子キツネ こんこん
投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 3/30)
冬と春の境目の時期である。
「季節の移り変わりだからね。タマモが風邪を引いてもおかしくはないわ」
一昨日から咳の止まらないタマモであったが、峠を越えたらしい。
「あと、二三日もすれば、完治するわよ、御医者様に見せては無いけど」
医者に見せる、そっちの方が怖いわと獣娘達は一致している。
「拙者もタマモも、治癒能力は優れているでござるよ。心配せずに御仕事へ」
「コンコン。そうよ、あたし一人でもいいからさ」
「強がるなよ。シロも序でだから休んでな」
と言う訳で、獣娘二人は御留守番になったのであった。
「風邪うつると悪いから、下いってろよ」
「まぁまぁ、強がるで無いで御座るよ。何か食すでござるか?」
「ううん、言いや。少し眠るよ」
それじゃあ拙者は掃除でもするで御座るよと、下に向かうが、どん、がんと音がする。
「馬鹿犬・・」
といいつつも、何処か優しい笑顔のタマモである。
しばらくはうつつの世界に身を委ねていたが、事務所のインターホンの音で意識を戻す。
「どちら様でござるか?」
「あのー。僕真友って言います。タマモちゃんが風邪ひいたって言うから」
何処で買ったのか、小さいながら花束持参とは歳の割にはませている。と言うべきか。
「御見舞いに。花でもと思って」
「はー、そうで御座るか、ちょっと待つで御座るよ。タマモに聞いてくるで御座る」
とんとんと、急ぎ足で屋根裏に戻り、起きてるか確認する。
「タマモー起きてるで御座るか?」
ベットを見ると、毛布に包まっているように見えたが、
「ん?起きてるよ」
「あり?小さくなったような、あぁ変身で御座るか」
「ま、まぁね。シロ、今だけ御姉ちゃんって呼ばせて、いいわね!」
ぷっと、噴出してから、
「解ったで御座るよ。タマモちゃん」
子供扱いするシロに普通なら怒るだろうが、
「その調子よ、お姉ちゃン」
御茶目というか。いやはや。玄関に戻り、丁度起きた所だから、ちょっとだけならと、
真友に言うと、
「本当ですか!じゃあ御邪魔します、あのー、タマモちゃんのお姉さんですか?」
「そうでござ・・そうよ。犬塚シロって言うの、宜しくね・・でござ・・」
御座る言葉を使わないようにしているようだ。
「タマモちゃん。大丈夫?これ御見舞いに」
「うわー、ありがとー。真友君。まぁ座ってよって、椅子が無いか。御姉ちゃん」
「わかったわよ。下から持ってくるね。遠慮しなくていいよ・・でござる」
すいませんと、取りあえず窓辺に腰をかける真友君である。
「どう?新しい生活は?」
「うん、慣れると結構楽しいよ。ちょっと寂しいけどね」
「そうなんだ。そういえばお家は何処になるの?」
「ここから凄い近くだよ」
「え!ホント」
会話の弾む中、部屋に入るのが躊躇われるシロだが、椅子と、
「冷蔵庫の中に、二つ、プリンがあったでござるよ、どうぞ」
邪魔しちゃ悪いからと掃除の続きをすると、シロは出ていった。意味深な笑みを残して。
甘い雰囲気を保ちつつ他愛ない会話の続く中、下での大音が聞こえなくなった。
「あれ?おねえさんどうしたんだろうね」
「さぁ?こけたのかな?」
単純なことではなかった。それは二人連れの泥棒であった。
ノッポとデブの二人組はオカルト者中心に狙うエキスパートであった。
「あにきー、犬ッコロの封印は出来ましたぜ」
「これで上にいるキツネッ子だけだな」
シロとて弱くは無いが、対応策を用意し、不意を付けば、問題は無い。
「もしかして・・泥棒?」
下の異変に漸く気付いたのは、人工幽霊1号の報告からであった。
《お、御楽しみ中、も、申し訳御座いません・・泥棒が・・私を・・封印して・・》
「御楽しみ中ってなんなのよ」
「なになに?」
いきなりの声に驚く真友だが、泥棒がいるとあっては、そっちのほうが重大だ。
「ど、どうしよう。タマモちゃん」
タマモとしても考え所だ。己が化け物である事を証明するか、
「そ、そうだ、警察に電話しないと」
「電話は下にしかないわ。携帯なんか無いし」
男の足音が屋根裏に響いてきた。人間の子供に手を出させるわけにはいかない。
タマモの決断である。
「真友君は、影に隠れて」
恐らくは火炎攻撃の対処はしてあるだろう。
「私のデータをどこまでとったのだろうかな?」
ピンとキツネの耳が出て、ベットから出ると、可愛い尻尾が見える。
「え?」
「本調子じゃないけど、まぁ人間相手だし」
真友君にとっては意外に継ぐ意外な光景だ。
そして、ドアノブの音がした。
『霊気の冷気!』
駄洒落のような名前だが、タマモクラスになると狐火の応用だ。
二人が氷の彫刻になる。
「ふぅ、奇襲成功かな・・ね真友君」
タマモは、自分の本性を真友君に見られて怖がる事は覚悟した上だった。
「しょうがないよ。真友君を傷つける訳にはいかないもんね」
あっけにとられた真友が最初に口にした言葉は、
「た、タマモちゃん・・下着姿だよ」
「へ?」
自分の格好を見ると、顔を林檎の如く真赤にして、ベットに戻る。
二人の呼吸が戻ってから。
「ねぇ、私の本性を見て、怖くないの?」
おそるおそる聞くと。
「うん!」
だ、そうである。
ずっと真赤な顔のタマモに風邪が悪化したのかと、帰って来た連中が心配したとか。
序でに、憐れなる泥棒は封印の解けたシロによってボロボロにされたとか。
されなかったとか。
-FIN-
今までの
コメント:
- たまもちゃん可愛いっっっ
こんな可愛い子がほしいよぉ〜〜〜(なんか危ない人になってる私・・・)
しっかし、真友の前ではいまだに小さくなるなんて・・・なんて可愛いんでしょう。
その真友君もかなりのつわものだし。
確かに下着姿って言うのはインパクト強いだろうけどねぇ。
とりあえず、呆気に取られても後ろを向くぐらいはしてあげたほうが・・・
たまももさすがにきつね火は出さないか。
これが横島だったら確実真っ黒焦げだったろうなぁ。
でも、この泥棒さんもここで捕まってて良かったね。
ここで逃げたら後々美神さんにどんな目にあわされていた事か・・・ (かいぜる)
- 正体がばれてるのにあえて、真友と同じように子供になるタマモに乾杯。真っ赤になったタマモを俺に見せてくれ!うおー。 (来栖川のえる)
- うー、おもろいね。しかし鬼火の応用で冷気か。確かに同じ温度変化系の術だからね。
しかし真友クンってまともな人間なのか? (ツナさん)
- 鬼火じゃねぇや、狐火。間違ったねん。 (ツナさん)
- シロをお姉ちゃんにするのはちょっとヤリ過ぎな気も(笑)。
それより折角人工幽霊一号を封印したというのに、もっと頑張れや泥棒(おいおい)。
そういえば同じタイトルの童謡が在りますよね。
こぎつね こんこん やまのなか やまのなか
ってやつ。懐かしい。 (Iholi)
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