ザ・グレート・展開予測ショー

横島夜行  勝機


投稿者名:TAK・A
投稿日時:(01/ 4/24)

 教経の太刀が右脇を切り上げる.昆布のように体をくねらせよける.
 左手に霊気をため放出する.気合で耐えられる.動きが止まったところを霊波刀で斬りつける.太刀で受け流される.
(くそ、やっぱ邪魔だぜ、この刀)
 鎧の外側にもうひとつ攻防一体のバリヤーがあるみたいだ.
 太刀を引いた教経のひじが顔を襲う.顔を思いっきり引く.
 ひじに隠れた柄頭が追い討ちをかけ、さらに手首が返り刃が下から廻りこむように襲う.地面に飛び込むように倒れこみ、転がって距離をとり跳ね起きる.
 教経の二つの防壁にあいた二つの突破口、しかし未だ小さい.横島はその穴を広げる方法を考えた.
『いいかげん、逃げ回るのは辞めて死ね』
 苛立つ教経.まるで赤鬼だ.
「やなこった。これ以上自分を嫌いになりたかないんでね.」
 汗と涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔を袖でふく.
 仮面をはずした.そう見えた.顔は何も変わっていない.それなのに印象を変えていたのは目だった.恐れも迷いも無い決意を秘めた澄んだ目。美神たちが見れば思い出したろう、百鬼抜きを志願した時のことを.
『むう』
 教経の顔が引き締まる.
『小僧、名を名乗れ』
「横島だ」
『平能登守教経参る』
「ご丁寧にどうも!」
 礼を言いながらサイキックソーサーを投げる.
『なんの!』
 太刀ではじく.しかしその影に一回り小さな盾が.
『クッ』
 強引に太刀筋を変え、防ぐ.その時注連縄が教経にからみつく。
『こんな物でわしを縛れると思っているのか!』
「いねえ!」
 ズドドドドドドド!
 いきなり注連縄の紙四手が連続して爆発する.実はこの注連縄紙四手の中に破魔札をしこんであったのだ.注連縄の霊力が結界を形作り破魔札の威力を中に集中させ、威力を増す.動きを封じるものと思いこみ、無防備だった教径はたまらない。
 教経はなぜ霊波の攻撃をしてこなかったのか.もしかしたらできないのでは?恐らく己の武芸のへ自信と執着のためだろう.なら霊的な攻撃の防御も気合で耐えるしかできないのでは?試して見たらそのとおりだった.これが第一の突破口である.
『お、おのれ』
 それでも倒れない教経.だが動きが鈍い.走りこむ横島.その姿が教経の視界から消える.
『な?』
 ザシュ!
 教経の首の付け根から霊気の剣が生えた.
 実は甲冑というものは下からの攻撃にまったく無防備なのだ.教経の攻撃が下からのものが主体なのはなぜかといった疑問から見つけた突破口そのニである.そのため横島は教経の股下に滑り込み、下から突き上げたのだ.教経の視界から消えたのはそのためである.
「生涯最悪のパンチラじゃあ!」
 わけのわからない横島のせりふが聞けていたのかどうか、何かをつぶやき微笑んで消滅する教経.鎧が落ちる.頭を打って気絶する横島.

『最後に正気に戻り、それでも武士として逝ったか教経』
 横島のほうを見やり、知盛。
『賭けてみるか、あの男に』

 その頃横島は夢の中でせえらあ服の教経に追い掛けられていた.

  次回「解放」に続く.

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