子の純な性格が混ざり合った
かわいらしい子らしいの。
写真も同封してあったけど、これがそうかぁって見てると、317年前を思い出して、厚い涙がほろりと・・・・・。
でも、

「どうしたの、キヌ。そんなとこで泣いて・・・・」

との輝彦さんの声に我に返ったの。
その時、あたしはネグリジェを着てない下着姿だったから、思わずかぁっと赤くなって、輝彦さんを
部屋から押し出そうとばかりに、旦那の背中を押したの。
そう、あたしは今、自分の部屋にいるの。
風呂場でお湯を止めたまま、ご飯も食べかけのままで部屋に入ってしまったの。
とりあえず、先にネグリジェに着替えようとしていたんだけど、我を忘れて今度は来ていた手紙に・・・・・

「今日はどうしたんだい、ちょっと疲れているんじゃないかな。」

と、着替え終わったころを見計らって、キヌの部屋のドアを開けて入ってきたの。
そして・・・・・・・輝彦さんが・・・・あたしの・・・・あたしのおでこを・・・・・・・・自分のおでことくっつけて来たの!
熱を測ってくれてるんだろうけど、その行動を前に、あたしはますます熱が舞い上がったの。
何で上がっているののかは、旦那もわかってくれてるんだろうけど。
ともかく右手を下からそっと、あたしの背中を下にして、腰から足膝の方にまわしてくれるの。
そして今度は、首から肩にかかるあたりを同じように、下から左手で支えるの。
そのまま、あたしは抱えあげられたまま、ベッドに載せられたの。

「じゃあ・・・・おやすみっ!」

輝彦さんは、丁寧に布団をかけてくれたの。
夜も早々さわやかにそう言って、電気を消すと、ドアを閉めて静かに出て行くの。
その時、

「あとは、俺もすぐ風呂に入って寝るから、明日までぐっすり寝ていなよ。
 明日、6時に起こしにくるから。」

この言葉が、1999年バレンタインの時の美神さんのやさしい応対とそっくりだったの。
あたしはそのまま、懐かしく考えながら、うとうとと夢の中に入っていったの・・・・・・。

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa