ザ・グレート・展開予測ショー

横島夜行  不屈


投稿者名:TAK・A
投稿日時:(01/ 4/20)

「九郎判官!今度こそその首この教経がもらった!」
「へ?どっどわわ!」
 横島の背後からいきなり斬りつける騎馬武者。あわててよける。横島は知らないが、その武者は美神たちをおそったあの武者であった。
「止せ教経!これ以上罪を重ねるな!」
「知盛殿!口出し無用!」
「なんと浅ましきことよ。我らでは教経を止めることは出来ぬ。横島とやら気の毒に。せめて冥福を弔ってやろう。」
 そういって、般若心経を唱え出す知盛。幽霊に経を読まれる。希有な体験ではある。
「縁起悪いことすんなあああ!」
 抗議の声を上げながら教経の馬を避け、その足から腹へ切り上げる。落馬する教経。
 文珠を出す横島。文書は残りこれを入れて七個。後のことを考えれば、奥の手に六個必要なことを考えれば、出来れば使いたくはない。しかし横島の直感が告げていた。出し惜しみできる相手ではない。「縛」の字を込め投げつける、一瞬動きの止まったところを首をはねる。そのつもりだった。
「こざかしい!」
「うぞぉ!」
 なんと教経、文珠をしたから太刀で切り上げまっぷたつにしてしまった。
 そのまま、刃を返し横島の向かって切り下ろす。背筋を伸ばし体を傾けてよける横島。
 横島の背後に回り、横一文字になぐ。蛙のように前に飛んで逃れる。着地して振り向く。
 刃を下に向け突き上げるようにしてつく。ざりがにのように後ろに飛ぶ。
 間合いを詰めながら太刀を振り上げ、たたきつけるようにおろす。ゴキブリのように地を走って逃げる。
 人間離れした奇怪な動きで猛攻をしのぐ横島。しかし反撃の糸口を見つけられない。
 横島は自分の霊力の特性を一点集中だと思っている。元々まともに戦えば大したこと無い実力なのだ。いやでも敵の隙を、弱点をねらうトリッキーな戦法にならざるを得ない。しかし、この敵はその隙が見あたらない。こうげきをおえ、つぎの攻撃に移るまでの間すら、太刀の切っ先が、刃が横島を狙っている。
 しかし横島はあきらめない。どんな強い相手でもだしぬくことが出来ることを知っているから。
 あきらめたりはしない。今度こそ幸せにすると誓った。それさえ守れなければ自分は最低のクズだ。
「真面目にやってんのか!貴様!」
「やっとるわい!」
 今彼は記憶の中から役に立ちそうなことを必死で検索している。人生の走馬燈ににているのが気になるところだが。

 そして汗に、涙に、尿にまみれながら横島は突破口を見いだした。

   次回「勝機」に続く

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa