二つのデュエット 一つのレクイエム 後編 (奇談幸森編後日話)
投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 3/29)
「なんすか?神父」
ちょっとだけ、付き合ってください。いいですか?
「まぁ、いいすっけど、あんまり時間がかかるのは困りますよ」
えぇ、絶対に御手数はかけませんよ。きっと。こっちに来てください。
「あん?西条じゃないか。お前なにやってんだ?」
「・・横島君か」
おやおや、神は答えてくれないんですがね、
「何やってんだ?西洋合理主義者自称のお前が」
「神に頼みたくなる事もあるのさ」
そんな頼みはきかないでしょうね。何故かってですね、
「何をたのんでるんだ?」
「・・それが僕にも解らない」
「ふーん」
ここで会話を終わらせる訳にはいきませんね。僕は横島君に、耳打をしました。
「へ?・・」
まだ子供にはなかなかにショッキングな内容でしょう。
「西条、パパになるってのになんでこんな所にいるんだ?」
「子供にはわからないよ」
横島君は少し語彙を強めたように僕には聞こえました。
「子供だからわかんねー、そうかもしれねーけどよ、責任とらなくて何が男だよ」
「・・・・」
「片親のいない子供の不幸を見てきたんだろ?」
確かに、小さいころの令子ちゃんを知ってるんでしたね。西条は。
「確執とかあるかもしれねーけどよ、こんな所で祈ってる場合じゃないだろ」
「・・まったくだ。君に教えられるとはな。一つだけ、答ええてくれ」
「あん?」
僕も彼の質問に興味がありますね。
「僕の妹、令子ちゃんを幸せに出来るかな?」
ふふふ。高校生にその質問は早いと思いましたがね。
「あたりまえじゃん!」
若さでしょうかな。いや聞いてる僕の方が顔が暑くなりますよ。
僕の教会内では携帯は飛ばないので、外に出ていこうとする時に、
「明日もいらっしゃい。西条君。二人でね」
「はい」
何時もの好青年の顔付きに戻って携帯電話をかけてみたいですね。
「冥子君、すまなかった。今何処にいる?ウチのホテルか。すぐに合いに行くよ」
車のエンジン音が最後に残りました。
「ありがとうね、横島君。でも令子ちゃんを幸せにするか・・大変だよ」
「あ、あれはつい勢いで」
苦笑するしかありませんね。
あれ?ピート君、勉強するんじゃなかったのですか?
ははぁ、見に行きましたか。それも勉強です。アーメン。
「冥子ちゃん」
「あ〜〜、今まで〜〜〜何処にいたの〜〜?西条さん」
「うん、ちょっと考え事をしにね。すまなかった」
「西条君の〜〜ところも〜〜いろいろ〜〜難しいところが〜〜あるじゃない〜〜」
「泣いていたのか?」
「うん〜シングルマザ〜の覚悟は〜〜出来たのに〜〜」
「泣かなくてもいいよ。冥子ちゃん」
「ぐっす、ごめんね〜」
「あはは、御互い謝ってるよ」
「ほんとだ〜」
「冥子ちゃん、僕は決心した。六道の名を継がせてくれ」
「本気なの〜〜〜?」
「あぁ」
あたしゃが令子ちゃんとホテルに戻ってきた時に坊ちゃんが戻ってたのは嬉しかったね。
ホテルのエントランスで二人が濃厚な接吻をしていた姿をあたしゃみせられてね、
しかも、どうやら、子供たちが近くにいるようだね。
「子供たち?」
「そ、令子ちゃん意中のコもいるみたいだよ」
「って横島君が?・・怒らないからでてらっしゃい」
「あちゃー、バレタか」
