ザ・グレート・展開予測ショー

黒い呪いと天使の笛の音(8)


投稿者名:AS
投稿日時:(01/ 4/ 1)




黒い呪いと天使の笛の音(8)



「ちきしょーーー!」
「そう荒れるなよ・・・来年があるさ・・・」
怒りと悔しさに顔を歪ませ、荒れた様子の男と、その男を気遣いなだめる男・・・
「く、悔しい・・・!」
「今日勝てば・・・資格が・・・」

会場に背を向け、帰路につくほとんどの者が、差はあれど悔しさに顔を歪ませている。

その中で・・・

『今の所は予定通り・・・後はあの少年が上手くやるのを・・・クク・・・神に祈りましょう・・・』

『ただ一人』、会場から遠ざかる他の者とは、余りにも・・・あらゆる意味で、余りにもかけ離れた男が何やらつぶやいている。

もっとも・・・肝心の顔は仮面に覆い隠されている為に、男かどうかは声でしか判断出来ない・・・『人』であるのかすら・・・

『では・・・ここらであちらに戻るとしますか・・・』

カッ!

『男』が仮面を外した瞬間、強烈な光が『男』の全身から放たれた。

「ウ、ウワッ!?」
「な、何!? これ!?」

突然の光に、悔しさを忘れ、驚き戸惑う者、眼を閉じ、警戒して構える者。
それぞれがそれぞれの応対を取り、しばらくして・・・

「お、おい! あの怪しい奴いねーぞ!?」

その声と共に、『男』がいたはずの場所に視線が集まる。
しかしその視線を集めるのは『男』では無く、残された『仮面』のみ・・・

『な、何なんだよ・・・一体・・・』

『それ』を見た全員の疑問・・・もちろん答える『モノ』はいない。

キ・・・キキ・・・
仮面が風に揺らされ、笑い声を上げたかの様に、音を立て・・・
消滅した。




「さて・・・まずはあたしの試合からか!」
「一文字さん・・・」
ふっきれた表情で、軽く柔軟を始める一文字。
「・・・・・・」
そばに居るおキヌは逆に、不安を隠せない表情で一文字を見つめている。
ギュウーー!
「ーーー!?」 
突然一文字が おキヌの頬を両方とも引っ張り始めた。
「ふぃ、ふぃふぃふぉんふぃふぁん!」 
頬を引っ張られ、まともな発音が出来ないおキヌ。
「ふぁ、ふぁへへふははい!」
それでも必死に喋ろうとするおキヌ。
「プ・・・アハハハハ!」
その姿が余りにも可笑しくて、たまらず手を放し・・・腹を抱えて大笑いをする一文字。
「・・・・・・」
そんな一文字を・・・今度は肩を震わせ、眼をつり上げて見つめるおキヌ。
もっとも・・・元々の雰囲気や顔立ちのせいで、どうしても迫力に欠けるのだが。
「! ハ・・・ハハ・・・」
おキヌが肩を震わせ、こちらをにらんでるのに気づいた一文字の笑い声が、だんだん小さくなっていく。
「え、えーと・・・もしかしなくても怒ってる?」
ブンブンブンッ!
上手く言葉が出せないおキヌは、返事の代わりに大きく首をたてに振る。
「ごめんごめん! いやあんまりおキヌちゃんが可笑しく・・・可愛かったから!」
いよいよ、迫力の出るくらいに眼をつり上げたおキヌに、慌てて
言い直す一文字。
「・・・・・・」
おキヌはいまだ・・・半眼のままだが、幾分表情を柔らかくした。
「ふぅ・・・おキヌちゃん、あたし負けるつもりは無いよ。」
「え・・・?」
突然の一文字の言葉、その言葉の内容に驚いたおキヌから、完全に『険』が消える。
空気が変わり、話やすくなったのか、一文字は更に言葉を続ける。
「イメージじゃあ・・・結局連敗だったけど、あたしは本番に強いからさ。」
そう言ってブンと腕を振り、おキヌに向かって微笑む。
(それに・・・切り札もあるし・・・ね・・・)
「え・・・?」
「! あ、そろそろ時間か・・・」
一文字は慌てた様子で、視線を時計の方に向け、試合がそろそろ始まる事を知り・・・自然に表情が引き締まる。
「じゃあ・・・そろそろ呼ばれるだろーから・・・」
またおキヌが不安気にならない様・・・足早に結界の方に進む一文字。

「一文字さん!!」

その背中に大きな声が飛ぶ。

「・・・え・・・?」

一文字が後ろを向いた時、それを待っていたかの様に、更に大きな声が・・・

『がんばってくださいっっ!!!』

一文字は目前の少女が発したとは思えぬ大声に、しばらく目を瞬かせ・・・そして一転表情を輝かせた。

そして、一言。

『おうっ! 任せときな!』



「・・・・・・」
「・・・・・・」

その頃・・・その対戦者は・・・

(い、一体俺が何をした・・・?)

胸中で独りごちる、が、目の前の二人からは、答えは無論・・・プレッシャーも変わらない。

「・・・・・・」
「・・・・・・」

(もういい加減勘弁・・・)

<伊達雪之丞選手、結界の方へ・・・繰り返します・・・>

(おおっ! て、天の助け・・・!)

「・・・・・・」
「・・・・・・」

「おい! 俺はもう行くぜ! ・・・文句ねぇな!?」

ここぞとばかりに強気に出る雪之丞。

「・・・・・・ふぅ・・・」

二人の内、一人がため息をつき、口を開く。

「い・い・こ・と!!? 軽ーくあしらうのよ!? 無様な姿も駄目! 一文字さんの顔を傷つけるのはもっと駄目!!!」
声の主は息を切らしながら・・・慌てて付け加える。
「あ、あんな野蛮な方でも! 一応女性ですから! それだけよ!!!」
「そんな真似したら・・・ワシと闘う時は生きるか死ぬか・・・覚悟決めとくけんのー・・・」

『二人』の実に有り難過ぎる激励の言葉に・・・

「ちくしょー!!」

背中を押され・・・もとい、刺されて、雪之丞は駆け出した。






AS「今回も、良い所や悪い所を教えて貰えたら助かります・・・そして、読んでもらえて、面白かったら嬉しいです。」



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