喜「怒」「哀」楽
投稿者名:TAK・A
投稿日時:(01/ 4/13)
「怒」の一
「ここが厄珍堂か」
看板を見上げる雪之丞。
「しかし、おまえがここで買いたいものって何だ?大して装備いらんだろ、おまえ」
案内してきた横島が尋ねる。
「さあ、ここにあるかどうか」
「?」
「はいるぞ」
「いらっしゃい、何だ令子ちゃんとこの小僧あるか」
「なんだはねーだろ、客つれてきたってのに」
「客?」
しかし雪之丞、厄珍をうえからしたまで観察した後、
「邪魔したな」
「なにあるか、ひやかしあるか」
二人を見比べた横島、ぽんと手を打ち、雪之丞の肩をたたく。
「弓さん、背ぇ高いモンな」
「うるせえ!」
「よけいなお世話ある」
「哀」の一
またきちまったよ。おまえはもうここにはいないって知ってるのによ。
今日さ、花屋に嫌みいわれちまったよ。いつもいつも一輪だけですねって。しょうがねえだろ、金ねえんだから。こんなこともいってた。いつも花が違いますねって。いつも一番綺麗なのを選んでるのにな。
だけどそういわれるまで気付かなかったよ。おれはおまえの好きな花もしらねえんだってな
赤から青へ移り変わる風景に、己に対する嘲笑とも、嗚咽ともつかない声が溶けていく。
思いついたので短編を書いてみました。
今までの
コメント:
- なんかもうため息しかでない。
巧いです。
雪之丞のとこでは笑っちゃったし「哀」ではじーんってきたし。
このシリーズ続きますよね?
(いや続きよみたいから) (hazuki)
- 定着したかな?墓参りシリーズ。
シリーズで最も短い作品とは言え、無駄の無い素晴らしい世界です。
その、赤から青っていう表現が素晴らしいの一言ですね。
恐らくはバス停浜松町のすぐ其処に有る花屋(笑)、
御客様はだいじなんだぞ!! (トンプソン)
- hazukiさんへ、コメントありがとうございます。済みません、続編は全然考えていません。もともと日常の一こまといったコンセプトで書いてみたものなので。
トンプソンさんもありがとうございます。おっしゃるとうり、こんな口の効き方では客商売は勤まりません。実は横島の買い物のし方がそれだけひどいものだと言うわけです。 (TAK・A)
- 「怒」……小噺みたい、ってそのものか。
雪之丞の気持ち、解らんでもない(苦笑)。
「哀」こちらはモノロウグのみ。
それでありながら情景が浮かぶようですね。いいです。 (Iholi)
- 怒>
さすがにかなり気にしてるんですね(^^;)
哀>
それでも毎回花を買っていくところなんかはけなげで良いですね。 (かいぜる)
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