横島夜行 Alien(異邦人) @
投稿者名:TAK・A
投稿日時:(01/ 3/27)
なぜ,あなたたちがここにいるの。
ここは,あなたたちが滅んだ場所じゃないのよ。
・・・・・・・・・・・・
ここは壇ノ浦じゃないのよ。
疑問を振り切り,命令を下す。
「結界展開!」
美神が,西条が,ピートが,雪之上が,シロが,結界の杭に念を打ち込む。この結界は強力だ。破れる心配はない。安全を確認して思考の続きをはじめる。しかし。
「ご母堂様,危ない!」
警告とともに,シロに突き飛ばされる。
がすっ
シロの霊波刀をも貫き彼女の腕に矢が刺さっている。
「なっ」
見ると,結界に小さな穴があいている。矢が通過したあとだ。戦慄する一同。この結界を破らずに射抜くとは。恐るべき弓勢である。
「シロちゃん,しっかりして!」
ヒーリングをはじめるおきぬ。
「あいつだ,あいつが放ったんだ」
雪之上が雑兵たちの向こうを指差す。その先には,親衛隊であろうか薙刀を持った六人の武者に囲まれた騎乗の武士が弓を構えていた。どうやら指揮官らしい。
「第二射くるぞ!」
結界に一瞬波紋が走る。その付近から飛びのく。
矢はGメンの車を貫通して砂浜に刺さる。
「何ツー非常識な矢なの!」
「それだけ生前自信があったんでしょ」
大将だけでなく,雑兵たちも弓を射始めた。それも結界の穴のあいた部分に集中して。雑兵たちの矢はさほど威力はない。しかし集中して,しかも穴があきもろくなっていては結界もそうは持たない。
「ばばあ!」
ゲシィ!
「だれがばばあですか!」
非常時だというのに,きっちり雪之上に突っ込みを入れる美知恵。さすが美神の母。
「そんなことより,このままじゃジリ貧だ。俺とピートであの大将を倒す。精霊石を貸してくれ!」
「やれるの?」
「短時間なら俺もピート並に空を飛べる。あの大将の矢はともかく,雑兵の矢なら精霊石で何とかできるだろう。早く出しやがれ!」
「わかりました。西条君!」
西条に指示を出しながらも,後できっちり目上の人間に対する口の聞き方を教えてやると心に決める美智江。
「いくぞっ!」
作戦としてはこうである。敵が矢を放って二の矢を番えて放つ瞬間に空を飛んで接近する。その際に二人は交互に前に出て精霊石で自分と後続を守る。雑兵たちの前までは低空を行けば,大将の矢は同士討ちを恐れ打ってはこれない。雑兵の頭上を行く場合は後方の援護を受け,散解し,的を散らす。そして左右から大将を挟み撃ちにする。
まずは言い出しっぺの雪之上が先に行く。
矢が眼前に迫る。
精霊石ではじく。同時にピートが前に出る。そのままの体勢で距離を稼ぐ。
再び矢が迫る。これも精霊石ではじく。
雑兵たちの最前線が薙刀を構えて待つ。
急上昇。同時に左右に分かれる。ピートは右に,雪之上は左に。
ここまでは作戦がうまくいった。
しかしあの強弓が火を吹いた。ピートの右肩を狙っている。意識せず左によける。間をおかず,再びくる。
「なっ」
弓矢とはそう早く連射できない。それがこの作戦の前提だ。それが崩された。驚きながらも左によける。それが敵のねらいだった。
「ば,ばか,くんな!」
「え?」
雪之上とニアミス。動きがとまる。そこを狙って親衛隊の一斉射撃,下からは薙刀の林。鋼のあぎとにくいちぎられ二人は煙と消える。
「み,美神さん!」
「大丈夫よ」
そう,バンパイア・ミストで二人は難を逃れた。
霧が二つに分かれ,ひとつは雪之上となって大将の弓を折り,もうひとつはピートとなり止めをささんとするが。
「ぐわ!」
いきなり目に激痛を感じ,ひるむピート。そこに鉄の塊がのしかかる。
ピートは海に沈んでいった。
AlienAに続く。
すみません,ここで力尽きました。しばらくお待ちください。
今までの
コメント:
- 敵は昔の人なのに対空戦への対応を知っている・・・
というか、頭の良い武将クラスの人なら考えりゃすぐわかるか。
しかし、雪之上君も相変わらず命知らずな発言をしますねぇ。
口は災いのもとって名言を知らないのだろうか?
その辺は横島のほうが上ですね。 (かいぜる)
- 合戦の主力は弓! リアリズムに拘った戦場の描写も生き生きしていて好いですね。
ここで一句。「雪之丞 弓になかれ(泣かれ・薙がれ)て I missed(mist) you」 (Iholi)
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