ザ・グレート・展開予測ショー

黒い呪いと天使の笛の音(15)


投稿者名:AS
投稿日時:(01/ 4/23)

ピュリリリッ! ピュリリリ・・・!
とある会場の中、その中にいくつかある霊的な結界の一つから、笛の音が響く。
笛の名は・・・『ネクロマンサーの笛』。
特殊な才能、霊との関わり、そして、その悲しみを理解する事で、使用可能となる笛・・・(例外もあるが)
ピュリリリリッ・・・!
今その笛を奏でるのは、黒髪の一人の少女・・・柔和な雰囲気を持ち、初対面の者ならな゛、とてもとても、こんな場所で争いを繰り広げる様には見えない・・・そんな少女である。
ピュリリリ!
彼女の想いを乗せてー・・・笛の音が響いた。



ー黒い呪いと天使の笛の音(15)ー



必死に頑張る少女の姿に、ある応援団の団長が復活した。
「おおおーーー!!! おキヌちゃぁーーーーんんん!!!」
バッサバッサとお手製の旗を振り、少女ー・・・おキヌに必死のエールが送られる。
「よっしゃーーー!! そうだよっ! 最後はやっぱ『根性』だ!!」
続いて送られる、ややぶっきらぼうな物言いの応援・・・それらに対し、戦闘の真っ只中・・・更に笛を吹いている今の状態では
、どれだけ感謝の言葉を浮かべようとも、口に出す事は出来ず、胸の中で・・・届かないのを知りながら、想うのが精一杯だ。
しかし。
ピュリリリリリリ!!
確実に、その応援は少女の支えとなって、力を与えていく。
「が、頑張って! 氷室さんっ!」
今度は少し、大声を上げるのが不慣れ・・・といった感じの声がかかる。
(・・・・・・)
『その声』を送ってくれた、姉や友達達に、もう一度、感謝して・・・ちらりと対戦相手の居る場所とは別のところに目を向ける。
(・・・・・・)
そこには、彼女には少し恥ずかしい応援旗を振り続ける姉、太鼓を叩くしっぽがついた少女、少し苦しそうに(今の自分には分かる・・・)ラッパを吹く九本のしっぽを持つ少女。
(・・・・・・?)
良く知っている少年は、いつもよりも真剣な眼差しで、こちらに目を向けているのだが・・・何故か頭から血を流している。
そして・・・
(・・・・・・)
(・・・・・・)
きわどい服装の女性と目が合う。 女性はただ黙ってこちらを見、頷く。
(・・・・・・)
そしてこちらに向かって口を動かす。
何と言ったのかは聞こえなかったのだが、おキヌは『その言葉』に大きく頷き返した。
その直後。 彼女の心にまたもやー・・・声が響いた。
(まさに、再現ね・・・)
その声に、おキヌは対戦者へと、再び目を向ける。
(・・・・・・)
(こうやってると、あの対抗戦を思い出すわ・・・あなたは?)
(・・・・・・)
(ふふ・・・話す余裕が無いの? それとも嫌な事でも思い出した?)
ピュリリリッ!
おキヌは構わずー・・・笛を吹き続ける。
(・・・まあ、いいわ、どのみちあなたにはリミットがあるんだし・・・ね)
その言葉を最後に、対戦者、矢神も触手から霊波を送る事へと、専念し始めた。
(揺さぶりは不発ね・・・よっぽど勝ちたい理由があるのかしら・・・それにしても・・・)
その時、矢神は一つのひっかかりを感じていた。
(妙ね・・・あの娘あんなに息続いたかしら・・・?)

そしてー・・・彼女は驚愕する。

ピュリリリリ! ピュリリリ・・・!
(ば、ばかな・・・何で!?)
あれからたった二分、しかし、その間に一度も笛の音は途切れなかった。
ピュリリリ!
(く・・・も、もう霊力が・・・)

「おおーーー!? 氷室選手! 驚異の肺活量です!」
興奮した実況の声に、ようやく血が止まった少年も感嘆の声を漏らす。
「み、美神さん! おキヌちゃん潜水の世界記録狙えるんじゃあ!?」
「・・・・・・」
興奮する少年、しかし、何故か美神は呆れた目をしていた。
「あほう・・・もっと良く見なさい!」
「へ?」
言われて少年は試合に目を向ける。
「あれ・・・?」
目をこする少年。 その目にはおキヌの顔が二つに・・・
「ま、まさか!?」
「そういう事。」

同時にー・・・矢神も気づいていた。
(や、やられた・・・!)
同じく気づいた、『解説』が入る。
「・・・そうか、彼女は一部分だけ幽体離脱させたんだ!」
美神がその後を継ぎ、早苗達に説明する。
「そもそもあの笛は心で吹く笛・・・幽体でも吹けるし、それなら息継ぎも必要無い、おまけに完全に体から離れるわけじゃ無いから負担も少ない。」
「・・・・・・」
「もっとも、霊体でも物を触れるおキヌちゃんだけしか使えないけどね。」
そして、締めくくる。
「おキヌちゃんの勝ちよ。」

その言葉の直後、矢神が宣言した。
「ギブ・・・アップ・・・!」
その声と共に・・・

「勝者! 氷室キヌ!」
新たなGSが誕生した。






AS「続きです・・・最後の方は、また詳しくフォローします・・・楽しんでもらえたら、嬉しいです。」

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