赤い空
投稿者名:来栖川のえる
投稿日時:(01/ 4/17)
私はずっとそこに立っている
私はずっと見てきている
・・・・・・・・・・・私は空を見ている。空は私の赤い身体をさらに赤く染めながら暗くなってゆく・・・・・・・
見ると、一羽の鳥が私の方に向かって飛んできた。
「ふう、休まないとさすがにきっついわー」
鳥はそう言うと、私の体に止まって汗を拭いた。
「ちょっち休憩してくか・・・・・・・」
鳥はそう言うと、羽を閉じた。
「元気かい、あんさん?」
鳥が私に話しかけてくる。
「・・・・・・・ああ。この通りまだまだ元気だ」
私はそう言ってガッツポーズをとる。
「そうかい。そりゃよかった」
「・・・・・・・・・・・・・暇なら、私の昔語でも聞いていくかい?」
「おお、俺はおれが楽しみで毎年ここに来てるんだぜ!さあ、今日はなんの話をしてくれんだい?」
「そうだな・・・・・・・・・・・・・・・・じゃあ、二人の少年少女の話をしてやろうか・・・・・・・・」
私はそう言うと、目をつぶって「語りモード」に入った。
「・・・・・・・・・・・ちょっと昔の話なんだが・・・・・・・・・・二人の少年少女がいた。どこに住んでいるのかも私は知らないが、その二人は、毎日のように私の体に座っていた・・・・・・・・・・。
そして時には幸せそうに語らい、
時には幸せそうな笑顔を、
時には二人で夕焼けを眺めていた・・・・・・。
本当に、幸せそうだった・・・・・・・・・・・・いつもいつも笑顔を絶やさなかった・・・・・・・・・・
一方が悩みをもてば、もう一方が解決してくれる。
そして笑顔は絶えることがなかった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
だけど、二人はある日を堺に、パタッと来なくなった・・・・・・・・・・・・」
「そりゃまたどうしてでい?」
鳥が私に質問してくる。私は悲しい顔で、こう答えた。
「・・・・・・・・・・・・・・少女が・・・・・・・・・・・・・・・・消えたんだ・・・・・・・・・・・・
・・・・・私の目の前で・・・・・ 」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
鳥は、しばらく何も言わなかったが、私に背を向けると、静かにこう言った。
「・・・・・・じゃ、そろそろ行くわ・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・達者でな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二人がいなくなって、寂しいかい?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少し・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・泣くなよ。俺は来年もちゃんと来るから」
「・・・・・・・・・・・・・言われなくとも泣かんよ。・・・・・・・・・泣いたからって、どうにかなるようなことじゃあないしな・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうか・・・・・・・・・・・・・・・じゃあな」
そう言うと、鳥はもうすっかり日の落ちた暗やみの中に舞っていた・・・・・・・・・風を切って・・・・・・・・・・・・・。
私はずっとここに立っている
私はずっと見ている
・・・・・・・・・・・・そして・・・・・・・・・・・・
私は待ち続ける・・・・・・・・・・・・
二人の少年少女が、また来ることを・・・・・・・・・
今までの
コメント:
- この鳥は、ぢつは「ピー子」かも。という噂。俺にも分からん。
この頃「人にあらざるもの」の会話に凝っている。なんか楽しいじゃん。こういう仕掛け。あんま面白くないけど。 (来栖川のえる)
- ・・・・・・・・・たわーさんっ!ちくしょおおおお!!つぼだよおおお!(悔しいんかい) (hazuki)
- なるほど。
こういう視点でのお話もありですね。
なんか、しみじみって気持ちになりました。
でも、良くこれだけいろいろお話思いつきますね。
ホンと感心しちゃいます。 (かいぜる)
- またいいですねー。
そうだよな、20年後くらいにはまた…。
なんだか『美神』を読んで以来、東京タワーを見るとあの二人を連想してしまいます。 (香里)
- 僕は夕焼け見ると思い出しますなあ。(もしかして基本?) (来栖川のえる)
- もう一寸永く、語りを聴いていたかったですね。例えば、「時には云々」の処をもう少し具体的に、ね。
>私はそう言ってガッツポーズをとる。
これはきっと、『霊列車で行こう!!』での「新幹線の心」みたいに、外見をも人格化した「タワーの心」がポウズを極めているに違いない(妄想)。 (Iholi)
- ↑実は書いててそれ思った。でも、なんて書こうとしてたか忘れちゃったので、こんなに短く・・・・・・・ああ。 (来栖川綾香ならず来栖川のえる)
- ぐあ・・・・・・・もう俺こんな出来の良すぎる話読んでると
自分が情けなくなってくる・・・・・・・(ヘボくて (トシ)
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