ザ・グレート・展開予測ショー

極楽大作戦 de 時代劇 第弐幕  巻之四


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 4/11)

時間的に、一番最初に行動できたのは武等都比延蕩(ピート)蛮平信(ヘルシング)の二人である。
「平信様。いらっさいますでしょうや?」
「おーや、ぼうずではないか、どうしたのじゃ?」
老境にたっしかかるこの男の目には比延蕩も子供扱いである。
「御言葉ですが、平信様がお子のおあん(アン・ヘルシング)様より年上ですが」
「あんにゃのは、がきじゃよ。ほれ、いつぞやにお主に求婚したそうではないか」
「何故その事を!・・そんな事よりも平信様御奉行様からですが」
事件の事を話すと、
「すわ一大事。わかった一緒に向かおう」
のんびりとした立ち振る舞いの蛮平信だが、いざ仕事となると腰がしゃんとたって若者にも勝るとも劣らない力を見せる。
「武等都殿、では関所の方へ」
「はい」
ふたり連れだって行くも、現場の状況が解らないので無駄話に移行してしまう。
「先の話じゃが、武等都殿、ワシの一人娘のあんがお主に惚れとるのは事実じゃよ」
「まぁ、けなげにも拙者にまで弁当を賜っておりますので」
「あの子もあと二年もすれば嫁げるからだになろう」
「そうですね。でも2年は少々早いかと」
「ふむ、そうじゃな。嫌歳をとると気が急いていかん。いかん」
平信、クシュとくしゃみをしてから、
「武等都殿、貰っては・・」
「そ、その話はまた今度にお願いします」
照れに照れる武等都だが、こればっかりは致し方なかろう。
さて、関所に付くと、関所の武官が出て来る。
「同心様、丁度よい所に」
「どうしたのじゃ?」
「はい、今日定刻になり門をあけようとしました所、百聞はなんとやら此方へ」
関所の武官に案内されて門外を見ると、
「これは!子供ばかりではないか!」
何十人もの子供、旅の事男の子が多いのだかそこかしこにいるのだ。
「ふ〜む。これは大変な事じゃな」
と平信が感想を述べてから、
「先ずはこの子等を確保せねばな」
「しかし、平信様まんいちこの子供の中に悪鬼の類がいれば」
「その時はその時。今は子供たちを助けるのが先決じゃ、それにな」
比延蕩、それになんでしょうか?と聞こうとしたが平信は子供救出の作業にとりかかった。
「関所武官殿、たしか近くに仮宿が御座いましたな。其処に保護いたしましょう」
その保護をする子供達の人別する時点で鉄砲やら密書やらも少なからず出てきたのだが、
「子供の内は手だし無用。ただしきっちりと預かっておきなされ」
平信もなかなかにタヌキである。
武等都比延蕩もようやく作業になれてきた時分に唐巣寺からの一団がやってくる。
「精が出ますね。武等都様」
「和尚、それに皆様もこれはどういった御用で?」
敵を確認しに行く仕事だと言うと、
「拙者も是非連れてってください!」
武等都懇願するも、唐巣の返事ににべはない。
「これ、今お主が必要とするは子守りじゃ間違えるでない」
平信の言を理屈では解っていようが、若い武等都には子供扱いされていると少々機嫌が悪いのだ。
この後、一刻(ニ時間)は関所周辺に動きが無かった。
おめい(冥子)はきちんと小竜道場と、寅吉夫妻に新たな敵をきちんと伝えた後に、
「ま〜くんどっか行きたいところな〜い」
「う〜ん、飴がたべた〜い」
「いいわ〜」
完全に母親になりきっている。
この子を守るのは私だ、その思いは時間が経つに連れて強くなっていくようだ。
城代では、京の蝋燭問屋、茂留田と女だてらに鑑定人を名乗った須狩を相手する家老毒田薫栖である。
「では、主等は借金の返済に自席家老が努留の物品を頂戴しに来たというのじゃな」
「はい、そうで御座います。変な話ですが、実際にそういう取り決めでやしたので」
証文もちゃんと揃ってるので文句は言えない。
(むぅ、努留の物品はワシがちょろまかしたからのぉー、しかも良品ばかりじゃ)
元、魔族の物ではあるが、手放すのが勿体無い物ばかりではあるのだ。
「それではこの城代にある努留様の御部屋を御案内していただきたく存じます」
これはしたり、と薫栖。めぼしい物は城代には無かったのである。
「それではだれぞに案内させよう」
ぽんぽん、と手を叩くと腰元が二人やってくる。
「おや?おしろにおたま。おぬし等は今氷室屋様にくっついとるのでは?」
なんでここにいるのかと、尋ねると、
「夫婦水入らずが御所望で御座った故」
「まー、夫婦だしね、誰に気がね無く散歩でもして、って奴ね」
いやはや、お暑い事だと、家老は毒田薫栖も赤面した。
「まぁ、よい、この者達に努留の居室を案内いたせ」
「了解で御座るささ。此方へ」
「ありがとうさん、お嬢様方、あと出来れば男の手も借りれればと」
嫌に遠慮を知らぬ奴と思うが、
「その辺で暇をしておる若いのはいるか?」
尋ねると、
「小姓の真友則康殿が殿が御就寝あそばれた由、現在暇をもてあましてるとか」
と、言う答えと、
「武芸方にして関取の恐山殿も御暇とか」
この二名、猿犬とまでは行かないが、仲が悪いのは薫栖存じてはいなかった。

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