ザ・グレート・展開予測ショー

ミットナイト・ダンディ(その四)


投稿者名:ツナさん
投稿日時:(01/ 4/ 5)

 山に訪れる夕闇は夜の近さを限りなく感じさせる。
 山並に隠れた日差しがぼんやりとあたりを照らす午後4時過ぎ。
 唐巣たち一行は、水野明日美があの日、キャンプを張ったと言うキャンプ場らしきところを一路目指していた。
 夕方の雑木林はざわめきも多く、薄暗く、気味が悪い。夏ともなればやぶ蚊の大群が全身を襲うところだが今はまだ春、やぶ蚊の洗礼は受けなくて済む。その代わり街よりより寒く、結構歩いて体が温まったはずでも、結構鳥肌が立った。
 特にピートは地中海生まれらしく比較的寒がりなので、しっかりと黒のロングコートを身にまとっている。
 唐巣はというと自分の用意していた厚手のジャンバーを水野に着せると、春服のままで黙々と歩いていた。
「唐巣神父、寒くないんですか?」
水野がジャンバーを半分脱ぎながら心配そうに尋ねる。唐巣はにこりと笑って、大丈夫ですよ、寒いのには実になれていますから、と自分はまったく大丈夫であることを告げた。
 
 そしてキャンプ場のほうへついた頃にはすでに日は完全に落ちていた。しかしそこには暗闇はなかった。キャンプ場と思しきところの中心にはテントが張られ、何者か二人組みがが黙々と火をたいている。
「やぁ、待たせてしまったようだね」
唐巣はその二人組みに気軽に声をかけた。
「どなたです?」
ピートが後ろから声をかける。唐巣は、
「気味のよく知る二人だよ」
と答えた。
「ああ、そうみたいですね」
暗がりから見える人影で、ピートも二人組みが誰なのか理解したようだった。
「まぁっったく、いつまで待たせるんすか。唐巣神父」
「ご苦労様です」
「いやあ、悪かったね、横島君、おキヌ君。こんなところまでわざわざ」
唐巣は火にあたりながら礼を言う。横島はぶーたれているものの、目は何気に「来るのがはやい」と訴えていた。それはそうだろう、うら若き乙女とテントの中で二人きり、こんなおいししシュチエーションは滅多にない。
「いやぁ悪い悪い、邪魔だったかな?」
と唐巣もアイコンタクトで答えた。
「何で横島さんたちがここに?」
ピートが尋ねる。
「私が読んだんだ。彼らの力がどしても必要なんでね」
「はぁ」
「神父の頼みだって言うから、美神さんに言われてきたのはいいっすけど・・・」
太目の枝で焚き火の中からアルミホイルの包みを取り出しながら、横島。
「こんなところで何があるって言うんですか?あ、いい具合に焼けてる」
「バター出しますね」
おキヌちゃんがバックをごそごそしている。アルミホイルの中身はジャガイモだ。丁度五つある。。床島は手早くひとつずつに包み分けると、熱いすよ、と唐巣たちに渡す。
「悪いね、丁度おなかが減ってきたところだったんだ。あ、紹介しよう、彼女が水野明日美君だ。で、彼が横島君、彼女が氷室キヌ君だ。二人とも君の助けになってくれる」
「あ、どうも、水野です、どうも」
グラサンをかけているので腫瘍は目立たない。それでもやはり気になるのか、目立たないように前髪を下ろしてある。
 やや不安げな表情でペコリと頭えを下げると、唐巣に促されて焚き火にあたる。
「・・・おっさん、いつの間にこんなきれいなねーちゃんをたらしこんだんだ?」
横島はすすすっと唐巣の隣によりと、小声で話し掛ける。
「人聞きの悪いことを言わないでくれたまえ。彼女は今回の依頼人だよ」
「とかなんとか言って、実はタイプだったりするでしょ?」
「・・・そんなことない」
少し考えた後、水野の顔をチラッと見てから、くぐもった声で答える。
「その一拍の間がすべてを物語ってますよ、唐巣神父」
横島はにやりと笑うとまた元の場所に戻った。
「ささ、ジャガイモおいしいっすよ、たべで見てくださいよ」
チューブ入りのバターを水野に渡す。
「あ、すいません」
水野はバターをつけると、ジャガイモを口いっぱいにほおばる。
「おいひいいですね」
「意外に豪快に食べるんだね、水野君」
唐巣もジャガイモをかじりながら言う。
「好物なんれす」
水野はにっこり笑って答えた。心なしか、目の腫瘍が初めて会ったときより小さくなっているように感じる。そう、彼女が笑みを浮かべるたびに。
『やはりな・・・』
唐巣は内心、予想通りだと、確信を得ていた。

 ジャガイモを食べ終わり、おキヌちゃんが入れてくれた紅茶を飲んで一息ついた頃。
「これからどうするんですか?唐巣神父?」
まず口を開いたのはおキヌちゃんだった。これだけの面子が揃っているのである、やることと言えばひとつしかない。
「そうっすね。俺たちは何をすればいいんですか?」
「うん、そろそろ頃合か」
唐巣はざっと立ち上がると、クロスと聖書を手にする。
「これから、この先にある地蔵尊に行こうと思うんだ。その時君たちの力を借りることになる」
唐巣の言葉に誘われるように、冷たい風があたりを包んだ。

続く 

 

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