ザ・グレート・展開予測ショー

二つのデュエット 一つのレクイエム 前編 (奇談幸森編・後日話)


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 3/28)

オーナー美神から唐巣寺に迎えに来てという弱々しい伝言を受けて、私はコブラに憑依し
外見考慮してシロ様に運転席へ御搭乗願いました。
「それにしても美神殿は大丈夫で御座ろうか?」
《おそらくは。私がキャッチした念波もオーナーの物で御座います故》
唐巣寺近くの駐車場にシロ様を誘導して、
《ここからは、恐れ入りますが、御一人で御願い致します》
「解ったでござるよ、すぐに連れて来るで御座る」
私のすぐ傍でどうやら西条様が御煙草を嗜んでいたようで御座います。
何か悲しそうな様相で御座いました。私は人外な存在、話しかける真似は致しません。
「美神殿、大丈夫で御座るか?」
「あぁ、シロ・・あんたも来てくれたんだ・・。ふふ。峠は越したけど」
「まだ無理は出来ないみたいですね。美神さん」
「そうで御座るか」
オーナーは横島様に完全に身を委ね、唐巣神父に礼をするのも横島様の手を借りたとか。
「まぁ、お礼を・・言うわ、唐巣さん・・帰りましょ、手を貸してね。ヨコシマ君」
「あ、はい」
素直なオーナーの態度に横島様は少々抵抗を覚えていらっしゃるのでしょうか。
そして、横島様がオーナーを抱くように私の場所に来る少し前に、冥子様が近くに。
「おや?冥子君じゃないか、どうしたの?」
「あのねー・・・」 「・・・・」 「・・・・」
幾言か会話を交わした後に冥子様と御一緒に街へ歩かれて行きました。
「お、人工幽霊か。ご苦労様」
私は御苦労でもオーナーに運転席に乗っていただき、うしろにはシロ様とオキヌ様、
助手席に横島様に御乗車願ったのはオーナー御自身の御要望で御座いました。
朝のドライブというには皆様お疲れの御様子で御座いました。

あたしゃが公彦坊ちゃん付きの婆やになってから令子ちゃん以外の女性を連れてきたのは
初めてで、ちょっと驚いたよ。夕刻近い時間、微かにお酒の匂いを付けてさ。
「ばぁや、ただいま」
「坊ちゃま、こちらのお嬢様は?」
「あたしはー、六道冥子でーす」
妙にハイなお嬢さんかというのが第1印象だけど、まぁお似合いの二人って感じでね。
とても1日だけの付き合い方だなんてこの婆やですら思えなくてね。
「ぼっちゃま、何かご用意いたしますかな?」
「うん、僕には軽いアルコールを、冥子君にはソフトドリンクでも」
あたしゃ、飲物と軽く焼を使う食事を用意している間にも様々な話に盛りあがってね。
「ふーん、あの奥手な坊ちゃまがねー、いったいどうしたんだろうね?」
恥ずかしい事にこの独り言が聞こえちゃってね。
「婆や、余計な事を言うなよ」
まぁ、この婆やに軽口とはね。いよいよもって妖しいね。
「すいませーん、お酒ー強くないのにー飲み過ぎちゃったからー」
けらけらと笑う。この部屋にそんな明るい声が響くのは何時ぐらいの時かね。
「ねぇ、冥子君もそろそろお家に帰らないと不味いんじゃないの?」
「大丈夫よー」
ひょっとするとあたしゃ邪魔になる事になるかもね。
「坊ちゃま、あたしゃ用事があって明後日まで出かけたいけどいいですかい?」
喜んでねイイよなんてね。ま、しっかりやりなさいな。坊ちゃん。