あたしゃの目にはとなりに坊やがくると令子ちゃんもうれしそうだね。
さて坊ちゃん、
「婆や、俺は西条の名を捨てるよ。悪いと思うけど」
「何が悪い物ですか。それでこそ坊ちゃまです。で私も御暇を願わないといけませんな」
「賛成してくれるのか!そうだね。ばあやには新しい職場を見つけないと、いけないね」
そうくると思いましたよ。
「坊ちゃん、あたしゃもう方向先を決めましてよ」
「え?」
「六道さんの女中頭にね」
「ばあやさーーーーんんん!」
「丈夫な子供を産んでくださいよ、若奥様」
「はーいー」
これで良いんだよ。令子ちゃん。そしてね。あんたたちもお似合いの二人だよ。
さて、邪魔者は消えな。ほれそこのだよ。寅ちゃんにイタリア人。
あたしの蹴りが入る前にね。え?バンダナの坊主は別だよ。
「冥子ちゃんにお兄ちゃん、感動的ね、あたしも結婚したくなったなー」
「ま、まってくださいよぉ」
「ヨコシマ君、はやく大きくなりなさい」
「美神さん、あと半年まってください」
「よし」
おやおや、こちらの二人も触発されちゃったかたな?でも子供のキスだね。
「どうしたの?人工幽霊1号」
《こんな夜分にオキヌ様ご存知の方々がいらっしゃいますぞ》
「え?誰・・ピートさんと寅吉さん・・ねぇ、横島さんはいる?」
《いえ、いらっしゃいませんな》
「そう・・ねぇ人工幽霊1号、美神さんと横島君、結論出すかなぁ」
《結論とは、結婚の事で御座いますか?私には解りかねます》
「あらぁ、私ったら何をきいてるんだろー」
《ですが、お二人の会話をから、オーナーと横島様は愛を確認されたそうで御座います》
オキヌ様の顔色が真っ青になりました。
「確認って・・キスまで・・かな」
《はい》
「そう・・・」
とても寂しげな目で御座いました。
「ねぇ、もしかしたら私って二人の邪魔になってたのかな?」
私は言うか、言うまいか迷いました。が、
《私は存在の性質上、嘘は言えません、それをご了承ください》
返事が御座いませんでしたが、それこそが肯定の返事と受けとめました。
《オキヌ様が一時期抜けた時分、オーナーにとって横島様は無くてはならない存在で
御座いました。当時はオーナー自信、素直になれなかったようにみうけられましたが》
「続けて」
《ですが、オーナーはオキヌ様が戻られて前の日常に戻った事を安心なさったと同時に、
少しだけ、残念に思う気持ちも合わせ持っておったようです。その思いが先の
吸血鬼退治の時に横島様を求める気持ちが再度芽生えられたようで御座います》
「解ったわ、ううん。解ってたのかも知れない」
《申し訳、御座いません、ですが私はオキヌ様に再び合えて本当にうれしかったです》
「うん、人工幽霊1号は嘘つけないんだもんね。ごめんちょっと外に出て来る」
《いってらっしゃいませ》
私は意識を屋根裏部屋に移行態勢にはいりましたが、
「まかせときな、私達が行くよ。おいでシロ」
「うむ・・。しょうがないで御座るよ」
この時ほど、お二人が頼もしく見えた事は御座いませんでした。
そして、留守番電話に本日は家に戻らない旨を伝言頂きました。
僕は神父の仕事をして長いけど、やっぱり結婚式をまかされるのが一番楽しいね。
ここではゴンドラも無いし、立派なウエディングケーキもないけど、
本当の手作りの結婚式が出来るからね。でも今日のように合同結婚式になるとは、
思わなかったね。え?誰と誰だって?
