ザ・グレート・展開予測ショー

ミットナイト・ダンディ(その十六)


投稿者名:ツナさん
投稿日時:(01/ 5/ 5)

 唐巣の目線が美神の姿を捉えた。
「美神君」
当然声を掛けたが美神はまったく無視してその横を走り抜けて行った。
「何なんですかあの人?」
水野が怪訝そうな顔をしている。
「いや、いいんだ。ん?」
と、そのとき唐巣の体に何かが当たった。唐巣の目線が足元をさまよう。
「ん?これは・・・」
見つけたのは『癒』の一文字が刻まれた文珠であった。
「ありがとう美神君」
唐巣は三上の後姿にそっと感謝すると、文珠を発動させた。
「あ、先生、大丈夫ですか」
「なかなか苦戦しているみたいですね、唐巣神父」
そこに西条とピートとが駆けつける。
「ああ、急いで追ってくれるかい、二人とも」
そこにエミもやってきた。何があったのだろうか、少々ご立腹気味である。
「令子の奴、私の足をふんずけて行ったワケ!謝りもしないで!」
「まぁまぁエミさん落ち着いて」
ピーとがたしなめると、足が痛いの、と甘えて見せる笑みはなんだかなぁもう、である。
「いや、君たちには感謝してるよ。西条君、何か詳しいことは分かったかい?」
「大体神父が調べたデータと同じようなもんでしたね」
冒頭にそう付け加えて、手短に一通り話す西条。
「やはりそんな物だろうね。さて急ごうか、我々にも何か出来ることがあるはずだ」
唐巣は水野の肩を借りて立ち上がると、悪霊のもとへと足を運ぶよう皆を促す。
「ヘリを落とされても物資だけはありますから」
西条が自慢げにキャンプにでも行くかのような大きなリュックを示す。
 なにげに水野へのアピールも忘れない。
「は、はぁ」
なれない視線に水野は苦笑いを浮かべる。

「おらおら、どうしたよ?」
横島は霊波刀でちまちまと悪霊をいたぶっていた。四肢を飛ばし、頭を飛ばし再生するのを待ってまた同じようにいたぶる。
『ぐぅ、我は我なり、我はあり、ただ有るのみを望み・・・』
「だまれ、腐れ悪霊が!!!」
悪霊の言葉を遮って頭から真っ二つに切り裂く横島。悪霊はそれでも再生し、横島に反撃を試みるが、横島はまるでそよ風を切るかのように悪霊の触槍を切り飛ばし、せせら笑っている。
「怒れ、憎め、その全部を否定してやるよ」
口元に浮かぶ笑みが、より冷酷さを際立たせる。
「横島さん!もう楽にしてあげてください」
おキヌちゃんが見かねてそう懇願する。
「だまれ!こいつはもっと苦しむべきななんだ、地獄の万倍苦しませてそれでもまともに
昇天(い)かせねぇ!」
横島はおキヌちゃんをきっとにらむとそう怒鳴りつける。
「横島さぁん!」
「うるせぇ!女ががたがた口をはさむんじゃねぇ」
『ぐぉぉぉ!!!』
横島が振り向いたその隙をついて悪霊が強烈そうな一撃を放つ。

がしぃ!!!

しかし横島はそれを振り向きもせずに左手で掴むと、
「ちょっと黙ってろよ!」
と霊波刀で悪霊を切り刻む。それでも悪霊はすぐに復活し、横島に対峙する。
「調子に乗りやがって!」
悪霊が唸る。最初に比べて少し小さくなったような気がした。

『ばうばう、ばばう』
おキヌちゃんの後ろでバルムが吠えた。
「どうだった?」
おキヌちゃんが結果を聞く。
「心配させたみたいね。でも皆無事よ、おキヌちゃん」
その声に返事をしたのはバルムではなく美神だった。
「美神さん!」
おキヌちゃんは一瞬安堵した顔を見せるがすぐに再び顔が強張る。
「横島さんが、横島さんが・・・」
それ以上言葉にならない。
「分かってるわよ。・・・・・・すぅぅぅ・・・・・・」
美神は安心しなさいと笑みを作ると、大きく息を吸い込み。
「横島ぁ!!!!!!!!!!!!」
と大喝した。

びくぅ!!!

とその瞬間横島の体がびくりと痙攣した。
そして直後その手は合掌し、腰は引けている。
「いいかげんにしなさいよね、ったく」
「あ、美神さん、死んでなかったんすか・・・」
その美神の声を聞きいた瞬間、横島の顔から険が取れ、冷たかった霊気が終息していった。
美神さんの存在が彼にとってどれだけの容量を締めているか、その結果が率直に現れている。
 ・・・・・良し悪しは別として。
『汝、あの者の尻に敷かれてるな・・・』
悪霊ですらその横島の変容に呆れの色を見せる。
「かってに人を殺さないでよね・・・。ばか」
美神の顔に一瞬安堵の色が見える。その顔を見ておキヌちゃんが一瞬戸惑いを見せた。
 女の感が(おそらく第七感とか言うやっちゃ)働いたらしい。
「横島さん、頑張ってくださーい」
なぜか場違いな黄色い声援を送っている。
「・・・まぁ、いいか」
美神が苦笑いを浮かべ、その悪霊に向き直る。
「あんたが今回のターゲットね・・・まったく手間掛けさせないでよ」
神通棍を構えながら悪態をつく。
「とにかく・・・極楽へ逝かせてあげるわ!」
『笑止!!!』 
悪霊が意を発するとやりのような触手を連ね放つ!
「横島君!」
「任せてくださぁぁぁ、いてててて」
霊は刀を構え、触手を待ち受ける横島。しかし今度はその半分程度を食らっている。
いや、どんなにダメージを受けてもギャグになることのほうが、ある意味すごいことなのかもしれないが・・・。
やはりノーマルモードの横島は、やはりどこか抜けている・・・・。
「よこしまさぁん・・・」
おキヌちゃんの顔にいつもの表情がが戻ってきた。
そこに唐巣たちが集結する。
「これまでだな・・・悪霊!」
唐巣が、びしっとにらみ付け、そう言い放った。

続く

もうちょい続く・・・・。  

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