ザ・グレート・展開予測ショー

花屋浜松町の1日


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 4/17)

私の店は開店は10時です。さて、本日はどんな御客様がくるやら。
最初にいらした方はちょっと不気味でした。
何故って変な鉄のマスクをかけていたの。
よく見ると、海外帰りなのか、トランクを引いていたわね。
「あのー。すいません土産に花束を三つ、繕ってはもらいませんか?」
何でも妻と、娘と秘書にですって。御仕事は大学の教授だって言ってました。
そして、娘さんと折り合いが悪いとか。
うーん、娘さんにはこれね。ハシバミ、地味な花でも花言葉は『なかなおり』です。
それはぴったりだと、喜んで頂いたわ。
そう、奥さんと、秘書さんにはコレ。おみなえし、『美しく』って意味よ。
御昼前、次にいらしたのは最近良く来る元気な女の子。
「あの、お花がほちいのでちゅが、そんなに」
御小遣いが少ないからなのね。でもせっかくの御得意さんだから、奮発しちゃお。
じゃあね。これなんかどぉ?まつばぼたん、って言うの、『可愛い』って意味よ。
「でも、あたちはこんなに買える御金は」
可愛いわね。モジモジしちゃって。でもいいわ。今日は私からのプレゼントよ。
「ありがとうでちゅ!」
また来てちょうだいね。
それから、小柄な男の子が店の前をウロウロしてね。うふ。男の子一人だと入りづらいのかな?
でもね。決意を決めて入ってきたわ。
「・・花が欲しい」
どのような品ですか?
聞くと真赤になっちゃってね、私、ピーンと来たの。彼女にあげるんだなって。
季節の花よ。オレンジのハナビシソウ。
なかなか値の張る花束になるけど、満更でもなかったわね。
気になって男の子をそれとなく見てるとやっぱりね。背の大きな女の子が来たわ。
ま、なんかケンケン言い合ってるけど、花言葉を送るわ、『希望の持てる愛』。
2時を過ぎた頃かしら。背の高いOLさん風の女性、そういえば何処と無くあの女の子に似てるかな?
「献花を頂きたいのだが」
献花ねぇ、去年もそんな事言ってたかしら。えっと、確か黄色いのが御好みだったでしょうか。
「あぁ、よく覚えていてくれたな」
ふむ、そうなるとコレね。
「黄色のスミレか。清楚でいいな」
はい、御買い上げ有難う御座います。『つつましい幸せ』というのが花言葉。
しばらくしてから、今度はお嬢様みたいな娘を連れたカップルが来たわね。
「うわ〜〜、全部〜〜可愛い〜〜〜、あー、見てマー君」
「そうだねじゃあさ。どれか一つプレゼントをね」
「でも〜、お金ははぁ〜??」
「おいおい、これでも教師だよ、一つくらいなら」
それなら、この二人にピッタリなのは、時期はずれだけど、ユーチャリス。
「あの〜どんな〜花言葉なの〜?」
あら、御客様から。はい、これは『清らかな心』ですよ。
それから、ちょっとカッコ良い男の子と連れて神父さんが来たわね。
「薔薇を一本頂けますか?」
料金を払うのが神父さんだから、変にかんぐっちゃいたくなるけど、違うみたいね。
聞いた事はあるわ。花の精を糧に生きる存在って。
このちょっとかっこいい男の子もそうかもね。
「じゃあこのピンクのでいいかしら」
ピンクの薔薇は『美しい心』って花言葉よ。
継いできた女性はバイクでね。なにかの序でに私の店を発見したみたい。
「・・ふむ。花屋なワケね」
少し迷ったみたいだけど、中に入ってから、ひとつの花を選んだわ。
「コレ、欲しいワケ」
はい、この花、名前はクズですよ、でもピッタリね。花言葉は『芯の強さ』。
そして夕方。いつもの子が来たわ。
「すいませーん、あのー」
あの子はいったいどういった理由で花を買いに来るのかしら、今日は思い切って聞いてみようかな?
「・・墓参りに」
そう、そうだったの。惚れた奴に。
いいわ。有る分だけ頂戴、そしてこれが一番良いかもね。一番値の持つ花よ。
「綺麗っすね。真っ白で。なんて言う花っすか?」
月下美人、花言葉は『儚い美』どぉ?これは私からのプレゼントになるわね。
「すまねえっす。いっつも迷惑かけて」
ううん、坊やがしている花の買い方が一番素敵なのよ。
さて、
もう一人プレゼントしなくちゃいけない人がいるわね。ほらそこの影に隠れてるわ。
亜麻色の髪を持つお嬢さんにね。シャクタク。さぁ、この花言葉はなんでしょうか?
「何よ?」
『はじらい』

-FIN-

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