ザ・グレート・展開予測ショー

月に吼える(18)後編


投稿者名:四季
投稿日時:(01/ 3/29)

はいはい、話を戻す。と、に、か、く、あのヤブ医者のとこに行くのが嫌だったら大人しく留守番してなさい」

 どうせ今回だけなんだから。

 パンパンと手を叩いて注意を呼び戻すと、美神が言った。

「うー……」

 まだ、完全には納得していない表情のシロに、

「そんなに手伝いたいんだったら、荷造りでもして頂戴」

 美神は投げ遣りな調子で言う。

 実際、美神たち三人に加えグーラーも参加するという事で(ちびガルーダは、シロタマ
コンビと同様の理由から留守番である)乗用車二台に分乗する今回は荷物もそれなりに多かった。

「じゃ、アタシがいない間のチビの事も、お嬢に頼もうかねえ」

 帰ってきたら新たな技(何の技だか不明だが)を教えるというグーラーの条件に、シロが瞳を輝かせる。

「ほら、そしたらちゃちゃっと荷造りしてちょーだい。早いとこ片付けたいんだから」

 経費まで依頼者側持ちの今回だが、依頼された日程以内にこなせなかった時には、莫大な違約金が待っている。

 美神がいらつくのも、当然かもしれない。

「……判ったでござる♪」

 ほんの刹那の沈黙に続いて、シロがやけに嬉しそうに頷いた。

 怪訝そうなタマモの手まで引っ張って、リビングを出て行く。

「どうしたのかしら、急に?」

 美神が首を傾げて呟いた。

 あっさり引き下がったら引き下がったで不安になるのだから、複雑なものだ。

「でも、納得してくれて良かったじゃないですか」

 こちらはほっとした表情のおキヌが、横島に笑いかける。

「まーね」

 頷きながらも、横島は一抹の不安を抱いたのだったが。

 五分後。

 玄関に降りてきた四人は、素敵な光景に出くわしていた。

「……このカバン、どうしましょうか?」

 唖然とした表情で、横島が呟く。

 自分の予感が的中した事を喜んでいいのかどうか。

「あはは、凄い事になってますね……」

 さしものおキヌも、口元が引き攣るのを止められないらしい。
 笑顔がぎこちない。

 グーラーはと言うと、必死に爆笑を堪えているが、耐え切れないのかくつくつと笑いな
がら身をくねらせている。

「ま、こんなこったろーとは思ってたわ」

 醒めた口調の美神の目の前には。

 ぴよぴよぴよぴよとやけに騒々しいカバンが四つほど鎮座ましましていたのだった。

「進歩が無いわね……」

 確かに、いつぞやの臨海学校を髣髴とさせる光景である。

「そっちがそーゆーことするなら、こっちもこーする、っと」

 美神は、どこから取り出したのか、ゴツイ鎖を構え、バッグを纏めてぐるぐる巻きにし
て南京錠を掛けた。

 どこかげんなりした表情で、見送りに降りてきた美智恵に鍵を放り投げる。

「三十分くらいしたら、いちおー外してやって」

 三時間でも良いけど。

 投げ遣りに呟き、こんなこともあろうかと予め用意していたバッグを引っ張り出すと、四人は何も始まる前からやや心理的な疲労を引きづりつつ、事務所を後にしたのだった。 

 そして、美神たちが事務所を出て、きっかり三十分後。
 カバンの中からガルーダの幼鳥が開放されたのだが、人狼と妖孤の少女達の姿はついに見当たらなかった。

〜つづく

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