ザ・グレート・展開予測ショー

蛍の光


投稿者名:来栖川のえる
投稿日時:(01/ 4/15)

「ば・・・・・・・ばかな!」
俺は上着のポケットに手をつっこめながら真っ青になった。
「・・・・・・・・・・・・・・きゅ・・・・・・・・給料がない!?」
しまった!事務所のテーブルに置き忘れた記憶が!
今時計を見ると11時を回っていた。
だが!しかし!ここでいかねばいけない!それが俺の宿命だ!
「うおおおおおお!」
これが武者震いというやつか!?



・・・・・・・・と、いうわけで俺は今事務所の前にいるんだが・・・・・・・・・・
ここで美神さんを起こしでもしたら「うるさーい!!」とか言われてしばかれるにちがいない・・・・・・・・・。ここは一つ、俺の盗賊としての技能を・・・・・・・・・って
盗賊じゃないが。

こそこそこそこそ・・・・・・

おれは事務所内をしのび足で歩いてゆく。で、問題のテーブルについてみると・・・・
「ん?」
人影?いすに座っている人影が見える。
「まさか・・・・・・・・・・」
俺は勇気をふりしぼってその人影を確認しに行く。
「・・・・・・・・・・ルシオラ?」
その人影は・・・・・・・・・まぎれもなくルシオラだった。
「・・・・・・・・・・?ヨコシマ?どうしてここに?」
「ん?ちょっと忘れ物を・・・・・・・。ってそれよりルシオラこそこんなとこでなにしてんだ?」
「・・・・・・・・・ん、ちょっとね・・・・・・・・・・・・」
そう言ってルシオラは窓の外を見る。

ヒュウウウウ

窓から、秋の涼しい風が吹き込んでくる。
「ほら、ちょっと耳をすませて」
「耳?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・リーン、リーン

・・・・・・・・・・・・虫の音?
「とっても綺麗でしょ・・・・・・・・・」
俺としてはそう言ってるルシオラの方が綺麗だと思うが、ここはこのマンガの主人公として、そんなキザなことは控える。
「私ね・・・・・・・・・・信じられないの」
「ん?」
そう言ってルシオラは一呼吸する。
「・・・・・・・・だってさ・・・・・・・・ヨコシマと出会って、アシュ様倒して、こうして人として暮らすことができるようになって・・・・・・・・・・ついこの間まで敵同士だったのに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」

       ・・・・・・・・・・彼女は、彼女なりに、俺以上に悩んでいる・・・・・・・・・・

               この現状に

俺も信じられない
彼女とであって、こんなに幸せな日々を送っていることを
「・・・・・・・・・ちょっと、ついてきてくれるか?」
「え?」
そう言って、俺はルシオラの返事を聞かずに腕をひっぱって外に出た。
・・・・・・・・・・・・・・秋風が、肌に冷たい。今日は満月。俺たちは月の光をたよりに進んでいった。

リーン・・・・・リーン・・・・・・

また、虫たちが鳴いた・・・。今度は、俺たち二人を祝福してくれているように・・・・・・
「ねえ、ちょっと・・・・・・・どこ行くの?」
「まあ、ついてきなって・・・・」
俺はとっておきの場所を彼女に見せてあげたい。彼女と共有したい。・・・・・そう思っていた。

「よっしゃ、ついたで」
十分ほど歩いてついたのは、小さな小川・・・・・・・・・・
「え?ここで何を・・・・・・・・・・・」
そう言ってルシオラは息を飲んだ。・・・・・・・・だって、俺たちの周りには、たくさんの淡い光が・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・蛍・・・・・・・・・・・・・・・・」
ルシオラはそう言ってしゃがむ。
「・・・・・・・・・・・・・・・綺麗・・・・・・・・・・・・・・・・・」
蛍たちは、俺たちの周りで、その光をともしてくれている。天に輝く星々よりも、暖かく包み込んでくれる・・・・・・・・・・・・。秋風で冷えた俺たちの体を・・・・・・・
不安で凍てついた彼女の心を・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・どや?元気でたか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ありがと・・・・・・・・・・・・・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・一年・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それが彼女の命。だが、必ずなんとかできるだろう。そんな短い命では決して終わらせない。だって彼女は・・・・・・・・・・・


                   やっと幸せをつかんだから


「道具」としての生をうけたけど・・・・・・・


                   もう幸せをつかんでるから


見ろよ。
この風景の、どこに不安がある?どこに悩みがある?淡い蛍の光に祝福される一人の「女性」。どこに、信じられないとこがある?

・・・・・・・・・・・・思えがば、俺と彼女がであったのはいつだったか・・・・・・・・・・・

                俺が魔族にとらわれた時?

               ルシオラたち三人が生まれた時?

                  俺が生まれた時?




・・・・・・・・・・・・・・・・思えば、それは遠い昔、一人の男が一人の魔族を愛した時から・・・・・・・・・・・・・・・・・・


俺は、この幸せがいつまでも続くと思っていた・・・・・・・・・・


そう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いつまでも・・・・・・・・・・・・・・
















                        

































                              死ガ二人ヲワカツマデ
























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