一人は西条・・おっと今は六道輝彦君と冥子ちゃん。
そしてもう1組は、結婚式の真似事になるけど、横島君と令子君がね。
さそった輝彦君もなかなかニクい演出をすると感心するよ。
「神父さーん、ここの飾りつけはこれでいいですか?」
「えっと、ピート君に聞いてくれるかな?オキヌちゃん」
彼女とは宗教を異とするけど、今は僕が預かっててね。向こうの御両親も、
学校を卒業するまでは東京にいる事を認めてもらったのさ。
さて、
今日は忙しくなる。その前に、幸森の墓を掃除しないとな。うん?誰かいるね。
「おや?神父いいんですか?こんな所に来て」
「これは僕の言い分だね。輝彦君。主役の君達がなんでお墓参りなんだい?」
「思えば、こいつと遣り合った後こうなったからね。影の功労者かもな」
「そ、私が素直になれたのもね。それに悪いわねーオキヌちゃん預かってもらって」
それは気にしないで下さい。まぁ、御礼を意味を込めて祈りますか。
『アーメン』
-FIN-
今までの
コメント:
- 後書き、
前作でアンコールを頂き、筆記した本文で、実験的にストーリーテラーを3人、
(人工幽霊1号、西条のばあや、唐巣神父)と、やってみました。
これは内容的には10話分程度の話を2話に凝縮してるので、
不完全燃焼な部分も少なくありません。
そして前作が西部劇なら、今作は北欧恋愛文学を指標とした作品と言うべきでしょうか。
どちらかと言えば、恋愛物は苦手なので、何処まで喜んでいただけるか、
不安を残しつつ・・・
時代劇、書くぞ!!!! (トンプソン)
- むっちゃくちゃ良かったですぅ〜〜〜〜〜
しかも、その日のうちに後編まで読めるなんて。
私はなんて幸せものなんでしょう。
しっかし、二組とも成るように成りましたねぇ。
ううん。これ、これですよ。
おキヌちゃんには悪いけど、やっぱり美神さんは横島君と引っ付かないと。
西条と冥子ちゃんも、結構お似合いかなって前から思っていたんですよね。
それがこういう形で発表されるなんて、夢にも思っていませんでした。
もう、嬉し過ぎて嬉し過ぎて、夢にまで見そうです。
ついでにそのまま見つづけて明日の朝寝坊しそうですけどね(苦笑)
でも、その甲斐のある良いお話だと思います。 (かいぜる)
- コメントの続編です
まぁ、願わくばトンプソンさんも言っているとおり、
もう少し長いお話(10話位)でいろんな紆余曲折なんかも書いてくださるともっとよかったんですけど、そこまで贅沢言うとバチが当たってしまいますものね。
あぁ、でも、本当に私が望んでいた人間関係におけるひとつの完結の形を見れて今日はとっても幸せな日です。
ちなみに、前編同様内容に対するコメントは後日させていただきます。
今は幸せな気持ちで胸がいっぱいで、ちゃんとしたコメントが書けそうにないので。
では、トンプソンさんの新作、期待しています。
P.S.既存の連載もがんばって続編を書いてくださいね。
P.S.2 このお話の続編・・・・さすがに無理ですか?出来ればもっと読みたいです(我侭前回モード発動!!) (かいぜる)
- よく書けてると思います。シンプルで且つしっかりとした文体なので読んでてあきが来ないのはいい。ストーリー的には少し物足りない部分もあるけど、これはこれで良く締まったストーリーだとおもう。
さすがはトンプソンさんである。 (ツナさん)
- さて、後編に対するコメントです
冥子ちゃんと西条のキスシーン。横島たちはよく間に合いましたね。
こうなる事を予想して全速力で走っていたのかな?
「令子ちゃん意中のコ」といわれて素直に横島君の名前が出てくる美神さんがすっごく良いです。
あぁ、本当に自分の気持ちに素直になってるんだなぁってつくづく実感させられるシーンだと思います。
半年待ってといわれて短縮させない所何かも大人(年上)の女って感じで良いですね。
そのままお泊まりしてるし。
美神さんのウェディングドレス姿・・・きっと心の底からの満面の笑顔で飾られてすっごく綺麗でしょうね。
おキヌちゃんがからす神父の所にご厄介になってるって事は、やっぱりこの後は美神&横島所例事務所に改名したのかな?
あぁ、本当に私の心に残る良いお話でした。 (かいぜる)
- うわっ・・・てれてれだ。
・・・・・・・というかなんだろうかこの巧さは・・・・恋愛ものも文句なしに巧いしなああ・・・よおうしっ!!がんばろうっと(無理)
時代劇ー!!!! (hazuki)
- 唐巣の物言い(「令子ちゃん」とか)や婆やの口調(なまりが無い)に若干の違和感が有りますが、三人の語り部は二組のカップルを取り巻く周囲の混乱ぶりを立体的に見せてくれまていますね。
どうもお疲れ様でした。 (Iholi)
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