ザ・グレート・展開予測ショー

極楽大作戦 de 時代劇 第弐幕場  巻之参


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 4/ 6)

刻限を少し伸ばしたが幾人かの者はこれなかった。奉行西条の言令は霊能者は必ず寺院に来るように言ったのではないのだ。
「さて、このまま待っても致し方有るまい。先ずは江戸の十手持ち殿の話しを聞こうではないか」
どうしても年上の家老毒田薫栖(カオス)が仕切り役に付くのはいたしかた有るまい。
「さぁ、ま〜くん。どうしてちっちゃくなたのか、お話して〜」
「はーい、おねえちゃん」
元気よく言えましたと褒めるべきであろうか。
「あのねー、僕が江戸のおうちへ戻ろうとした時にー、小さい男の子がいたのー」
皆子供のたどたどしい説明を聞いている。
「ふん、それでその子供がおかしいなってなんで思ったの?」
「だってさー、あの刻限(時間)に子供一人なんておかしいと思ったんだ」
だが、その男の子はびーびーと泣いてばかりで答えられない。
「参ったな。ほっとく訳にもいくまいし」
勝手ながらと、懐から通行手形(パスポート)をごめんねと断ってから取り出すと、
「なんだって?歳は32!!」
名前も見たはずだが、忘れてしまったと言う。
「こ、これは一体?」
秋の日が落ちる頃を逢魔ヶ時(おうまがとき)と言う。悪鬼の出易い刻限が近づいてくる。風と共に人工的な音が耳に入る。
「風に混じって何かが聞こえるな」
霊能を持つとは言え恐ろしくなったので、先ずはこの子を引き連れて戻ろうとした正に祖の時だった。目の前に影が落ちた。
『おやおや、あきちを追ってる十手持ちじゃあなか』
「貴様は!!御、御用だ、芽道邪!!」
『おい、ハゲ坊主こいつも子供にして』
風と共に聞こえてきた音が音楽になるにつれ、自分の身が小さくなっていくのを自覚したそうだ。
『大人の腐肉より子供の方が美味いからね』
芽道邪、唾を口の中で鳴らして、背中から武器を出し始めた。
「でね、僕は怖くなってー、逃げてきたのー」
余程恐ろしい体験だったのであろう。体を完全におめい(六道冥子)に委ねている。
「よしよし〜、よく言えました〜〜」
話が終わると、いきり立ったのが同心の武等都比延蕩(ピート)である。
「芽道邪!東にいたか、御奉行様、わたしは、見回りに!!」
奉行西条が、
「馬鹿者!慌てるでない」
「は、申し訳なく」
ひれ伏す武等都比延蕩に軽く小言を述べる。
「全く、鉄砲弾だな」
「そうは言ってもああいうのが同心にいないとです。御奉行様」
同心筆頭の関また耳元で囁こうと体を動かしそうになったので、
「それ以上近付いたらお夏どのに言うぞ」
そのやり取りが場の緊張を少し解いたようだ。
「わらわは鳥山石燕の百鬼図をそらで覚えているけど、そんな奴はいなかったわ」
令子姫の言に祈祷師エミも賛同する。
「そうなワケ。呪術九十九系にもそんなのは無いワケ」
序でに昨日奉行西条が厄珍堂に聞きに行ったが、
「そんな奴は初耳あるねー、うーん、只和蘭渡の書物にならなんかあるかも有るね」
「でわ、私が語ってもよろしいでしょうか?」
おずおずと、言い出したのは旅篭魔鈴の亭主、めぐみである。
「何か解るのか?」
「はい、結果から申し上げます。そ奴はバイパーと申します」
「・・バイバイ、どすえ??」
「いいえ、オキヌ様バイパー、そうですね、日本の字に当てはめれば馬醫羽と、仮にこうしましょう」
そして横文字の書物を開くと、馬醫羽の項目を皆に見せる。
「はへぇ、欧州は御伽草紙の悪鬼さんやのかぁ!」
諸国漫遊を楽しむ氷室屋夫妻でも驚きは隠せないらしい。
「して、対応方法で解っている範囲を」
「この馬醫羽から抽出した「金の針」で子供化した者を助けられると記入されてます」
しかし、そんな物が日ノ本にあろうか、ましてや美神藩は石高上は小さな藩である。
「それにしても、鬼道屋の証言からおそらくは子供化した者が我が藩の近くに」
奉行西条の一言は皆が感じていたことではあろう。
「先ずは悪鬼退治より負傷者確保と救助が目的。武等都、御主ともう一人でやれ」
「ほ、本当で御座いますか!」
「うむ、同心を一人つけようて関所に向かえ。して誰を付けようかな?」
迷う新米武等都比延蕩に対して、おそれながらと関が口を開く。
「おそれながら御奉行様。もう大分御歳を召されましたが、蛮平信(ばんへいしん=ヘルシング教授)様がうってつけかと」
「おぉ、蛮殿なら理知も働こう。即刻向かうがよい。武等都比延蕩」
先のへの名誉挽回とはりきって寺を降りる同心である。
「ウチラはどないしまひょか〜?」
そうですなと、西条も毒田薫栖も頭を使うが、
「今は待機をお願いしたく存じます。忠夫様 キヌ様」
「了解どすぇ」
又馬醫羽の話が始まるが、
「すいませんが、私はこれで、そろそろ奉行所に戻らないと」
何と行っても奉行ゆえの雑事があるのだ。これ以上は仕事を放る訳にも行かない。
「それはワシも同じ事じゃそろそろ、御城代に戻らねばな」
主格、二人は唐巣寺を後にした。
「和尚殿、すまぬが今後の事を考えていただきたい。お任せする」
奉行として、最後まで付き合いたいが、そうも行かない事はよくわかっている。
「解りました。お任せください。南無」
二人を見送ってから、
「こうしても仕方がありませぬ、半分は藩に残り、半分は関所に向かいましょう」
そして唐巣和尚、同心関、祈祷師エミ、そして令子姫におしろ(シロ)が選抜され、
「我々は敵陣の偵察及び、攻撃が目的になります。気を張って」
残る氷室夫妻は寺院に残り、中継地点の役割を担う。
六道屋おめいは、
「わたしは〜まーくんを〜守るの〜」
と言う役と、今回来れなかった霊能者、特に妙神一門、及び寅吉夫妻への連絡係りをすることになる。
城代に入る手前に桜並木が有る。もう秋にも関わらず、たった一本の樹なのだが、
「・・桜が咲いとるな、嫌な事じゃ地脈がまだ揺れてる証拠じゃ」
春の華が秋に咲くのは得も言われない不気味さを感じるのである。
「御待ち・しておりました・家老・薫栖」
城内に入り、門番が挨拶すると、空から毬亜(マリア)が飛んでくる。
「他国からの・御客人が・いる・とかです」
それは上方から来た美神御用達の蝋燭問屋の使者であると名乗っていた。
「うむ?そちらは新顔のようだが?」
「何時も顔を出すのは体を壊してしめぇやして、あっしは茂留田と申しやすこれは物品鑑定士の為狩さんといいやす」
この蝋燭問屋、悪い品は出さないがたしか、
(そうじゃった自席家老の風炉努留(ヌル)抜擢の問屋じゃったな)
こやつの目的は新たな後ろ盾か、もしやもしたら、城内の混乱か。
「して、何をしに来たのじゃ?」
寸時の油断も許されない話し合いが始まるのである。
「実は自席家老様の借金が御座いまして」
風炉努留のこのままでは終わらないと言う捨台詞が耳に思い出すのは当然である。

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