ザ・グレート・展開予測ショー

横島夜行 Red Army


投稿者名:TAK・A
投稿日時:(01/ 3/24)

 時は横島が鎧武者に囲まれる数時間前にさかのぼる.
「どういうこと?どうしてママたちがいるわけ?」
 今回の仕事先である、近畿剛一主演のドラマのロケ地にやってきた、美神、オキヌ、シロタマ達4人。そこで思わぬ者達に出会ってしまったのである.
「どうしてって、仕事よ.」
 聴けば、ロケ地のある山口県〇〇村という海沿いの村からの出動要請があったそうだ.美神に依頼したのはドラマの制作会社と、スポンサーとなっている昔から付き合いのある旅行会社.どうやらお役所仕事の常で出動の要請と許可が遅れたらしい.そこで業を煮やした会社が美神に依頼をした.しかし、昨日になって、非常勤顧問たる、美知恵の霊感がこの一件に関して危険を感じた.そこで有無を言わさず西条の尻を蹴飛ばし助っ人を連れ大至急ここに来たのである.
「危険って、そうは見えないけど.」
 母の持っている、サイン色紙を半眼で見て言う美神.
「ま、まあこれはおいといて、ほんとに何も感じないの?」
「うん。そんなことより、ママたちがいるのはいいとしてこの二人のいる理由は?」
 そばにいたピートと雪之上を指して問う美神.
「将来のためといって駆り出したのよ」
「?ピートは分かるとして、なんで雪之上まで?あんた、てっきり弓さんのところに転がり込むものとばかり」
「オヤジさんが認めてくれればな.」
 どうやら弓の父親に疎まれているようだ.まあ娘に男ができて面白い父親はいまいが.
「そこでオカルトGメンに入って箔をつけようというわけね.ママも甘いんだから・」
「あら、雪之上クンは対悪徳GS用戦力として役に立ってくれているわよ」
「なるほど。」
 勘九朗との戦いを思い出し納得する美神.
「元やくざを暴力団対策に雇うようなもんねー」
「もっと他に言い方はねえのか.」
「あの、お話中済みません.美神さん」
「なに?おきぬちゃん」
「シロちゃんとタマモちゃんが変なんです.特にタマモちゃんが」
「なんですって。」
 人間より感覚がはるかに鋭い人狼と妖狐.その二人が危険を感じているというのか.そして母が感じ、自分が感じてない、これは己の霊感の鈍さをあらわしているのか.
「変って、どんな風に」
 何とか冷静を保ち、聞きながら自分も見る.
 タマモは何が面白くないのか不快な表情を浮かべ役者たちを見ている.そしてシロは、
「あの、馬鹿犬!」
 シロはうっとりして「鎧武者」達を見ているのだ.
「シロちゃんはともかくタマモちゃん何かあったのかしら」
「まあ、考えてみれば、このドラマ、あのこの前世が死んだ直後の時代だからね.それも最後は追われて死んだんだから、鎧とか見て面白い分けないわね」
「前世の話よ.」
「魂が覚えているのよ.特に人間より霊力が強いんだから、何かのきっかけで思い出しても不思議でないわ」
 何か面白くない.前世というものは美神にとって鬼門なのだ.
「ま、今回の仕事は低級霊の群れだというし、オキヌちゃんがいるし、ママたちの持ってきた装備もあるし、あの二人がいなくても何とか成るでしょ」
「って、令子、あなた一緒に仕事してくれるの?」
「だって、ギャラは前金で貰ってるんだもの.Gメンが来たからって追い返される心配無いもの」
 ため息をつく母.どうやって指揮下にいれようか悩んでいたのだ.

 そして霊達の上陸が始まった.

「オキヌちゃん!笛を!」
「はい!」
 笛を吹くオキヌ.しかし怪訝な表情で止める.
「どうしたの!」
「美神さん!この人達害意はありません!」
「なんですって!」
「この人たち警告に来てるんです」
「警告?」
「はい、誤った祭りを止めろ.正しい祭りを再開せよ.奴らがくるって.」
「ヤツラ?」
 いきなり霊達が消える.同時にそこにいるもの全員の背に冷たいものが走る.
「!」
 波打ち際に目を向けると、赤い旗を掲げた鎧武者の一段が上陸するところだった.
 そんな馬鹿な.
 彼らの正体に気付き愕然とする未知恵.
 いくらこんなドラマ撮っているからって、
 ここはあなた達が滅んだ場所じゃないはずよ.
 その問いに答えるものも無く、
 赤い旗ははためく.

  次回『Alien』に続く

 済みません.話が予想以上に長くなってしまいました.

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa