黒い呪いと天使の笛の音(20)
投稿者名:AS
投稿日時:(01/ 4/29)
ダンッ!
しなやかな肢体が、獲物を定めた豹を思わせる動きでー・・・黒い少女の『影』に肉薄する。
ド・・・ガシャアアーーッッ!!!
轟音。
『影』が荒れ狂う霊力の波に吹き飛ばされる。
「この・・・よくもっ!」
ドガアッ!!
吹き飛ぶ『影』を、更なる衝撃が襲う。
『影』はその衝撃で壁際に叩きつけられる。 一瞬動きが止まった、その漆黒に、殺意をみなぎらせた豹が飛びかかる。
「この! このゲス野郎がぁぁ・・・っ!」
ドガガガ・・・! バキィィッ!
目にも止まらぬ連打・・・その一発一発全てが並の妖なら粉々にする程の威力を持っている。
「うおおっ!」
ズガシャアアァッ!
連打のラストに右の回し蹴り・・・まともにくらった『影』はその蹴り足の振り抜く先へと吹き飛ぶ。
ダンッ!
「フーッ・・・! フーッ・・・!」
荒くなった息を整えようともせずに、いまだ怒りの炎に燃え続ける瞳で・・・壁に激突した『影』を見据える一人の女性。
否・・・一匹の女豹は『家族』を傷つけた『敵』に更に牙を突きたてようとー・・・
「ウ・・・オオオッ!」
再び、地を蹴った。
ー黒い呪いと天使の笛の音(20)ー
牙を剥き出しにし、容赦無く爪で獲物を切り裂く豹・・・その姿を声も無くただ見つめる者が二人ー・・・呆然としている。
まるで金縛りをかけられたかのように、目を逸らす事も出来ない・・・二人には良く知っている筈の女性が、まるで別次元の存在になったかの様に感じられた。
(・・・・・・)
(これが・・・本気の美神さん・・・)
『オオオラァーーーーーッッ!!!』
ガガガガ・・・!
『・・・・・・』
「やれやれ! プロならもっと後先考えて『キレて』欲しいワケ!」
「!」
見ている者に戦慄をもたらす、その光景にもたいして動揺も見せないその声に、二人の金縛りが解かれる。
「まーったく・・・ひよっこ達の前であんなに・・・恥ずかしいったら・・・」
「お、小笠原さんっ!」
呆れ混じりのため息を洩らしたエミに、横からせっぱつまった声がかかる。
その声に彼女は、気だるそうに、声の方に振り向いた。
「・・・何なワケ?」
「な、なな、何って・・・!」
「ほっとくつもりですの!?」
その言葉にも、エミの様子は変わらない。
「ほっとくも何も・・・止めれると思うワケ?」
『・・・ぅ・・・』
揃って再び、振り向いた先にはー・・・更に容赦無く『影』をぶちのめす女性の姿。
もはや『影』は少女の姿の原型もとどめていない。
「あんなのに付き合うよりも今は霊力を温存しとくワケ」
「で・・・でも、あのまま倒しちゃうんじゃ・・・?」
少女の片方の意見に、エミは黙って首を振る。
「そうね・・・今のうちにこの呪いの事・・・」
一旦言葉を切り、エミは『彼女』の方へ目を向けた。
医師達や、姉の看護を受け、僅かだが回復してきてるとはいえ・・・『彼女』はいまだ苦しげに伏せっている。
「・・・・・・」
『彼女』から目を離し、エミは話を再開した。
「さて、と・・・ゴホン!」
『・・・・・・』
「この呪いの説明したげるワケ」
「駄目でござる・・・」
「どうやら・・・追跡を想定してたみたいね・・・」
力無くうなだれる『二人』・・・その二人の結論に、横島はうめいた。
「あのガキ・・・くそっ!」
「先生・・・どうすれば・・・このままじゃおキヌ殿・・・」
「・・・・・・」
「横島・・・」
そこで、横島はため息をついた。
「先生?」
「ふぅ、しゃーねぇな、あれ使うか・・・」
そう言って横島は二つ、ポケットから文珠を取り出した。
(出来ればこれは使いたくなかったんだが・・・この場合仕方ねえよな・・・)
気の乗らない様子で、彼は文珠を発動させた。
今までの
コメント:
- 「暴れまくる美神・・・こういうのは苦手ですけど、頑張りました。 楽しんでもらえたら嬉しいです」 (AS)
- 次は長々と呪いの解説・・・読んで眠くなったりされないようにうまく書かないと・・・ (AS)
- こわいぞ、美神。周囲に被害が拡大しない事を祈っています。
それと、ガキ。シロタマ両名の追跡を振り切るとは只者では無いですね……どうやったんでしょう? (Iholi)
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