ザ・グレート・展開予測ショー

The Ballade of Tadao & Meiko (エピローグ1)


投稿者名:ギャグレキスト後藤
投稿日時:(01/ 4/17)

ちちちち・・・・・
小鳥のさえずりが聞こえる。
今度は、じじじじ・・・・と時計のベルがなる。

忠夫がベルを止めようとするが・・・・いち早く、冥子の方が先に、か細い手を時計に伸ばす。
受け止めて、カチッととめる冥子。
その隣には、盟菜(めいな) という2人の間に生まれた娘がいる。
旦那というのは、勿論、横島忠夫。
だが、それも横島が婿にきたため、六道忠夫と名乗ることになっている。
このストロベリーフィールズのあった場所。
ここには豪邸が建てられている。
そして、今3人の六道家族が住んでいるところだ。
窓を開ければ、ペニーレインの看板が見える。

盟菜は目を覚ます。
今はもう14歳。
あれから、3年が経っている。
盟菜はそれはもう優秀で、ロンドンの某中学部を卒業するところだ。

今日も幸せにブランチをとる。
盟菜の食べっぷりといったら、もう可愛いとしか言いようが無い。
盟菜がすくすく育って、それはもう幸せだった。
・・・・食べ終わると、メイドさんたちが食器を片してくれる。
そのメイドさんに断ると、近くの丘に3人で出かけた。

3人して丘のうえに座り、空を眺める。
きれいな空だ。
冥子は、知らずと寝てしまっている。
その姿は、まだ無邪気な部分が残っていた。
忠夫はその冥子の寝顔に見とれ、頬をスッとなでる。

そこへ、タイミングよく盟菜は質問してくる。
何せ3年前、いきなりこの地に移住することになっていたのだから。
その理由を、盟菜は寝そべりながら聞いていた・・・・!

           ☆               ☆               ☆

『・・・・・合格だ。』
ハウンドマスターなるものはこちらに向かってしゃべる。

「「合格?」」
冥子と忠夫は驚いた。

『我が名は、ヨハネ=キリスト。』

忠夫はやはりとばかり、にらんで聞く。
質問もせずに、とにかく話を聞くことにし、冥子の口を抑えておく。

『そなたたちなら・・・・・この地を任せても・・・・良い・・・・!
 この場所は・・・・神聖な場所なのだ・・・・・、ヨハネの魂を告ぐものなら・・・・唯一入ることを許していた・・・・。』

John・・・・スペリング上では、ヨハネと読めるものだ。
ヨハネ=キリストは、聖書と知られて有名だが・・・・神話ともつながりがあるお話である。
そして、John=Lennonは不良に近かったものの、同時に音楽の才能をもっていた。
それが故に、彼が、ダコタの前にあの男を呼び寄せ、体を借りて殺害・・・・そして魂ごとその音楽的能力を奪っていた
と、われわれ二人に話すのである。

『知っているはずだろう』と忠告を促すと、
フェンリルとオーディーンとの関係をもう一度話す。
フェンリルと犬神一族、そしてアルビナスとが接戦を交わしたことを忠夫から読み取っていた。
問題なのは、そのオーディーンなのである。
あの神話上では、一度、フェンリルに主人のオーディーンが喰わられるという残酷なものであったが、実は逆だった。
あの武器を利用して、霊気を吸い上げることで、フェンリルと化したのは何故だったか・・・・。
そのことに気づいて、忠夫はアッと驚く。

「・・・っじゃあ、あの時俺たちが戦ったのは、オーディーンの能力が中に入っていない前のフェンリルってことか。
 で、今さっきストロベリーフィールズを守っていたのは、その聖戦が終わった後に喰わられたフェンリルに過ぎない。
 あれだけの統括力のある敵だったしなぁ・・・・。」
『その通りだ。オーディーンの能力があったら、あの男は日をたたずしてとっくにフェンリルとなっていた。
 だが、言いたいのはそのことではない・・・・・!
 私の名は ヨハネ=キリスト、何十代とわたり、この地を守っている。
 そして、この地を我が物にせんと現れるその度に、そのものは排除したが・・・・お前たちなら、十分に任せられる。』

そういうと、ハウンドマスターは、魂と化す。
ハウンド・・・・すなはち、「卑劣漢」というものを操る能力・・・・文殊使いと式神使いが適しているだろう。
そう語るや、二人の影に収まって行く・・・・・。
そのとき、忠夫の心には、ヒアキントスの見ている風景が映し出される。

「忠夫くん〜?」

という、冥子の声が聞こえたときには、もう既に心象風景に入っており聞こえていなかった。

           ☆               ☆               ☆

「アポローーん!いっくよぉーーー!」
「オッケーー!」

びゅうう・・・と、僕(=ここでは、夢見状態の忠夫)はフラフープのような、鋼鉄製のものと思われるものを投げる。
きれいな線を描いてその物は回転しながら飛び続ける。
鮮やかに、鏡状にピカリと写るフラフープのようなものを受け止めるアポロン。
アポロンは、今度は僕に向かって、ビュンと腕を内側にひねって溜め込むと、腕を突き出すように投げる。
ヒラリと、軽く宙を舞う。
さっき僕が投げたときよりも、きれいな光を放っている。
それだけ回転力があったって証拠だ。

僕はそれをいとも簡単に手に受け止める。
今度は僕が投げようとしたが、今、いいことがひらめいた。
帰ったらこれを絵に描こうとしていた。
なにしろ、僕は芸術の美神・ムーサの一人のクレイオーの息子なんだ。
だから、僕には芸術の才能があり・・・・と考えながら投げやる。
尚もそのことを考えていたが・・・・・その余り、返事するのを忘れていた。

「じゃあ、いっくよぉーー!」
という言葉に我に返るどころか、すっかり僕は焼き付けることに夢中になっていた。
そればかりか、ヒュアキントスにふられたアドーニスがその瞬間西の風を起こした。
それに気づかず、僕はずっと考えていたが、アポロンの叫び声に我に返った。
だが、それはアポロンには見えなかった。
マーク・デヴィッド・チャップマン・・・・・!
アポロンの叫び声とマーク・デヴィッド・チャップマンの放った銃弾の音が重なり合う・・・・・・・!

           ☆               ☆               ☆

私・六道忠夫はヨハネの魂の記憶・・・そしてジョンの魂の記憶をも受け取る。
特に、ギリシア神話のヒアキントスの死に様と、ジョンレノンの死に様は似通っていた。
ここまで苦しいことは無かった。
そんな事を盟菜に話すと、娘はヒアキントスの苦しみはわかるような気がしていたって言う。

そして最後の、娘が言う台詞には、私は懐かしいような気がしていた。
「お父さんが、昔恋していたのは美神さんっていったんだよね。」
というのが、心をクロスさせていた。
丘からの帰り道には、「ジョンの魂」が聞こえていた。

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa