ザ・グレート・展開予測ショー

星影〜第五章〜“表面:後半”


投稿者名:氷魚
投稿日時:(01/ 5/ 3)

星影〜第五章〜“表面:後半”

大蛇の中を横島は進んでいる。道は曲がりくねっていて暗く、足元もよく見えない。
「あのねーちゃん、えー顔しとった……のおおっ!?」
 突然横島が消えた。…つまりは穴に落ちたのだ。
「なななな…なぜいきなり落とし穴がああーっ?」
 どうにかとっさに手を穴の縁にかける事ができた横島は、そーっと下を見た。
 闇。果てしない奈落の底にでも続いているのかと思わせるような闇。闇だった。そしてその奥からは苦しみさ迷う亡者のうめき声にも似た音が微かに聞こえる。
「お…おおおおっ!」
 恐怖に我を忘れた横島は死に物狂いではい上がり、目から液体状のものを噴出しながら限りなく音速に近い早さで恐怖に怯えてこの大蛇の奥深くヘとすっ飛んでいった。
 横島がたどり着いた所は妙な門だった。鬼の面こそ付いていないが、明神山の門にも似ている。
「…?」
押しても引いてもびくともしない。ノックしてみても殴っても何の反応もない。ただ横島の手が痛くなるだけだった。
「そんなにうるさく叩くんじゃない。壊れるだろうが。」
突然後ろで声がした。大いに横島は驚いて振り向いたが誰もいない。
「だっ…誰だ?」
「そいつはこっちのセリフだ。…何者だお前は?」
「えーと、飛野って人の使いで…。」
「飛野だと?………そうか。貴様、ヤツの使いか。」
一陣の風が舞い起こり、どこから来たのか、男が一人、降り立った。外見は人間の格好をしているが、一目で魔族と解る。
「長に伝えておく。ヤツはなんて?」
「えーっと、“飛野は土地をわたす気は毛頭ありません”って…」
「そうか…やはりな…。」
男は凄惨な微笑を浮かべながら、袖の下に手を突っ込み、一目で使い魔と解る魔物を取り出した。
「フィールへ。ヤツはやはり拒否した。全ての“駒”を進める様に指示しろ。私もいずれ行く。…いいな。行け!」
男は使い魔を飛ばした。
「んなっ…」

「悪いな。俺が長だ。」

言うが早いか、男は消えた。

「早く帰った方がいいんじゃないのか?ヤツが死ぬぞ。」
横島以外誰もいない空間に声が響いた。

「く…そおっ…。」
落とし穴を必死でかわしつつ横島は走り出した。

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