ザ・グレート・展開予測ショー

初恋・・・?


投稿者名:hazuki
投稿日時:(01/ 4/28)

おきぬはぐっと両手を胸の前で握っていた。
手はじっとりと汗ばんでいる。
俯いているためか、その大きな瞳は前髪に隠されて表情が見えない。
その姿はまるで神に祈りを捧げているかのように見える。
清らかで優しくて美しい。
いや祈るようなという表現は当たっている。
彼女は祈っていたのだ。
それはもちろん神という万能でない存在ではない。
かの女性に。
彼が愛した女性に。
夏子が誰にもいえぬであろう言葉を言っていた時。
おきぬは彼女のことを思っていた。
全てを賭けて「彼」を助けた彼女の事を。
その昔
300年前
自分が村の皆を助けようとして、人身御供になった時。
その時の自分には躊躇いも迷いもあった。
生きたいとも思った。
だけど、あの時姫様が襲われそうになった時全てが消えたのだ。
その自分の行為で優しい姫様は傷を引きずるだろうということも。
恐怖も。
全部。
残ったのは「みんなを守りたい」
これだけ。
多分自分は何度となく同じ場面に出会ったとしても同じ行動を取る。
予想ではなく確信。
これは自己犠牲という美しい行動では無い・・・。
ただ見たくないだけなのだ。
自分の大切な誰かがいなくなる瞬間を。
彼女も見たくないのだろうな
と思う。
誰よりも誰よりも大切な人がいなくなる瞬間を。
それならば自分がいなくなるほうがまだいいと思えるほどに。
たとえ彼があとで苦しい想いをするとしても。
世界より何より彼女は彼に生きていてほしかったのだろう。
そして自分の生と引き換えに彼がいるであろうこれから彼が彼であるためにいきる世界を
ただ彼が彼らしくあるために
それだけの為に彼女は全てを賭けたのだ。
けして世界のためやら、人類とやらのためではない。
こんな熱くて苦しい思い。
いえなかった。
彼女を失ったことで苦しんでいるとしても。
どこか歪んでいるとしても。
分かるから。
その思いが。
いなくなったひとの気持ちがわかるから。
自分もそうだから。
自分のことを何時までも覚えていてほしいと思う気持ちと
自分のことを忘れてもいいから幸せになってほしいと思う気持ち。
違うようで同じ思い。
つづく
・・・・・ちくしょおおおきぬちゃん一話で書ききれんかったあああ(涙)

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