春が近づくに連れて私が管理する事務所に変化がありました。
「あのさー、横島君は何処にいる?」
「ヨコシマ?今日はテストが近いからってかえっちゃったけど?」
そう、と残念そうな顔をタマモ様に見せてから、下に行かれます。
「オーナーに一言ぐらい言えよ」
こう言う日はオーナー不機嫌、と言うよりも元気が御座いません。
そうなると、居心地に違和感を感じるのがオキヌ様で御座います。最近はちょくちょく、
屋根裏部屋に足を運ぶ事がありました。
「最近の美神殿と御師匠がおかしいでござるよ、春だからで御座ろうか?」
「うーん、まぁ人間だから、そんな発情期とかじゃないんだけどぉ」
「どぉだか」
とタマモ様が仲間に入り、
「美神はともかく、横島は年中発情してるようにみえるけどなー」
「そんな事は・・」
無い、と言い切れないオキヌ様で御座います。おや、何方かいらっしゃるようですな。
《オーナー美神、冥子様が此方にいらっしゃいます》
「あん、解った。式神に気を付けないとね」
冥子様は少し顔を赤らめておりましたでしょうか。
「やぁ、こんにちわ。冥子ちゃん」
「うーん、あのね?ここに西条君来なかった?」
「西条君?来てないけどどうして?」
冥子様お腹を少し摩って、
「赤ちゃんが出来たのー」
私も驚きました。何時もの通りゆったりとした物言いで御座いました故、
オーナーは聞き返しましたが、
「うんー、3ヶ月なのー、でね、私のおうちも西条さんの所もまぁ家系には」
「そう、わかった。私も協力するわ。お兄ちゃんも意気地がないんだからぁー」
「・・ごめんねー令子ちゃーん、お気に入りにお兄ちゃんをとっちゃってー」
全く顔色を変えずに、
「うふふ。お兄ちゃんはどこまでいってもおにいちゃんなのよ」
オーナーは冥子様にばつが悪いだろうと、西条様の御宅へ行くと御約束なさいました。

珍しく令子のお嬢ちゃんがこの家に来たのはもう夕刻にも近い時刻だったのだ。
「おひさしぶり、婆やさん」
「おや、令子ちゃんじゃないか?久しぶりだねェ」
「うん。で本題に入りましょ。西条君は何処?」
「・・坊ちゃんの事知ってるんだね。そうこの婆やにも何処行ったのやら」
しょうがなくも無いとは思うけどさ。たしかに西条家のメンツもあるしね。
「令子ちゃんは、許すんだ。坊ちゃんの事を」
「うん。もう違う人がいるからね」
婆には眩し過ぎる世界だね。あたしゃウン十年前の話だものね。
「そう、もしかして六道のお嬢ちゃんとも知り合いなんだ」
「えぇ、嫌になるぐらいね。思えば二人は御似合いよ」
まったく、そうだと思うよ。
「ねぇ、令子ちゃんは六道さんの所知ってるの?案内して欲しいのさ」
あたしゃ漸く覚悟が出来たんだろうね。玄関に六道のお嬢さんがいてね、
「あ、婆やさーん」
「冥子ちゃん、あたしゃ決めたよ。あんたの味方さ」
坊ちゃんの新妻になるお嬢さんはとっても喜んでくれたよ。
それにしても坊ちゃんは何処へいったのかね?あ、そう冥子ちゃんはここにいてな。

当の本人は我が寺院で朝から祈りを上げていました。
「決心は付きましたか?西条さん」
「あ、神父」
人の気をも感じられないとは西条かなり迷っているように思えるのです。
「・・俺はどうすべきなんだろうか?」
「今はシングルマザーの地位も上がってはいます。あの冥子君も芯は強いですよ」
それでも西条の顔色が変る事がありませんでした。学校がえりのピート君が来ました。
「只今戻りました。神父、まだいらっしゃるのですか?西条さん」
「あぁ、ピート君」
そう言えば西条からタバコの匂いがしない。ただ祈るだけなのか。
「あのー、何時もの連中がテスト対策で来てるんですよ。上使っていいですか?」
何時もの連中?あぁ、タイガー君に横島君か、
・・・・・そうだちょっとだけ横島君につきあってもらえるかな?
おっと、その前に仕事ですね。幸森の墓に参らないとね。
二人は生きているんだ。幸せになる義務があるよ。

 -後編に続く-

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