ザ・グレート・展開予測ショー

アシュタロス、その人生、その悪


投稿者名:ホーエンハイム
投稿日時:(98/ 3/ 8)

 昔々、といってもそう遠くない昔、オーディンの神々が世界を去り、さらにギリシャの神々も世を去った後というくらいの昔、あるところにアシュタロスという悪魔がおりました。彼は大変強力で、知性があり、そして大変美しい悪魔でした。彼はとても強かったので敵となるような者はほとんど存在せず、造物主から与えられた魔族の本能を満足させつつ楽しく暮らしていました。気になるのは彼の上司であるサッちゃんと、神側の実力者たち、キーやんやアッちゃん、ブッちゃんといった人たちでしたが、彼らが自分の行動に直接関わってくることはまずあり得ません。そういうわけで彼は怖いものとて無く好き勝手し放題だったのです。
 そんな彼もあるときふと考えます。自分はなぜこんなことをしているのか?自分の本能をとことんまで満足させたとき(彼は自分に「本能」などという者があることを苦々しく思ってはいましたが)、一体どうなるだろう。胸くそ悪い神々どもや、さらには自分の上で偉そうにふんぞり返っている上司などがみんないなくなったとしたら、それはこの上もなく理想的な状態であるにしても、この世界、この宇宙の運行に致命的な悪影響を与えはしないか?また現実的に考えても、それを実際に行うとしたら自己の存在まで含めた総てを失うことになりはしないか?そして、それがほぼ確信できるというのに、自分は一体なぜこんなことをしたがるのか?考えながらも彼は思い当たります。神と魔は「調和ある対立」を続けながら宇宙を存続させている。自分たちの持っている本能はそのために造物主から与えられたものだ。それでいてそれを完全に満たすために必要なものは何一つ与えられていない。「自分は造物主の手のひらの上で踊らされているにすぎない!!」
 そこまで思い至った彼は深い絶望と憤りにおそわれます。彼のような存在には良くあるように、彼は非常にプライドが高く、たとえ造物主にしろ、自分を軽んじ、踊らせるような存在がいるという屈辱的な事実に深く傷つけられ、苦しんだのです。そしてついに彼はつぶやきます。
 「…みんな壊してやる!」
 どこかで聞いたようなせりふですが、それでも彼はそれを実行に移すことを決心するのです。
 ですが利口な彼はそれをそのまま感情的に実行することはしません。なんといっても邪魔な奴らが多すぎます。彼らにいきなり喧嘩をふっかけても自分にとうてい勝ち目がないことは十分すぎるほどわかっています。それにこの思いつきは、いわゆる一つの八つ当たりとか、腹いせとか、あまり褒められるものでない動機によるものです。それがみっともなく、美しくもないことであることも彼は承知しています。そこで彼は気の遠くなるような遠大な計画を立てるのです。
 彼はこの計画の最終目的として、造物主に取って代わることにしたのです。とにかく何もかも破壊した後で、ぼろぼろになったこの世界の代わりに新しく宇宙を作ってしまおうというのです。とんでもない思いつきですが、彼はそれを可能にする「宇宙のタマゴ」というものを思いつきました。どういう原理かは我々にはわかりませんが、とにかく彼はそれが可能であると判断しました。そしてこれさえあれば例えこの宇宙をどうしようがその後で新たな宇宙を、思い通りに作り直せます。彼は思います。これなら誰にも文句は言わせない(かなり勝手な話ですが)。それになんだかかっこいい!彼はこのアイデアを気に入りました。
 しかしそれを現実に実行に移すとなると、問題が山積しています。まずそれを、はいそーですかとやらせてくれる奴がいるとは思えません。いくら自分より弱い奴ばかりといっても、さすがに寄せ集まられると面倒です。そして何より目障りなのは、彼の上司であるサッちゃんと、神側の最高指導者たちです。こうした問題を一挙に解決する方法として彼は明快な回答を得ます。「そいつらよりブッちぎりに強くなればいい!」そしてそのために強大な力を秘めた「魔体」という新しいボディーを作り始め、その核であり、魔体のため、そしてそれ以外の目的のためにも必要になる膨大なエネルギー源として、大量の魂を生成したエネルギー結晶というものも併せて用意するのです。これが完成すればもう文字通り怖いものはなくなります。「もういけいけだぜ!」とばかりに彼はそれを進めていくのでした。彼が「道具」として作った(彼がこの道具たちを使い捨てにするのも、自分たちをもてあそぶ造物主がしていることと同じであると考えているにすぎません)、ある女によって、それが大幅に修正されることになるとは思いもせずに…

 以上、長くなりましたが、私なりのアシュタロスの行動の背景に関する考察です。


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