ザ・グレート・展開予測ショー

黄昏  −たそがれー


投稿者名:来栖川のえる
投稿日時:(01/ 4/30)

「花を頂きたいのだが・・・・・・・・」
私は、花屋の店員に話し掛ける。
「はいはい・・・。たしか、黄色のスミレでしたよね?」
「ああ」
記憶力がいいのか?
「はい」
花を渡しながら店員は私に微笑んでくる。
「・・・・ありがとう」
私は店員に勘定を払うと、店を出た。
そしてそのまま目的地に行く。


ウイーン・・・

私を乗せたエレベーターが、上に登って行く。

チーン

どうやら、ついたようだ。
「ん?」
私は、西側の窓の方に行くと、見たことのある男を見つけた。
「・・・・・・・・・・ポチ?」
「え?」
男は、私の方を振りむく。
「ベスパ!」
「・・・・・・・・・・・・・墓参りか?」
見ると、彼の足元には花が添えられてあった。
「・・・・・・・・・・ああ」
そう言って、彼は夕日を見る。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・さみしいか?」
私は、彼の隣に行くと、そんなことを聞く。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺が涙を流す分だけ、彼女も涙を流す・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。だから・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうか」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ま、結局あいつが死んで、暫くたつまで毎晩布団で泣いちまったけどな」
「・・・・え?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・夕焼けを見ると、いつも隣にまだ彼女がいるような気がして・・・・・・・・・・・・・・・。夕焼けを見ているときだけ、俺は別の世界にいるようだった・・・・・・。この手に彼女のぬくもりを・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・でもな」
そう言って、彼は一呼吸おいた。
「・・・・・・・・・あれから、一年たった・・・・・・・・・・・。たしかに、彼女がいると思えば、俺はもっとこの世界を楽しく感じるかもしれない。・・・・・・・・・・・・・・・・・・だけど・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それはあくまでも幻の「幸せ」でしかない。夢でしかない。どんなにつらくても、俺はこの現実を見なくてはならない。俺はいつまでもあいつに甘えてるわけにはいかないから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。そして、いつかこの現実を見つめても、涙を流さなくなる日が来たら、「俺は幸せなんだな」って思えるんじゃねーかな・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・って、しみったれた話しちまったな。・・・じゃ、そろそろ帰るわ・・・・・・」
そう言うと、彼は私に背を向けて歩き始めた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・姉さんが、なんでおまえを好きになったのか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少しだけ、分かったような気がする・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・そうか、あんがとな・・・・・・・・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・彼は私に背を向けたままそう答えると、人ごみの中に消えていった。
「あいつの背中は・・・・・・・・・・・あんなに広かったのかね・・・・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・人は、一年で、変われるもんなのか?
             ・・・・・・・・・・・・人は・・・・・・・・・・・・・

ふと、彼の歩いていったところを見ると、小さな雫が点々としていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・幸せ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ねえ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
私は、先ほど彼が置いていった花束の横に、私の花束を静かに添えた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・来年も・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・必ず、来る」



                        ・・・・・・・・・・・必ず・・・・・・・・・・




             ・・・・・・・・・・また、赤い陽が西の空に沈んでゆく・・・・・・・・・・・・・




























                ・・・・・・・・・・一瞬しか見れないから・・・・・・・・・・・










































                       ・・・・・・・・・・・・・・・・・
























































                          ・・・・・・・・・・・






















































                              ・・・・・


















































































                               またね





























































                  












                           ・・・・・・・・・知らない少女の声が、聞こえた・・・・・・・・・・







































































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