ザ・グレート・展開予測ショー

ゲゲゲの森へ向へ!!(2)


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 4/25)

学生は春休みである、よってオキヌちゃんも寝室で夢世界であったが、物音で目を覚ました。
「・・ふぁ」
大あくびもこの時期ならではの風物詩であろうか。
「??誰かいらしてるのかな」
寝巻きを急いで着替え、居間へ向かうオキヌの目に茶碗に眼が入っていたから可愛い悲鳴をあげるのは当然だ。
「こら、オキヌちゃん!」
「まぁまぁ、美神殿、驚くのも当然じゃ。御初にかかる、ワシは通称目玉の親父じゃ」
「め、目玉の親父様ですか。私は美神さんの所に居候している氷室、氷室オキヌと申します」
「居候だなんて。親父様、私の頼りになる助手ですわ」
うむうむと、美神の現状を他人事ながら嬉しそうにしている。
「時に親父殿。かの森がどうかしたので御座るか」
「うむ!」
茶碗から上がりオキヌから貰ったハンカチで身体についた水滴を拭いながら、
「実はな、ゲゲゲの森に春が来なくてな」
「あん?そういう霊障なら雪女の仕業じゃないの?」
「それが違うようなのじゃよ。御前殿」
「御前なんて柄じゃないわ。タマモでいいわよ」
多少の苦笑を見せる。
「そうか。タマモの、おぬしのいう事は最もじゃ。ワシも当初はそう思って幾つかの雪山に向かったのじゃが」
どの山にもはぐれ雪女は出てないという信憑性ある情報を入手していると言う。
「では、親父殿、ゲゲゲの森に害を成すのは幽霊の変化形だという事ですか?」
「うむ。ひょっとすると、ひょっとするぞ」
解りました!微力ながら御協力しますと瞬時に答えてから、
「オキヌちゃん。どうせアイツも寝てるでしょ。久しぶりの美神徐霊事務所の出動よ!」
「はい!横島さんに連絡します!」
横島とは、と目玉の親父が尋ねると、
「一応私の助手、と言うよりも下僕です」
「下僕だなんて。頼りになる男の子ですよ」
「拙者の御師匠様で御座る」
「単なるスケベよ」
四者四様の感想だが、すべてが的を得ているのも可笑しいであろうか。
オキヌが短縮ダイヤル0番を押す。少々ながい無機質音が鳴り響いていたが。
『あ、朝から御免なさい。オキヌです。実は・・』
手短に説明してから、横島の返答の後に、
『じゃあ、御待ちしてますね』
チン、と電話を切ると、
「自転車に乗って急いで来るそうです」
「怪我しなきゃいいけどね」
後になるが、タマモの心配は無用であった。
さて、横島としても。
「ひっさびさの仕事かぁ、張り切っていきますか!」
ひらと自転車に乗る。時に、万年貧乏の横島が新しい自転車かと言うとそうでない。
同じアパートに住んでいた住人が引っ越した時にオンボロの自転車を頂いたのだ。
「いいんですか?もう半分壊れているのに」
「えぇ、いいっすよ!この段階なら直せて使えると思っす」
横島存外に手先は器用である。当日に二時間ほど自転車を弄ると十分仕様に耐え得る状態となっていたと言う。
「やっぱ、自転車があると楽だな」
横島宅から事務所まで以前は電車を使っていたが、
「やっぱ、通勤がタダになるのはメリットでかいな」
春を楽しみながら事務所へと向かう。
事務所では全員が戦闘態勢を整え横島の到着を待っている。
「ほほぉ。氷室さんは神官系なのじゃな」
ふふ。気合入れですと答えたから、美神に質問をする。
「あのー美神さん、さっき、幽霊だとか妖怪だとか話されていましてけど?」
うん、一度頷くと、
「例外や力関係によって変るけど通常は、人間、幽霊、妖怪の位置付けの事があるの」
「位置付け?」
「簡単に言うと、じゃんけんみたいな物よ、そうねオカルト世界には大まかに分けて三つあるの」
引き継いで親父が続ける。
「人間から見て所謂化け物には3種類あるのじゃよ、一つはわし等妖怪と言われる存在じゃ」
「タマモやシロ、化け猫親子やハーピーがこの位置付けになるわね」
獣娘二人も納得済みである。
「それと幽霊。これは生の有る者がある条件で死亡するとこの存在になるわ、以前倒したコンプレックスとかね」
「それと悪魔や天使と言われる存在じゃ。まぁ、こやつ等はこの話には関係ないのじゃがな」
これにはメドゥーサやアシュタロスが入る。
「それでね。大抵は妖怪は人間に強くて、人間は幽霊に強い。でも幽霊は妖怪に強いのよ」
当然、その者の能力や力具合で反対のケースも当然ある。それに力を持っている人間はそうそういないのが現状だが。
「昔は人間達もそれなりの知恵を持っておったが、近頃は無知になって、霊的干渉に弱くなっておるがの」
昔を知っているオキヌには良く解る目玉の親父の解釈である。
「若し同条件、同等の3人が集まれば三すくみになるという事なのよ」
だから、目玉の親父は知り合いの人間である美神に助けを求めたという事なのだ。
勿論、幽霊と妖怪のハーフみたいな存在なども少なくないので本来はもっと難しい図式があるそうだが、
「それは、今度にしましょう。それにしても遅いわね。横島君は」
当の横島もう少しで事務所という場所の路地に来ている。
「やっぱ、春のサイクリングは最高だね!桜が散ったのは勿体無いけどな」
それでも都内ではあるが蒼の映える景色を眺めると心が弾む。
そんななか、もう暖かいにも関わらず、フードを被った浮浪者のような男がゴミ箱をあわっている。
『あー、最近は食うもんも少なくなっちまったぜ。不景気の所為だな、はぁ』
ゴソゴソしている所で傍を通った老犬の足を踏み、吠えたてられると、
『なんだワン公が・・おたすけぇ〜』
逃げていく様を見てああはなりたくねぇな横島は心の中で思う。
この浮浪者を私の都合上、今後出す事は無いがお気づきであろう。臭いそ奴はネズミ男である。
「おはよっす!オキヌちゃんシロ、タマモ!」
そして美神に自称スキンシップをはかろうとするが成果はたんこぶである。
「なるほどのぉ、単なるスケベか。タマモの言う通りやもな」
そして目玉の親父に眼を移すと、
「あれ、これが目玉の親父さんですか?」
妖怪に驚かないのは流石GSであろうか。目玉の親父も横島を少し見なおしたようだ。
「さぁ、行き先は寒いらしいから屋根付きの4wdで行くわよ!」
スピードを上げる美神の運転に弾かれそうになったネズミ男がなにやらの文句は誰の耳にも入らなかった。

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